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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

嫌われ松子の一生

2007-06-29 18:06:00 | 映画-2007年

「うらやましいような、うらやましくないような」

 中谷美紀が体当たりで汚れ役もやってしまう、ってカンジで喧伝されてたような記憶があったりなかったり。
 美人の中谷が汚れ役をやってしまうんだから、はたしてどんなもんかと公開当初からわりと気にはなってました。
 そんなわけで、ようやく観ることができました。

 まず、最初に。
 この『嫌われ松子の一生』の公式サイトでは、

誰がどう考えたって不幸な人生なのに、彼女にとってはすっごくハッピー!

 とあったので、たぶんボロボロになりながらも、ベースはコメディで進行していくんだろうなと思っておりました。
 ところが観終わってみたら……メチャ泣ける話じゃないかー!

 冒頭からのCGを使ったポップな映像と音楽は、コメディ映画としてこの作品を印象づけている。
 また、所々で挿入されるミュージカルシーンなんかも、楽しい雰囲気にさせてくれて印象だけなら確かにコメディなんだが。

 物語は松子が変死体となったところからはじまる。
 生前の知り合いの語りと、松子自身の語りを織り交ぜながら、物語は変死を遂げた松子の人生をつぶさに追いかけていく。

 語られる内容はかなり重たい。
「ハッピー」と歌っているが、それは不倫生活。
 ストリップショーばりの歌とダンスシーンだが、それは風俗での勤務。
 あなたと待ちますと歌っているけど、その彼は塀の中。
 歌って踊ってポップなんだけど、現実の生活として考えるととてもハッピーとは言い切れない状況ばかりなのだ。

 松子は恋に生きる女性のようで、独りでいるよりどんな男でもいいから一緒にいたい、と思う性格のようだ。
 正直、男のオレにはこの心理は分からないのだけど、そのような選択をせざるを得ない彼女の状況というか、物語のシチュエーションは分かったような気がする。
 その上で「どんな男でもいいから」と、ことごとくハズレの男ばっかりを選んでしまう松子は……愛らしいのと同時に、なんとも不幸でしょうがない。

 っていうか、「オトコ、オトコ」と言い続ける松子に苛立ちもあったりする。
 男なんていらんから自分の足で立てよ! と言いたくもなったりした。
 とはいえ、松子が生きてきた昭和という時代や社会、あるいは彼女の生き方そのものが、そういう生き方を求めたというか、望んだというか、止むに止まれぬみたいなところもあったのかもしれない。
 松子が作中で「私の人生は終わった」と何回か繰り返して自嘲する部分があるのだけど、決して人生は終わらずまだ続く。
 そして、やがて「終わった」と呟くこともなく、結果として生き続けてしまうのは「止むに止まれぬ」という状況からなのかもしれない。

 そして、ラスト。
 男に依存ばかりしていた松子が、女の友だちからの誘いに応じて、自ら手に身に付けた理容師として人生をやり直そうとしたところで――なんとも理不尽な死を遂げてしまう。
 ここが一番、胸が痛かったな~。
 冒頭で、松子が変死体となって発見されることがわかっている。
 なので「自らの技術」によって立とうと希望を見出した松子が、どうなってしまうのか? ハラハラしながら観ていた。
 そして、あっけないラスト。

 止むに止まれず生きてきた反面、自分の足で立とうとしたところで命を絶たれてしまう。
 なんか切ない話だったな~。
>誰がどう考えたって不幸な人生なのに、彼女にとってはすっごくハッピー!
 ホントにそうか? と思わされる映画だった。
 とはいえ、中谷の演技が良く、波瀾万丈の松子のジェットコースターのような人生をグイッと引きつけていたので、映画としては良くできていたと思う。面白い映画だった。

『嫌われ松子の一生』(CATV)
http://kiraware.goo.ne.jp/index.html
監督:中島哲也
出演:中谷美紀、瑛太、他
点数:7点


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