三谷脚本が好きな私はこの映画の予告を見てから、上映されるのを心待ちにしていた。
では感想を。
その前にこの映画未見の方は、blogを読まないで欲しい。映画の面白さを自分で感じてから参考程度に読んで欲しいなと思う。今はSNSで色んな情報を得られる、この映画に関してもハッシュタグがついたものには、それはネタバレじゃないか?と思うようなものが結構ある。ネタバレというか知らないほうが楽しめるのになぁという感じの情報だけど、ちなみに私は映画を見る前はいっさいレビューも公式アカウントもチェックしない。それからネタバレではないがこれから見る人のため、参考程度にいうと、エンドクレジットは必ず見て欲しいな。
映画の感想を言うと、文句なく面白い。あっという間に2時間過ぎた、スピード感ある脚本と場面展開。中井貴一佐藤浩市草刈正雄、ディーン、他にも渋い名バイプレイヤーが続々登場。眼福でしかない(笑)
女優陣も小池栄子から斉藤由貴石田ゆり子、吉田羊他個性派演技派をこれだけの人数集めても、それぞれ見せ場がきちんとあり、過不足なくピタッと終わらせられる。さすがの三谷脚本で凄いなと思う。ブレイク前の田中圭君まで押さえてたのは見事としかいいようがない。
個人的に好きなのは吉田のキャラ。清潔で真面目になった総理大臣を「つまらない」と思う感性は私よく分かるんだけど(笑)
この映画は政治を舞台にしてるけれど、現在の政治批判をしているわけではない。もっと根源的な部分で分かりやすい大衆が想像するような政治家像を見せている。清濁合わせ飲む政治の部分を理想化して謳いあげたような部分もある。そういえば三谷脚本では「総理とよばないで」というドラマがあった。三谷氏は「男の子の憧れの職業が総理大臣だった時代の最後の子供」かもしれませんね。ドラマが未見なので映画と比較出来ないのが残念でならない。でも見終わった後文句なく面白いけれど…何か足りないなぁと思った。
その足りなさは時間だと思う。エンディングは優しく落ち着いた感じがしたけれど、あっこれで終わりなのか…というがっかり感ではなく、物足りなさ、もっと見たいのになぁと思う感じがあった。見終わった後考えたけれど、これはドラマ向きの内容ではないか?ドラマならもっと各キャラのエピソードを面白く見せられたはずだ。より深みある喜劇と悲劇を行ったり来たりする人間ドラマがあの名脇役とともに描けたはず。一応全てのキャラに対してそれぞれの終わり方が用意されるわけだが、映画という制約があるためその面白い部分をカットしただろうと思われる。
この映画のテーマは自分が変わることによって周りの人も変わってゆく…そういう面白さかなと思うけれどその部分はとても理解出来る。そこをクリアしたうえでは次は何か?を考えた場合、どうしても「面白さ時間切れ感」がある。
けれどこの問題に対してもおそらく販売される映画DVDには未公開部分が特典としてつくだろう(笑)
ただ特典としてついても、やはり物足りないかな私は・・・。
NHKは三谷脚本の喜劇的ドラマを制作して欲しい。