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絹谷幸二の元気な絵を梅田で ~絶景も見事な天空美術館

2018年11月29日 | 美術館・展覧会

日本の現代美術を代表する画家・絹谷幸二(きぬたにこうじ)作品を専門に展示するミュージアム「絹谷幸二 天空(てんくう)美術館」が大阪・新梅田シティにあります。

明るく迫力のある絵で知られる絹谷の名を一躍有名にしたアフレスコ画(壁画の古典技法)や、近年多く制作しているミクストメディア(混合技法)の作品をはじめ、絹谷の迫力ある描写を堪能できる3D映像体験もできます。

空中展望台からの絶景で外国人観光客に大人気の梅田スカイビルの27Fにあり、西の大阪湾から神戸にかけての絶景も見下ろすことができます。カフェから眺める夕陽はたまらない美しさです。

絹谷の表現力は、現代美術がとっつきにくいと感じる人をも必ずや魅了させてくれます。



絹谷幸二は1943(昭和18)年に奈良の中心街、現在でいう「ならまち」に生まれました。東京芸大卒業後、1971(昭和46)年からのイタリア留学でアフレスコ画を学びます。帰国後の1974(昭和49)年に画壇の芥川賞とも呼ばれる安井賞を受賞し、一躍名をあげます。

その後も長野冬季オリンピック公式ポスター(1997年)、東京メトロ副都心線渋谷駅陶板壁画・きらきら渋谷(2008年)といった著名作品を手掛け、日本の現代美術の中心的なアーティストの一人になっています。

【絹谷幸二公式サイトの画像】 銀嶺の女神(長野五輪ポスター原画)

絹谷はフレスコ画の前に必ず”ア”を付けます。イタリア語の発音にこだわったもので、絹谷のイタリア時代への深い感謝の気持ちが感じられます。

天空美術館は2016年12月に、大手住宅メーカー・積水ハウスのCSR活動の一環として、同社の本社がある梅田スカイビルに開設されました。絹谷にとっては初の個人美術館となります。

受付では絹谷のド派手な太陽が来館者を迎え、最初から心地よく期待感を高めてくれます。受付では3D映像鑑賞用メガネを渡されます。すぐ横の円筒状のスクリーンに囲まれたシンボルゾーンの中で、立体映像「祝・飛龍不二法門」を楽しむことができます。

登場する風神・雷神は2Dでもとても迫力がある描写です。3Dで動くとなると爽快なインパクトがあります。舞い散る花びらのきらきら感も、気分をとても明るくさせてくれます。

展示ゾーンは二つ、「青」はイタリアや欧州を描いた西洋のモチーフ、「赤」は富士山や古事記、宗教画など東洋のモチーフが並びます。主に青の方が若い頃の作品が多くなります。イタリア時代は地中海の陽光をどこまでも明るく表現した作品が印象的です。長野五輪公式ポスターの原画となった「銀嶺の女神」は、絹谷の陽光表現の真骨頂と言えるでしょう。

東洋のモチーフではダイナミックな表現が印象的です。ランドマークやモチーフを、空を飛び回るように描いた作品が目立ち、こちらも気分をとても明るくしてくれます。「人類を元気に!」。美術館のキャッチコピーとしてよく目につきます。まさにその通り、絵なんてよくわからないと思う人でも、ほぼ確実に元気になって帰ることができます。

なお帰る前にもう一度3D映像を見ると、さらに記憶が鮮明になります。3D映像は何度でも見られます。


カフェの壁にはアフレスコ画の顔料瓶

カフェやミュージアムショップはスペースにゆとりがあり、ゆっくりと鑑賞後の余韻を楽しむことができます、なお西側の壁には「本日の日の入時間」が表示されています。心憎く顧客ニーズに応えています。


西側・神戸方面のパノラマ眺望

美術館と空中庭園展望台がセットになった、お得な入館チケット(1,800円)も販売しています。なお2018年9月の関空を閉鎖に追い込んだ台風の影響で屋上庭園は現在も閉鎖されています。入場は室内展望台だけになりますのでご注意ください。

【空中庭園公式サイト】 営業案内

とにかく元気になれる新梅田シティです。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



絹谷幸二の「私の履歴書」

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絹谷幸二 天空美術館
【公式サイト】https://www.kinutani-tenku.jp/

原則休館日:火曜日、年末年始、展示替え期間
入館(拝観)受付時間:10:00~17:30(金土曜・祝前日~19:30)

※この美術館は、常設展示を中心にコレクションを公開しています。
※展示作品は逐次入れ替えされます。



◆おすすめ交通機関◆

JR「大阪」駅、阪急・大阪メトロ・阪神「梅田」駅下車、徒歩10~15分

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設は有料の駐車場(新梅田シティ)を利用できます。


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