「東京湾最速のIRCレーサーを決める」を合言葉に、
10月7、8日の日程で東京湾インショアレガッタが開催された。
クルーザー関係者しかわからないと思うので簡単に説明すると、クルーザーはほとんどの場合、大小いろいろなサイズの艇が同時にスタートしてレースを行うわけだが、艇のサイズや重さ、セールの面積、ボディの形等で、レーティング(いわゆるハンディキャップのようなもの)が決められているのだ。
その中でも、世界的に使われている統一のレーティングがIRCであり、世界で7000艇強、日本で250艇程度がそのIRCを取得しているらしい。
今回のレースでは、東京湾の浦安をホームとする8艇と横浜をホームとする2艇の全10艇が参加しており、一番大きな艇で40フィート(約12m)、一番小さな僕らの艇で23フィート(約7m)。レース艇のそれぞれにレーティングがついており、一番大きな艇ではレースの所要時間かける1.066、僕らでは0.879がかけられる。
1時間のレースを行ったとすると、
40フィート艇:3600秒×1.066=3837秒
僕らの艇:3600秒×0.879=3164秒
3637秒-3164秒=673秒
11分13秒までは差をつけられても勝てるということだ。
レースは大型艇の1クラスと小型艇の2クラスに分けられており、僕らの小型艇の2クラスは3艇のみ。
ライバルのツパマロス艇とは1時間あたり5分30秒の差までなら勝てる計算になる。
ま、難しいことは考えずに、1時間のレースで5分判の差でフィニッシュすれば勝てるってことだ。
まず初日の日曜日。3レース開催の予定で朝8時前に浦安マリーナに集合。昨晩からの雨がずっと残って、どんよりと曇った中、冷たい北風が吹いていた。
隼チームは、当初は5名の参加予定だったが、先代ヘルムスのUさんに単身赴任中の福岡よりはるばる参加頂いており、タクティシャン兼トリマーとして乗っていただいた。
予報では朝のうちに止むはずだったが、出艇時もパラパラと降り続けており、皆カッパを着こんで9時前にドックアウト。
昨年の同じ大会では、隼チームが5レース中4レースでトップで優勝だったとのことで、個人的には先代よりヘルムス(舵取り)のポジションを引き継いでいたこともあり、最低でも優勝したいと考えていたのだ。
初日は3レース実施。4m/s程度の順風で2レース、6m/s程度の若干の強風で1レース。
雨がざんざと降ったり、巨大な40フィート艇とスタートで火花を散らしたりとなかなかバラエティにとんだレース展開。
結果は総合で3位、2位、1位(小さいほうのクラスで1位、1位、1位)。
なかなかの実績だったかと思う。
巨大な艇と一緒にレースをしていると、総合で2位と言っても、フィニッシュの際は10分近い差ができている。先行艇ははるか先なのだ。
3m/sまでの微風であればハンディキャップが無くとも勝てたりするのだが、順風以上の風ではまずスピードでは勝てない。
スタートで僕らがトップスタートを切ったとしても、わずか1分のセーリングで置いていかれてしまうのだ。そこからは、先行する艇に少しでも離れないように孤独なレースをするしかないのです。でもそれが面白い。
小さい艇なので大型艇に踏み潰されないようにちょこまかと動き回り、ルールを駆使して有利なスタートを切る。
3レース目では、巨大な艇が後ろから迫ってくる中で一番シモからトップスタートを切って、上の30フィート艇に走りで勝ったのだが、非常にシビレた。
その時の写真が以下なのだが、怪物に追いたてられている気分なのだ。(TYCのHPより転載)

うーむ大迫力。逃げたくなるね。たまらんのです。
レースの後は、隼チームよりオーナーとえつさんと私、
AZチームよりNさん、ツパマロスチームの怪しいおじ様達の総勢9名で
オーナーのマンションの近くの中華料理屋で飲み会。
レースの話に盛り上がりつつ、本日半額!の紹興酒を飲む飲む。
5時から9時近くまで飲み続け、結局10本くらいのボトルを飲み干していた。
おそらく40代~60代のおじさん達は、綺麗でおしゃれなヨットマンとはなかなか言いがたく、常にビーサンだったり、仙人みたいな髭を生やしていたり、真っ黒に日焼けしていて、風体も少々変わってたりする。
毎週真剣にレースをやって、マリーナでは昼から朝から楽しそうにビールを飲んでいる姿しか見たことがないので、普段何をしている人なのかも全く想像もつかない。
夜はオーナー宅に怪しいおじさん2名と宿泊。
さらに深夜までビールを飲んでいたのだった。
翌日曜日は早朝5半に起床。
すぐに準備してオーナーの車でマリーナへ。
メンバーが揃って8時前にドッグアウト。
今日は朝から冷たい北風がピュ-ピュー吹いている。
予報だと6~7m/sだが、完全にそれ以上は吹いていた。
晴れてるのにかなり寒い。
クルーザーのレースでは、風のコンディションによって何種類かのセールを使い分けるのが一般的だ。風が強いほど、分厚くて小さなセールにチェンジしていく。
隼チームでは、艇の前方にあるセールを、ライト、ミディアム、ヘビー、No.2、No.3、ストームジブの6枚用意しており、前日のレースではミディアムで2レース、ヘビーで1レースを走っていた。
僕が今年から隼に乗り始めて、レースではずっと微風続きであり、ほとんどライトのみを使って、ミディアムも数回程度しか使っていない。
つまり強風の帆走経験がほぼ無い。しかも隼は今回の大会の参加艇で一番小さくて軽く、強風下では圧倒的に不利だった。
案の定、海に出てみると海面は荒れており、大きなうねりの波頭が崩れて白波がビュンビュン。たまらん強風コンディションだった。
しばらく迷ったが昨年新しく作ったNo.2ジブを張ってレースに挑む。
高校大学時代であれば、12m/s程度までの強風でも強気に笑って海に出ていたが、クルーザーでの強風はなにしろ未経験。
あまり無理はせずに慎重にスタートすることにした。
いざスタートしてみると、これが本来のクルーザー走りか!といった感じで大きく傾いたまま水しぶきを上げて走る走る。しかし他の艇はもっと楽そうにぐいぐい遠くに離れていく。
メイントリマーのはらさんが全身を使ってメインシートを出し引きして、艇がひっくり返らないようにコントロールしている。
僕は僕で、うねりに持っていかれないように、両手で舵を持って、波に合わせてぐりんぐりん押し引きしながら走る。
なんだか草津温泉の湯もみをやっているようだ。筋肉痛になりそう。
この強風の中で2レース、2時間以上走っていると、はらさんも体力の限界なのか、一人で爆笑しながらメインを引いていた。普段レース中にほとんど話さない寡黙な方なので、なかなか楽しいセーリングとなった。
本日の4レース、5レースの結果は、総合で8位、3位(小さいクラスで1位、1位)
さすがに初めての強風だった4レースでは、大型艇にはるかな差をつけられてしまい順位を崩したが、次のレースでは走り方にも慣れてきたようだ。
そしてこれで、小さいほうのクラスではオールトップで優勝が決まった。
特に4レース目は、さすがにツパマロス艇に5分以上差をつけられていたのでギリギリの勝利だった。
3艇しかいないとはいえ、すべて修正で勝てたのは嬉しい!
総合順位では3位入賞。強風中心のレースだったので、これはこれで嬉しい!
終始いい風に恵まれた中、予定通りに5レースを消化し、
結構ヘトヘトになりつつマリーナに帰着。
東京湾最速のIRCレーサーにはなれなかったが、
一番小さい艇で、クラス優勝、総合3位はまあまあなのではなかろーか。

やっぱりヨットレースは楽しいす。
来週はシーホースの全日本。
その次の週は横浜ベイサイドマリーナオープンヨットレース。
秋のレースシーズンが終わらない。
まだまだ真っ黒なサラリーマンとして頑張りましょう。
10月7、8日の日程で東京湾インショアレガッタが開催された。
クルーザー関係者しかわからないと思うので簡単に説明すると、クルーザーはほとんどの場合、大小いろいろなサイズの艇が同時にスタートしてレースを行うわけだが、艇のサイズや重さ、セールの面積、ボディの形等で、レーティング(いわゆるハンディキャップのようなもの)が決められているのだ。
その中でも、世界的に使われている統一のレーティングがIRCであり、世界で7000艇強、日本で250艇程度がそのIRCを取得しているらしい。
今回のレースでは、東京湾の浦安をホームとする8艇と横浜をホームとする2艇の全10艇が参加しており、一番大きな艇で40フィート(約12m)、一番小さな僕らの艇で23フィート(約7m)。レース艇のそれぞれにレーティングがついており、一番大きな艇ではレースの所要時間かける1.066、僕らでは0.879がかけられる。
1時間のレースを行ったとすると、
40フィート艇:3600秒×1.066=3837秒
僕らの艇:3600秒×0.879=3164秒
3637秒-3164秒=673秒
11分13秒までは差をつけられても勝てるということだ。
レースは大型艇の1クラスと小型艇の2クラスに分けられており、僕らの小型艇の2クラスは3艇のみ。
ライバルのツパマロス艇とは1時間あたり5分30秒の差までなら勝てる計算になる。
ま、難しいことは考えずに、1時間のレースで5分判の差でフィニッシュすれば勝てるってことだ。
まず初日の日曜日。3レース開催の予定で朝8時前に浦安マリーナに集合。昨晩からの雨がずっと残って、どんよりと曇った中、冷たい北風が吹いていた。
隼チームは、当初は5名の参加予定だったが、先代ヘルムスのUさんに単身赴任中の福岡よりはるばる参加頂いており、タクティシャン兼トリマーとして乗っていただいた。
予報では朝のうちに止むはずだったが、出艇時もパラパラと降り続けており、皆カッパを着こんで9時前にドックアウト。
昨年の同じ大会では、隼チームが5レース中4レースでトップで優勝だったとのことで、個人的には先代よりヘルムス(舵取り)のポジションを引き継いでいたこともあり、最低でも優勝したいと考えていたのだ。
初日は3レース実施。4m/s程度の順風で2レース、6m/s程度の若干の強風で1レース。
雨がざんざと降ったり、巨大な40フィート艇とスタートで火花を散らしたりとなかなかバラエティにとんだレース展開。
結果は総合で3位、2位、1位(小さいほうのクラスで1位、1位、1位)。
なかなかの実績だったかと思う。
巨大な艇と一緒にレースをしていると、総合で2位と言っても、フィニッシュの際は10分近い差ができている。先行艇ははるか先なのだ。
3m/sまでの微風であればハンディキャップが無くとも勝てたりするのだが、順風以上の風ではまずスピードでは勝てない。
スタートで僕らがトップスタートを切ったとしても、わずか1分のセーリングで置いていかれてしまうのだ。そこからは、先行する艇に少しでも離れないように孤独なレースをするしかないのです。でもそれが面白い。
小さい艇なので大型艇に踏み潰されないようにちょこまかと動き回り、ルールを駆使して有利なスタートを切る。
3レース目では、巨大な艇が後ろから迫ってくる中で一番シモからトップスタートを切って、上の30フィート艇に走りで勝ったのだが、非常にシビレた。
その時の写真が以下なのだが、怪物に追いたてられている気分なのだ。(TYCのHPより転載)

うーむ大迫力。逃げたくなるね。たまらんのです。
レースの後は、隼チームよりオーナーとえつさんと私、
AZチームよりNさん、ツパマロスチームの怪しいおじ様達の総勢9名で
オーナーのマンションの近くの中華料理屋で飲み会。
レースの話に盛り上がりつつ、本日半額!の紹興酒を飲む飲む。
5時から9時近くまで飲み続け、結局10本くらいのボトルを飲み干していた。
おそらく40代~60代のおじさん達は、綺麗でおしゃれなヨットマンとはなかなか言いがたく、常にビーサンだったり、仙人みたいな髭を生やしていたり、真っ黒に日焼けしていて、風体も少々変わってたりする。
毎週真剣にレースをやって、マリーナでは昼から朝から楽しそうにビールを飲んでいる姿しか見たことがないので、普段何をしている人なのかも全く想像もつかない。
夜はオーナー宅に怪しいおじさん2名と宿泊。
さらに深夜までビールを飲んでいたのだった。
翌日曜日は早朝5半に起床。
すぐに準備してオーナーの車でマリーナへ。
メンバーが揃って8時前にドッグアウト。
今日は朝から冷たい北風がピュ-ピュー吹いている。
予報だと6~7m/sだが、完全にそれ以上は吹いていた。
晴れてるのにかなり寒い。
クルーザーのレースでは、風のコンディションによって何種類かのセールを使い分けるのが一般的だ。風が強いほど、分厚くて小さなセールにチェンジしていく。
隼チームでは、艇の前方にあるセールを、ライト、ミディアム、ヘビー、No.2、No.3、ストームジブの6枚用意しており、前日のレースではミディアムで2レース、ヘビーで1レースを走っていた。
僕が今年から隼に乗り始めて、レースではずっと微風続きであり、ほとんどライトのみを使って、ミディアムも数回程度しか使っていない。
つまり強風の帆走経験がほぼ無い。しかも隼は今回の大会の参加艇で一番小さくて軽く、強風下では圧倒的に不利だった。
案の定、海に出てみると海面は荒れており、大きなうねりの波頭が崩れて白波がビュンビュン。たまらん強風コンディションだった。
しばらく迷ったが昨年新しく作ったNo.2ジブを張ってレースに挑む。
高校大学時代であれば、12m/s程度までの強風でも強気に笑って海に出ていたが、クルーザーでの強風はなにしろ未経験。
あまり無理はせずに慎重にスタートすることにした。
いざスタートしてみると、これが本来のクルーザー走りか!といった感じで大きく傾いたまま水しぶきを上げて走る走る。しかし他の艇はもっと楽そうにぐいぐい遠くに離れていく。
メイントリマーのはらさんが全身を使ってメインシートを出し引きして、艇がひっくり返らないようにコントロールしている。
僕は僕で、うねりに持っていかれないように、両手で舵を持って、波に合わせてぐりんぐりん押し引きしながら走る。
なんだか草津温泉の湯もみをやっているようだ。筋肉痛になりそう。
この強風の中で2レース、2時間以上走っていると、はらさんも体力の限界なのか、一人で爆笑しながらメインを引いていた。普段レース中にほとんど話さない寡黙な方なので、なかなか楽しいセーリングとなった。
本日の4レース、5レースの結果は、総合で8位、3位(小さいクラスで1位、1位)
さすがに初めての強風だった4レースでは、大型艇にはるかな差をつけられてしまい順位を崩したが、次のレースでは走り方にも慣れてきたようだ。
そしてこれで、小さいほうのクラスではオールトップで優勝が決まった。
特に4レース目は、さすがにツパマロス艇に5分以上差をつけられていたのでギリギリの勝利だった。
3艇しかいないとはいえ、すべて修正で勝てたのは嬉しい!
総合順位では3位入賞。強風中心のレースだったので、これはこれで嬉しい!
終始いい風に恵まれた中、予定通りに5レースを消化し、
結構ヘトヘトになりつつマリーナに帰着。
東京湾最速のIRCレーサーにはなれなかったが、
一番小さい艇で、クラス優勝、総合3位はまあまあなのではなかろーか。

やっぱりヨットレースは楽しいす。
来週はシーホースの全日本。
その次の週は横浜ベイサイドマリーナオープンヨットレース。
秋のレースシーズンが終わらない。
まだまだ真っ黒なサラリーマンとして頑張りましょう。