心理カウンセラーの眼!

孤立無援の・・君よ、眼をこらして見よ!

「広告」=超消費社会の案内人

2011-01-11 16:37:14 | 現代日本および世界
こんにちは、一日遅れてしまいましたが、今日から『のほせん 』です。
年末からずうっときびしい寒さがつづいていますが、
ここはみなさん、気合を入れてのぞんでいきましょう!

さて、今日のように困惑の影を帯びた超消費社会の日本にいたるまで、
良くもわるくも全力で大衆社会と伴走しつづけてきたのは、じつは
電通とリクルートを双璧とする広告産業であるわけです。

電通とリクルート』(山本直人氏・新潮新書刊)にはまずこう書かれています。

- “ マスメディアを通じた広告で(企業の)あらゆる商品を売ってきた電通と、
   就職や住宅購入など、「人生の節目」をビジネスにしたリクルート。
   モノが飽和したにもかかわらず、
   「憧れの生活」が絵空事になってしまったこの国で、
   我々の欲望はどこへ向かうのか?
   彼らはその欲望の創出にどうかかわろうとしているのか? ”

ここでは、すでに超消費社会に突入してひさしい日本が、ようやく
モノの購買・消費が
人間的本質とは解離していることに気づきはじめたことに触れている。
そして、絵空事になったにもかかわらず、
まだ次なる欲望のありかを探すほかないというところに、
消費主義にどっぷりつかってしまった者の哀しさがみられる。

ただ、筆者が卓越している点は、つぎのような洞察にある。

-“ 広告などの情報は、消費社会の姿を鏡のように映し出す。
  人びとの欲求の変遷を反映したからこそここまでの成長が可能だった ”-

ここで秀逸なところは、
「人びとの欲求・動向」が主導的であり、
「広告」がその反映に過ぎないことをみとめているところにある。

いいかえれば、広告にたずさわる者が
大衆社会に対するプラグマティズムの限界を身にしみて了解していること。
すなわち、
社会を、その消費行動に限定したとしても、
《広告 》 という企業行動が、たとえいかにすぐれた技術によろうが、
恣意的な腕づくでの操作は不可能である点を率直にみとめている点にある。

その意味で、
近頃の情報操作論ばやりの思考に警鐘をうつ認識にたっしているといえよう。

恣意的な操作というものが、それ自体で無効であることを認識できないと、
それに敵対しつつ、為にする謀略説にはまっていくみずからも、また
墓穴を掘ることを覚悟しなければならない。・・・

さて本文からみていくと、筆者は、
- 「個々の広告は人びとの嗜好や行動とどう関係するのか?」
 「広告活動全体と人びとの消費活動とはどう関係するのか?」
と自問する。・・

もちろん個々の嗜好は消費社会のそのときの時代性によって規定されてくるし、
また逆に、個々の嗜好の総体が消費社会全体を形成しているともいえる。

そうした相関のなかで、戦後復興期以降から1980年代までは、
「消費の拡大が広告を要求した」時代であったという。・・・
ここはじつに正しい表現である。

いわゆる「豊かさとはモノである」という、
「無邪気な米国への憧憬とそのプラグティズム信仰」が連綿とつづいた、
ある意味で屈託のないわかりやすい時代であったといえよう。

このあたりの大衆の動向については、
以前のブログ『超消費社会の日本の病理1』『貧困と超消費社会の日本の病理2
にも記述してありますので、ぜひ併読をおねがいします。

そこに書かれている「日本社会の固有の問題」とはなにか?

わたしたちの「モノによる夢の実現」は
満たされた豊かさの実現にまちがいなかったはずなのに、
いったい何を手に入れたことになるのだろうかと、

個々の生涯をかえりみるとき、
そのついやしてきた労苦の虚しさをおもわずにはおれない。
「わたしたちはいったい何をしてきたのだろう?」・・・

そのおもいが、筆者の、
“「憧れの生活」が絵空事になってしまった ” という冒頭の言葉とかさなっている。

そして電通とリクルートは、いま、なぜ
消費社会にたいして
「ミスファイヤー(点火しない)」におちいったのだろうか?

(次回につづきます。)

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1 コメント

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つぶやき (ぴえ太)
2011-02-22 01:12:49
市場が低迷してるということは、ただ不景気だけが原因ではないと思います。消費主義に対する懐疑心が多くの人に芽生えてるんじゃないかと思います。広告に欲を煽られて踊らされる生活は空しいです。社会の閉塞感がよくマイナスにとらえられていますが、この方が健全なのかと思います。誰もが拝金を疑いもせず、欲でギラギラした社会ってなんか危険です。
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