近代建築撮影日記

日本全国の近代建築を
大判カメラ、一眼レフ、デジカメなどで
撮影した写真で紹介していきます

Voigtländer ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 ASPHERICAL III E-Mount

2020-03-27 04:46:25 | カメラ

常用している15mmでは画角が足りないことが時々あり、購入を検討していた
「Voigtländer ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 ASPHERICAL III E-Mount」
生産終了後は品薄でやや価格が上昇する中、ヤフオクで比較的安価な中古の出物があったので購入した。
更に、8%オフ・クーポンがあったので願ってもない低価格で購入できたのである。

では、15mmと12mmの画角の違いを見てみよう。

15mmレンズの対角線画角は110 °、
水平画角(左右の画角) 100 °、垂直画角 (天地の画角)77  °

12mmレンズの対角線画角は121 °、
水平画角(左右の画角) 112 °、垂直画角 (天地の画角)90°

焦点距離はたった3mmの違いでも、随分と画角が広い。

以前紹介した下のような方法でリミングして使う場合、

(トリミング前)
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/80/21409f7942f621dbf4115fcbe9d3beb2.jpg?1585247127

(トリミング後)
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/b1/07fdc524f470e7d144b8e49f98b51cc9.jpg?1585247370

垂直画角を水平画角として使うことになるので、
15mmレンズは23mm相当、12mmレンズは18mm相当の画角になる。
18mmというと PC Nikkor の最広角レンズより広い。

しかし、このレンズには保護フィルターを付けることが出来ない。
それが難点であり、常用するのをためらう理由でもある。
更に、明るさが5.6というのもちょっと暗い。
コンパクトなレンズなので常備して必要な時だけ、という使い方になるだろう。


カメラにSONYの銘板というのには抵抗があるので「MINOLTA」シールを貼っている。

金属製カブセキャップの造りと質感は良いのだが、それはフィルターを付けられないことの証しだ。


では、旧網干銀行湊倶楽部を撮影して15mmとの画角の違いを見てみよう。
使用カメラは SONY α7 。

15mm

水平垂直を出して塔屋を真正面に見て撮影すると、避雷針が途中で切れてしまう。

12mm

15mmより一歩前に出て撮影してもご覧の通り、避雷針のてっぺんまで余裕でとらえている。
一歩前に出たことと15mmより広角になったことで遠近感が強調され、やや形が変わって見える。

実は15mmで撮影した場合、避雷針と青空を入れるため見上げて撮影したものを・・


トリミングして、使いたくは無いが「ShiftN」で垂直補正し・・


フォトショップで電線消し加工して仕上げる。

というようなことをやっていた。

12mmだと、「ShiftN」を使わなくても済むようになる。

【2020.5.24追記】
塔屋の真正面から水平垂直を正確に出して撮影。
この建築で一番魅せたい部分は塔屋。それを最も美しく左右対称にとらえるのが全景写真のキモ。
そして完全順光で建築全体に光が差している。
記事投稿した時点の3月にはこの光線状態で撮影することは不可能で、今回の撮影は、最も良い季節の良い時間帯である。
少し雲がかぶっているのも、建築写真のアクセントとして申し分ない。

しかし、ゴジラが爪で引っかいたみたいに電線の影が入ってしまうのもこの光線状態の時。

ちょっと手間だが、電線の影も含めてPhotoshopで消去処理をした。

雲のことについて更に言うと、右上の電線消去作業に雲が絡んでいないのも幸運といえる。

要らない部分をトリミングすると出来上がり!

【追記ここまで】


旧金井時計店
15mm

上部中央が・・・

12mm

一歩前から撮影してもご覧の通り。

トリミングして出来上がり



12mmの作例をいろいろ。トリミング前提で撮影しているのでノートリ画像は殆どありませんが。

正方形にトリミングしても

こんなにワイド!

2:1の横長にトリミングしたら

パノンカメラで写したパノラマ写真のような広画角!左に旧長久医院まで写っている。

PC NIKKORや「ShiftN」を使わなくても、



縦のラインを真っ直ぐに写せる! この2棟は15mmでは全景が入らなかった。

一見何を写したか分からない写真も撮れてしまう

超広角12mmゆえの描写だろう。15mmだと、こうは撮れないと思う。

旧山本家住宅



左右に写り込む物の多さに驚く。

まるまん

左に陣屋門まで写っている。

同じ写真を更にトリミング。

大きく伸ばさないのであれば、中央に小さく写した被写体をトリミングして遠近感を押さえた画像を得ることも出来る。



旧水井家住宅


これはノートリ


結納品店と丸ポスト

右に大覚寺の山門が。遠くに見えるがそれほど遠くない。

大覚寺山門

遠近感が凄い。カッコいいのか歪んでいるのか、よく分らない形に写る。

鐘楼

基壇は平行だが、屋根が傾いている。手持ちながら、かなり気を付けて水平垂直を出したつもりだが・・・
12mmのような超広角レンズは三脚で厳密に水平垂直を出さないと駄目なのかもしれない。

ノートリ

下の写真の池の向こうの建物が鐘楼だが、違う建物に見える。15mmではこうは写らない。

ノートリ


観音堂


ノートリ


ノートリ

遠近感が強調されて、面白い形に写る!

これもノートリ。左右の灯篭と鐘楼の歪みが凄い。


本堂


ノートリ


ほぼノートリ


ノートリ


本堂と観音堂の渡り廊下。


本堂側面






釈迦堂


逆光で描写テスト(2枚ともノートリ)



フレア、ゴーストは少ない。絞りは10枚羽根なので、10本の光条が綺麗に出る。

ボディ側のレンズ補正設定「周辺光量補正」「倍率色収差補正」「歪曲収差補正」を
オートにしているので、心配していた樽型の歪曲収差と周辺光量減少は気にならないレベルだった。

建築をスッキリと綺麗に写すには水平垂直を正確に出し、フレーミングも厳格に調整する必要がありそうだ。
使いこなすには手間が掛かるということか。

ミラーレスカメラの高画素化、ファインダーの拡大表示で厳密なピント合わせが出来る、
という利点を生かせば、かなり小さくトリミングしても鑑賞に堪える画像が得られる。
例えば面積比で1/4にトリミング(水平・垂直を半分のサイズにトリミング)すると、
35mmレンズと同じくらいの画角で切り取ることになり、遠近感も抑えられる。
もちろんトリミングすると画素数が減り、大伸ばしの対応は出来なくなるが、
12mm1本で12-35mmまでをカバーすることも可能ということになる。



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