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働く女性たち 「バカナスの女 紫乃」駆け込み寺居酒屋ポン吉 60話 バカナス イヌホオズキ 音川伊奈利

2022-08-11 12:02:40 | 日記
働く女性たち 「バカナスの女 紫乃」駆け込み寺居酒屋ポン吉 60話 バカナス イヌホオズキ 音川伊奈利

 JR西大路駅近くで「駆け込み寺居酒屋ポン吉」を経営するマスターの音吉は近くでワンルームマンションの第一初音ハイツの経営をもしていた。このマンションは別名「駆け込みハイツ」とも呼ばれて理由あり女性の隠れ部屋として全国から問い合わせが絶えなかった。

 この問い合わせの方法は音吉が開設しているブログの掲示板に全国の悩める女性からの相談から始まるが、この相談へのアドバイスはやはり女性がいいと店のママの幸子とこの駆け込みハイツを卒業した女性ら数名が相談を聞いていた。この店のママの幸子も10年前にこの掲示板に何かと相談をして福岡市からバック一つで京都に逃げてきたのをきっかけに音吉の店を手伝いやがて雇われママとして活躍していた。

 音吉のマンションは4階建て16室で家賃は格安で入居時の保証金も保証人も0円で家電もすべて完備で就職が決まるまでは音吉の店で働いていた。そして自立すれば部屋を出ることになるが、未だに出戻りは一人もいないのが幸子の自慢だった。さらにここから自立した女性のすべてが自分の経験を活かして新たな掲示板の相談者の一人となり全国の悩める女性の相談を積極的にしていた。

 音吉は103号室の藤川紫乃が自立して部屋を出るというので部屋を見に行った。紫乃は部屋は綺麗に使われているのでメンテナンスの必要はなく家電や寝具まで置いていくというからまた次の住民はバック一つで入居できる。そしてベランダを見ると鉢植えの植木が5個ほどあった。
 音吉は、
「この植木は何という名前ですか?それもすべて同じ種類に見えるが?」
「はい、これはイヌホオズキという雑草ですが、私はこの雑草が好きで育てています」
「そうですか、それですべて持っていかれるのですね」
「あの〜次の入居の人に育てて貰えないかと思っています」
「そうですか…で、失礼だが、なんでこんな雑草を…」

 紫乃は鳥取市の生まれで京都の大学を卒業して大阪の一流アパレルメーカーに就職していたが、この会社の5年先輩で鳥取市出身の社員と恋愛して結婚したが、結婚一年後に彼の父親が亡くなり家業の和菓子白兎屋を継ぐために夫婦で鳥取市に帰っていた。旦那の母親とは反りが合わず紫乃の料理、洗濯、家事などすることのすべてに難癖を付けていた。その姑の口癖が、
「紫乃さん、あなたはそこらに生えている雑草のバカナスと同じで役立たずです。なにも和菓子作りを手伝えとは言っていないので、せめて家事ぐらいは白兎屋の嫁に相応しいことをしてほしい」

 これを聞いていた旦那も極度なマザコンで姑と同じように紫乃をバカにして小さな口喧嘩でもバカナスが…というようになっていた。やがて3年が過ぎても紫乃は妊娠せず姑からはさらに白兎屋の嫁としても女としても役立たずのバカナスと口汚く罵られていた。
 こんな時に駆け込み寺居酒屋ポン吉の掲示板を発見してママの幸子やそのメンバーに相談をしていた。
 幸子は、
「紫乃さんの父母とも相談をして弁護士さんに離婚をお願いしたら」のアドバイスをしていたが、
紫乃は、
「私の両親は旧家でそれはそれは古い考えで嫁に行けばその家に染まるのが当たり前で子供を授かるまでは辛抱するのが当然」
と離婚を許さなかった。そこで紫乃がまだ子供がいないことから家を出てこの駆け込み寺居酒屋に逃げて来た経緯があった。

 京都にバック一つで来た紫乃は音吉の店でアルバイトをしていたが、年は35歳と若くはないが色白美人で背がスラリと高い紫乃はすぐに人気者になっていた。ものの一ヶ月もしない内に西大路駅前に本社があるランジェリーメーカーのフラワーの人事部長が客として店に飲みに来ていたが、その部長は紫乃が京都市芸術大学卒業で大阪のアパレルメーカーに5年在籍していたことを知り、我社へと誘ってくれた。そして半年後には正社員となり、3年目には東京支社に出向となっていた。そこまでは音吉も把握していたが、
「その、紫乃さんとそのイヌホオズキとの関係は?」
「はい、私も3年間もバカナスと言われ続けたが、そのバカナスという雑草を知りませんでした。そこでスマホで検索するとイヌホオズキの別名でこの雑草の花は貧弱で実は光沢のない品のない物、その上、根から葉まで毒があり鳥も小動物も食べないことから花言葉でも「役立たず」「嘘つき」となったと書いてありました。

 音吉は、
「ほう、この雑草がバカナスでしたか?…それでなぜ?この花がここに五鉢も?」
「ここに引っ越しをした日にそこの公園で高さ15㌢ほどの黒い実が付いたバカナスを偶然発見したのですが、なぜか愛おしくなって100均でスコップや植木鉢などを揃えて公園から移植したのがこの一番大きいバカナスになります、その後、種が落ちて芽が出たのか4鉢になります」
「なるほど…それで東京へは連れて行けないのでどうしたらの相談ですか?」
「はい、幸子ママも音吉さんに相談すればなんとかしてくれると…言われて」

 そうですか、それなら一番大きなバカナスは私のベランダで他の植木もありますから引き取ります。残りの4鉢はこのマンションの花壇に私が直に植え替えします。紫乃さんが本社に戻って来られたり、良い人を見つけて庭付き戸建ての家を建てればまたお持ち帰りして下さい。

 音吉はこれで話は終わったと持って帰るバカナスの鉢を持ち上げて玄関ドアから出ると紫乃が大きな紙包みを持っているので…?音吉は、
「うん…何か?」
「はい、幸子ママに音吉さんにお礼をしたいので何が良いかと相談したら、音吉さんには赤ワインを持って音吉さんの部屋になにかの口実を探して部屋に行くのが音吉さんへの最大のお礼になるとアドバイスされて…はい、ここに冷えた赤ワインが2本と私が朝から作った手料理もあります。それに私も音吉さんと一緒に飲みたいで〜す」

 そこに幸子ママから電話があった、
「もしもし、音吉どん、もう何回も同じことを言っているが、もう一度言います。女に恥をかかしたら地獄に堕ちます」
だけを言って切れた。
 音吉は心の中でまた、幸子にハメられたと思ったが、紫乃には恥をかかせないので一緒に歩いて音吉のマンションでワインを飲むことになった。

 音吉は紫乃に何に乾杯しますか?
「はい、今日は音吉さんに二つの良い報告があります。その一つは、鳥取の嫁入り先の白兎屋がこのコロナ禍でお土産として有名な「白兎最中」が売れずに会社は倒産、それに藤川家は自己破産したのですが、そのショックで姑が亡くなったそうです。それを知った私の父母は弁護士さんに相談して私の離婚を申し入れましたが、旦那はそれを了承して家庭裁判所で離婚が認められました」
「あ〜そうでしたか…倒産と自己破産のドタバタを利用したのですね」
「はい、それに私の嫁入り道具のすべてを自己破産前に回収して実家の私の部屋にあるからすぐ戻ってこいと毎日矢の催促です」
「それは目出度い…それでもう一つは?」
「はい、これが東京出向のチャンスになったのですが、私が企画したランジェリーのデザインが社内のコンペで優勝してそれが商品化されるのでその企画宣伝の責任者となり東京へ行くのです」
「ほう、それはいい…で、どんなランジェリーです?」
「はい、それは後で私がシャワーを浴びてからご披露いたします」
「ほう、ここで着るのですか?」
「はい、私がこうして自立できてこの駆け込みハイツを卒業出来るのはすべて音吉さんのお陰です。それで幸子ママにお礼の相談をしたところこうなったのです」
「それね~私は紫乃さんどころか誰にもお礼を要求したことがないが、いつもママが勝手に…」

 紫乃は少し顔を赤らめながら、私は処女で旦那と結婚したが、旦那とのセックスはやはりマザコンで私に何かと要求してすぐに果てます。小説や映画のような愛撫のシーンはまったく経験がなくて私もこれでは妊娠なんかしないはと思っていました。それを幸子ママに打ち明けるとママは、
「男と女のセックスはそれはそれは良いもので私の若い頃は夜が来るのが待ち遠しいかった。但し、これは相性が合ってこそ、私と音吉さんとはこれの相性がピッタリなんよ!」
 これを聞いていた紫乃は、
「ママ〜羨ましい〜私もそんな体験をしたい…」
 するとママはそれなら紫乃さんがこの駆け込みハイツを卒業する記念に音吉さんを一晩だけ貸してあげると言われましたと紫乃は涙声の振りをして音吉に訴えていた。

 音吉もそれを先のママからの電話で悟り心と体の準備をしていた。やがてワインが1本空いた所で紫乃がシャワーを浴びたいというのでバスタオルを手渡して待っていた。
 紫乃はその社内コンペで優勝したというランジェリーのキャミソール姿で現れた。それは透け透けのレースで淡紫で柄はどっかで見た葉っぱで葉脈は紫色で浮き上っているようにも見えるが、それはそれは高貴な色かつ気品があった。
 音吉は、
「紫乃さん、その柄の葉っぱはひょっとしてあのバカナスの柄ですか?」
「はい、音吉さん、大正解です。まぁ〜バカナスというよりナス科の葉っぱです。アダムとイブの前を隠すイチジクの葉っぱをヒントに神秘的に仕上げました」

 紫乃はランジェリーのファッションショーのようなポーズで音吉の前を歩いている。そしてキャミソールをポトリと下に落とすとブラもショーツも同じ柄でそのバカナスの葉っぱは紫乃の大事な所を見えるか見えない微妙な透け具合でまるで男を誘っているようなデザインに音吉も興奮して紫乃を抱き寄せ優しいキスをしていた。
 抱き合ったままの二人はベッドの上にいたが、もう紫乃の身体は紫乃のまだ知らない未知の快感を待つように全身が性感帯になり音吉の愛撫を受け入れる体制になっていた。
       (続くかも?)








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