「ある人に二人の息子がいた。弟が父に言った(父よ、財産の内、私が受けるべき分を私に与えて下さい)父は、その財産の半分を弟に分けてやった。弟は、それを持って遠い国へ行き、そこで放蕩を繰り返し、財産を散らしてしまった。
時にその国に大きな飢饉があり、弟は乏しくなった。 ある人に依りすがり豚を飼う仕事を与えられた。彼は豚の餌で、自分の腹を満たしたいと思うほどになった。誰も助けてくれる人がいない。
その時、我に帰って『我が父のもとには、食物は、有り余るほどあり、雇い人もいくらくいる。なのに、私は飢えてこの所で死ぬかも知れない』。そこで彼は立って父のもとに行くことにします。』
家まで、なお遠く隔たっていたが父は息子が帰ってくるのを見て、憐れみ、走りより、その首を抱き接吻した。
息子は父に『私は天に対して、また、お父さんに対して罪を犯しました。今より、あなたの子と言われるには、ふさわしくありません。雇い人の一人にして下さい。』
父は、僕どもに、「とくと、最上の服を持ってきて、この子に着せ、その手に指輪をはめ、その足に靴を履かせよ」、又、子牛をほふって食って楽しもう。
「この我が子は、死んでいたが生き、失われていたが、見つかったから」
私達が悔い改めて、父のもとに返ると天で喜びが溢れる。