個人経営のレンタルビデオショップ
北海道夕張市といえば、1990年から開催されている「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の影響もあって「映画のある街・夕張」というイメージがあります。
しかし、夕張市内から常設の映画館が姿を消して久しく、映画祭も時代の流れとともに運営規模の縮小を余儀なくされています。
そんな状況にあっても、長らく夕張市内で映画の明かりを灯し続けているのが「レンタルビデオショップディオ」。2025年現在、国内でも数少ない個人経営のレンタルビデオショップです。
現在でも、新作のDVDやBlu-rayも入荷・レンタルをしています。
そして何よりも特筆すべきは、いまだに現役でVHSのレンタルもしているという奇跡のようなお店です(一部、中古販売に応じてくれるものもあり)。
ディオで何回かビデオをゲットしているのですが、特に嬉しかったのが『バタリアンリターンズ』のビデオ。
ビデオ版のパッケージはちょっと刺激が強すぎたのか、DVDはなんか残念な感じになってしまいました。
私としては、やっぱりビデオ版のパッケージの方がお気に入りなわけで、ずっと探していたのですが……ついに夕張市でゲットです!
ちなみに、こんなカンジの領収書をもらえました。
これ「レンタルカード」っていうんですね。
「会員の皆様へ」を文字起こしすると、こんなことが書かれていました。
- 当店のレンタル商品は会員の方に、個人の使用または観賞用のみに限りお貸しするものです。又皆様で御利用していただくものですから、大切にお取り扱い下さい。
- 商品によっては熱に弱いもの、衝撃に弱いもの等があります。破損等商品に損害を与えた場合、商品損失額分請求する場合もありますので使用法を御理解された上、大切にお取り扱い下さい。
- テープソフトは特に熱や磁気に弱いものですから、車の中や直射日光のあたる所及びスピーカーの近くに放置しないで下さい。レンタル商品は期日内に必ず御返却下さい。
- 御利用有難うございます。
- 返却の際は、この伝票をご持参下さい。
ビデオテープの返却が義務づけられているとか、物理的な破損のおそれがあるとか、配信では味わえない手間暇。こういう案内文も、もうじき見られなくなるかも知れません。
1987年開店
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の開催よりも早い、1987年に夕張市の鹿の谷で開店(北海道新聞の記事より)。つまり、このころから仕入れていたVHSが借りられるということです。
(それ以前は、別の業態のお店だったとのこと)
映画祭で夕張へやってきた映画人が同店を訪れることもあったようで、店内にはそのときに撮った写真も飾られています。
店主の方からは、お店を訪れた映画人や映画祭の思い出話を伺うこともできました。
『冬の幽霊たち』聖地
夕張市を舞台とした映画『冬の幽霊たち』では、ディオが重要なスポットとして登場。名実ともに映画の聖地となっています。
本作は2004年1月に、ワハハ本舗を主宰する喰始氏の製作総指揮により製作。ワハハ本舗の劇団員が多数出演しました。
ディオの店主役は久本雅美さん。本作がメディアなどで紹介されるときのイメージ画像には、たいてい久本さんとディオの店頭が使われています。
作中での店内のレイアウトは、ほぼ現在と変わっていません。
店主の方からは、本作撮影時に店舗を貸したときのエピソードをいろいろと教えていただくことができました。
映画の撮影は、いろいろと大変なようです。
なお、本作は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2004」に出品、15周年特別企画として上映されます。そして同年の「ゆうばりファンタランド大賞」を受賞しました。
ちなみにディオでは、本作のVHSもレンタルされています!
北海道新聞の記事
2020年9月1日付の北海道新聞で【夕張の映画好きにビデオ店「応える」】という記事で取り上げられました。
(現在は、Webでの閲覧はできないようです)
配信で手軽に映画が見られる昨今。
その一方で、諸事情から配信で映画を見られない人もいます。
ディオは、そういった人たちの映画を見たいという要望に応え、今でも新作映画を入荷しています。
新聞記事について話を向けると「そんなに大げさなことではない」と謙遜されていました。
でも、夕張市の行政的にも、レンタルビデオ業界的にも強烈な逆風が吹き付ける現在。今や、大都市でさえ、大手レンタルビデオチェーン店が風前の灯火です。
こんな厳しい環境にあっても、個人でレンタルビデオショップを維持し続けるなんて、十分に偉大なことだと思います。
もし、映画祭で夕張市を訪れることがあれば、文字通り「映画のある街・夕張」を体現しているディオにぜひ足を運んでみてください。
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