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京都 妙心寺の塔頭でモダンな庭が常時公開_大心院

2019年02月08日 | お寺・神社・特別公開

京都・妙心寺の広大な境内に39もの塔頭(たっちゅう)がありますが、常時公開されているのは3か寺だけです。その中の一つ、大心院(だいしんいん)を訪れました。

  • 応仁の乱後の権力者・細川政元が建立し、細川幽斎が中興した由緒のある寺
  • 僧の宿舎だったスタイルをとどめる宿坊を今も続けている
  • 阿吽庭(あうんてい)と切石の庭(きりいしのにわ)、個性的な2つの庭が素晴らしい


禅寺らしいとてもシンプルな空間を体験できます。伝統的なスタイルの寺の朝食をいただける宿坊体験も魅力的です。


大心院名物? 猫が廊下の真ん中で昼寝中

大心院は妙心寺の塔頭ではなく、独立した禅寺として1479(文明11)年に室町幕府の花の御所の北に開かれました。その後一時衰えましたが、天正年間(1573-93)に細川幽斎の尽力で妙心寺内の現在地に移転、塔頭となります。

現在の本堂(方丈)は、1634(寛永11)年頃、伊予松山藩主・蒲生忠知(がもうただとも)によって建てられたものです。


切石の庭、奥の建物は祖堂

本堂南側に切石の庭があります。縁側に近い方の白砂の中に、まっすぐに長石が敷き詰められているのが目につきます。長石は奥にある祖堂に向かう通路にもなりますが、通路としては周囲が苔であることが一般的です。そのため一見通路には見えず、庭のデザインとしてモダンな印象を与えています。


阿吽庭

本堂東側の阿吽庭は、昭和の名作庭家・中根金作による作庭です。中根はほぼ同時期に、同じ妙心寺の退蔵院の余香苑も手掛けています。

苔と白砂を分ける州浜の幾何学的な曲線の美しさが抜群です。築山部分には背が高い木が植えられており、コンパクトな空間に躍動感を与えています。木に比べ、配された石は小振りです。石が大きいと荒々しくなってしまうため、小さいことで空間を引き締めています。こちらも洗練されたモダンな印象を受けます。

いずれの庭園も、モダンな趣が魅力的です。小さいながらも空間を生かすよう計算されたデザインも秀逸です。妙心寺の庭園の中でもかなり個性的な庭です。



宿坊を開いているのに、公式サイトがないことには驚きます。宿泊は往復はがきで申し込みます。昔のスタイルを貫いていることを感じさせる一例です。こうしたスタイルを逆に斬新に感じる人が少なくないのでしょう。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



グローバルに活躍する妙心寺塔頭副住職が語る京都の禅の庭

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妙心寺 塔頭
大心院
【京都市観光協会サイト】 大心院

原則休館日:なし
入館(拝観)受付時間:9:00~17:00

※この塔頭は観光目的で常時公開されています。



◆おすすめ交通機関◆

JR嵯峨野線「花園」駅下車、北口から徒歩10分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→JR嵯峨野線→花園駅

【妙心寺公式サイト】 アクセス案内

※この施設には有料の駐車場があります。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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