みかんだいありー

耳鼻咽喉科クリニックの院長が、診療や日常生活で気づいたことを自由に書きたいと思います。

肺炎球菌ワクチンについて

2010-04-06 21:29:03 | Weblog
最近インフルエンザ菌による髄膜炎を予防するヒブワクチンに続いて、肺炎球菌性髄膜炎を予防するワクチン(薬品名プレベナー)が発売されました。このワクチンが「中耳炎に効果がないのか」というご質問が複数ございましたので、お答えします。
 中耳炎の原因になる細菌は、主に3つあげられます。肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ菌です。このうち肺炎球菌による中耳炎が一番重症化しやすいと言われています。おそらく、未治療の中耳炎の一部が髄膜炎に進行するケースがあるものと思われます。
 肺炎球菌にはいろいろな菌株があり、そのうち「プレベナー」は8つの株に対する(8価と呼びます)ワクチンですが、これですべての肺炎球菌をカバーしているわけではありません。将来13価のワクチンの発売も計画されていると聞きます。
 プレベナーによる中耳炎の予防効果ですが、上記の様に中耳炎の原因になる菌すべてをカバーしている訳ではないので、アメリカ・フィンランドのデータでは発病が6~7%減少するといった程度です。しかし、この中には髄膜炎に移行するような重症の中耳炎が含まれています。頻繁に中耳炎を繰り返すお子様には重症化予防の意味も含めて治療の選択枝の一つと考えてもよいと思います。
 副作用は局所の発赤と発熱が半数以上で見られますが、ほとんど心配するようなものではありません。外国での報告ですが、ごくまれに強いアナフィラキシーショックを起こした方があるようです
 6ヶ月未満の乳児には3回、それより大きなお子様には年齢に応じて2~1回の接種となっております。
 小児科でも受けられますが、当院でもご希望の方にはご用意させていただきます。任意接種ですので、費用は自己負担となります。初回が1万円、2回目以降は9千円という価格設定をさせていただきます。ただ、積極的にお勧めする訳ではありません。効果、費用、危険性を十分お考えになって下さい。
 なおインフルエンザ菌も中耳炎の原因でありますが、ヒブワクチンはタイプBインフルエンザのワクチンなのに対し、中耳炎はタイプ分けできない菌株が中心ですので、ほとんど中耳炎に対する効果が無いことを付け加えておきます。
 

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