森の中の恍惚

野山が笛を吹いている

山崎重殿社

2013年01月05日 | 空色の休日 2013 

新しい村」の南、山崎山の雑木林に囲まれるように鎮座する「山崎重殿社(じゅうどのしゃ)」。これも何かのご縁かと(?)参拝。

 重殿社は山崎地区の鎮守で、地元では「権現様」とも称されている。金山彦命を祭神としており、祭礼は毎年七月二十四日に行われている。また、拝殿に多数のぞうりが見られるが、足の病に対する信仰のため奉納されたものという。
 覆屋の中にある本殿は、小規模で簡素ではあるが町内でも数少ない江戸時代の「見世棚造り」と呼ばれる造りの建物である。「見世棚造り」とは神社建築の一種で、店の棚のような形をしているのでその名がある。
 境内には、明和二年(1765)二月に建てられた稲荷社の祠や、文政十二年(1829)十月に建立された高さ約二メートルほどの大きな二十三夜塔がある。二十三夜塔とは、二十三夜に講の人々が集まり飲食をともにして、月の出を待ち拝んだりして夜を過ごすという行事で、そうした行事の記念として建てられたものである。
 また、当社には明治八年に作られた市川節堂の筆による幟旗がある。市川節堂は、群馬県に生まれ、清地村(現杉戸町)に招かれて附近の子弟の教育にあたった。
 重殿社のある山崎地区は、旧石器時代約一万数千年前から人々が住んでいた事が近年の発掘調査によって明らかになっている。以降、縄文時代後期約三千五百年前の集落や古墳時代四世紀後半の鍛冶工房跡なども発掘されており、古い歴史と文化を持っていることが知られている。
 一方、重殿社の周辺は「山崎山」と呼ばれる雑木林が広がっており、平成十三年度にさいたま緑のトラスト保全第五号地として取得され、管理・保存されている。現在、雑木林にはイヌシデやクヌギ、コナラなどがあるが、以前は赤松も多く見られた。こうした雑木林の北側には、かつては笠原沼の堀上田が広がっており、現在もその一部が残されている。


二十三夜塔。右側面に「文政十二己丑年十月吉日」、左側面に「武州埼玉郡百間村」とある。

【月待ち】つきまち 特定の月齢の日に講の仲間が集まり、供物をそなえて月の出を待ちながら、飲食をともにし、月を拝む行事。十三夜・十五夜・十七夜・十九夜・二十三夜などに行う。(Resource:大辞林 app)

【月待信仰の主尊】
 十三夜:虚空蔵菩薩
 十五夜:阿弥陀如来、薬師如来、大日如来、聖観音
 十六夜:阿弥陀如来、薬師如来、聖観音
 十七夜:聖観音、如意輪観音、勢至菩薩
 十八夜:馬頭観音、地蔵菩薩
 十九夜:如意輪観音
 二十夜:阿弥陀如来、聖観音、如意輪観音
二十一夜:如意輪観音
二十二夜:如意輪観音
二十三夜:勢至菩薩、月読尊
二十六夜:愛染明王、阿弥陀三尊(阿弥陀如来、勢至菩薩、聖観音)
  (Resource:「野仏の見方」外山晴彦・著)



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