一年で一番重要な週末 11月28日/29日、予定通り CQWW コンテスト CW部門に参戦しました。リモート運用による遅延のため ダイヤルを回しながらのS&Pが厳しい環境であり、Waterfallも見えない事から、一月前のSSB部門と同様 Single Operator - Assisted - All Band - Low Power 部門に参加しました。先日書いたとおり、今回はロギングソフトとして N1MM+ Logger をセットアップし 前日までに準備万端整えた上で 臨みました。SFIも100を超えていて、いやでも期待が高まりました。
ところが、開始早々リタイアの危機に直面しました。15mでRUNを始めたのですが、何か変です。送信中はサイドトーンも聞こえないので、無音であるはずのイヤホンから途切れ途切れに受信音が聞こえるのです。開始から7分後 遂に送信中もずっと受信音が聞こえるようになってしまいました。どうも送信になっていないようです。この時点で 5Q : 15P * (3Z + 2C) = 75 記録的低スコアで 今年のCQWWCWは終わった… と覚悟しました。
しばし呆然としていましたが、流石に簡単に諦める訳には行きません。原因を追究して 修復の可能性を探りました。セミブレークインにしていましたから、PTTは関係なく CWキーイングができていないようです。元々、今回のリモート運用のために送付したUSB-CW/PTT/Audio I/Fは 急いでいた事もあり、出来あいのものを購入していたのですが、当初から DXLog.netで CW/PTTが機能しないと言う問題を抱えていました。ですが、Win-TestとN1MM+ Logger では問題なく使用できていたので、そのまま使い続けていました。原因は特定できていませんが、たぶん フォトカプラーを完全にドライブし切れていない 等の問題だろうな と思っていました。実は 予備の USB-CW/PTT I/F を作成済みで、11月の頭にマレーシアに送付するつもりだったのですが COVID-19の影響で その頃突然マレーシア向けのEMSが受付停止になってしまいました。10倍以上の料金を払ってFedExで送付する事は可能だったのですが、そこまでする必要はないと判断していました。…が、その判断は間違いだったと後悔する事になりました。
原因追及と修復と言っても、リモート環境ではできる事は限られています。ロギングソフトを Win-Testにしてみましたが、状況はほぼ同じです。送信になる事もありますが、まともな符号になっていない事は確実です。PCを再起動したり、Windows10の 10H2アップデートをアンインストールしたり、OSやソフトの各種設定をやり直したりしてみましたが、改善は見られませんでした。1時間以上弄り回していたところ、なぜか突然送信できるようになり、0121Zに Win-Testにて コンテストに復帰しました。原因は不明なままでした。そして 0238Z N1MM+ Loggerに戻しましたが その後はコンテスト終了まで 同様の問題は発生しませんでした。
なんとか最初の危機を脱してコンテストを続けましたが、その後ずっとネットワーク品質の悪さに苦しみました。調子の良い時は Icom Remote Utility上の表示で 遅延が 130ms程度で データロスが 0% なのですが、今回は 遅延 180ms程度 データロス 0~20%位で 安定しません。ネットワーク品質が悪いと RemAudioでは 音声品質を確保する代わりに 遅延が増えます。遅延が1秒を超えると実用に耐えません。そこで Skypeの出番です。Skypeでは、ネットワーク品質が悪い時は 音声品質と低遅延は確保されるのですが、キーボードを操作すると 秒単位でミュートがかかります。(Skypeでも、ネットワーク品質が良い場合は このようなミュートは発生しません)つまり、CWを聞きながらタイプすると音声が途切れてしまうのです。そこで、聞いたコールサインは一旦頭にメモリーし、相手の送信終了後に急いでプリフィックスをタイプ→応答用のキー(通常Ins,私の場合カンマ)をタイプ→サフィックスをタイプ と言うように入力していました。ただでさえ リモートで遅延があるのに さらに運用上の遅延が加わり 随分のんびりしたオペになっていたのだろうな…と思います。常にデータロスの値を監視して ネットワーク品質が良い時間帯には RemAudioに切り替えていましたが、CWを聞きながらタイプできる事の幸せを噛み締めていました。
ネットワーク品質は週末を通して不安定で、データロスが50%程度を超えると、AnyDeskのリモートデスクトップとIcom Remote Utilityで接続されているRS-BA1が落ちてしまいます。そんな事が土曜日に10回以上あり、QSO中に突然落ちて尻切れになった事も何度もありました。データロスが50%程度でも Skypeの音声は聞こえるので、何度もコールサインやナンバーを繰り返す相手の信号を聞きながらリモートデスクトップが復旧するのを焦れて待つだけと言う状況はつらいものでした。日曜日の午前中はしばらく改善していましたが、日曜日の午後になると頻繁に落ちるようになり、復旧しても10分以内にまた落ちてしまうと言う状況になり、0945Z~1300Z には完全にQRTに追い込まれました。この時間帯は15mと20mでヨーロッパ方面が良く開けていて、とても美味しい時間帯だったのに、とても残念でした。
日曜日の1300Zにコンテストに復帰した後はネットワーク品質の問題が完全に解消していたので、コンテスト終了までノンストップで運用してスコア挽回に努めました。自己申告スコアは以下のとおりで、当初の目標 1M点は何とか超える事ができました。
時間毎のQSO数は、以下のとおりです。スタートダッシュと日曜の午後の問題がしっかり反映されています。
3830を拝見すると、今年のCQWWCWは COVID-19の影響で リモート運用花盛りのようでした。特に、ZF1A by N6MJの リモートでのSO2Rによるスコアは圧巻です。リモートであるかどうか以前に素晴らしい運用スキルに裏付けられたスコアであることは疑問の余地はありませんが、国跨ぎでのリモート運用でありながら、私とはずいぶん違う環境なんだろうな…と想像します。私の場合、ネットワークにしろ リグ・アンテナ周りの設備にしろ、とても貧弱なリモート環境ではありますが、突き詰めると、このコンテストに参加する事を最大の目的に急遽構築したものです。7月にリモート環境構築の決断をしていなかったら このコンテストに9M6NAで参加する事すらできなかった…と考えると、良い決断だったと思いますし、この結果にも満足しています。
マレーシア向けのEMS受付が再開していましたので、予備のUSB-CW/PTT I/Fを EMSで 一昨日 発送しました。来週末の ARRL 10mコンテストには間に合いそうもありませんが、運良く現I/Fで送信可能であれば、CWで参加したいと思っています。