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現代美術の潮流をワタリウムで体感 ~東京 外苑前 提案上手な美術館

2018年11月20日 | 美術館・展覧会

東京メトロ銀座線の外苑前駅で降り、キラー通りを北に進むと外壁に櫛のような細かい線の入った個性的な建築が見えてきます。日本のコンテンポラリー・アート(現代美術)の発展を後押しする展覧会やイベントで定評のあるワタリウム美術館です。

年4回程度の展覧会は、国内外の様々な分野のコンテンポラリー・アーティストの作品を主に紹介しています。岡倉天心や伊藤忠太ら明治時代の人物に焦点を絞った展覧会も行われたことがあります。現代のコンテンポラリー・アートの発展に資すると見るや、時代定義にとらわれない柔軟さがあります。

1Fのミュージアムショップ「on Sundays」にはコンテンポラリー・アート作品のポストカードが圧巻の品揃えで販売されています。インテリアやデスクの雰囲気を少し変えたいときに、とても便利なショップになります。

コンテンポラリー・アートの多様性と柔軟性を体感できる素晴らしい美術館です。


美術館の外壁には子供の写真

英語のコンテンポラリー・アートは「現代美術」と日本語訳されることが一般的です。時代区分に明確な定義はありませんが、第二次大戦後の作品を指すことが多くなっています。欧米では20世紀初頭までさかのぼって含める場合もあります。

一方英語のモダン・アートは「近代美術」と日本語訳されることが一般的です。時代区分の定義は、西洋美術では19cから20cにかけての範囲を指し、さらに曖昧です。日本では明治から第二次大戦までを指すことがほぼ定説ですが、モダンの日本語訳に引っ張られて戦後の作品を対象に使われる場合もあります。

アートは時代が進むほど様々な表現が続々現れます。19cまでのように2Dは絵画と版画、3Dは彫刻と建築しかなかった時代には可能だった、流派や画風による明確な区分はほぼ不可能になっています。コンテンポラリーとモダンの境界は今後も明確になることはないでしょう。

ワタリウム美術館は「コンテンポラリー・アートの発展」というしっかりした思いを持っています。そのため展覧会やイベントを通じて、コンテンポラリー・アートの現在や将来像への仮説を確かめることができます。過去ではなく未来をより重視して運営されていることに深い感銘を受けます。

定評のある講演会やワークショップも魅力的なテーマが目白押しです。2018年は「ランドスケープを創る人」をテーマに京都の日本庭園からランドスケープ想像のヒントを得ようという講演と見学会も行われています。明治時代に日本とオスマン帝国の文化交流に追う黄な貢献をした山田寅次郎の足跡をイスタンブールまで訪ねるツアーもあります。美術館として提案するコンテンツが実に多様なのです。



1Fは入館受付とon Sundaysのフロアです。on Sundaysのショップ空間の雰囲気は通販サイトからも味わえます。一度ご覧になってください。

【ワタリウム美術館公式サイト】 on Sundays

私が訪れた2018年11月には展覧会「Hyper Land Scape KAZUKI UMEZAWA +TAKU OBATA」が行われていました。

梅沢和木は膨大な画像をPCでコラージュし、アクリル絵の具で加筆した作品が目を引きます。ICT技術を活用して現実と想像の融合を表現しています。TAKU OBATAはファッションショーに登場するような衣装をまとった人物をバランスよくデフォルメし、木彫りというクラシカルな手法で表現しています。

いずれもコンテンポラリー・アートの方向性をまさに提案しており興味深く鑑賞できました。「バーチャル」という時代が求める表現に、上手に応えられていると感じられます。

【ワタリウム美術館公式サイトの画像】 Hyper Land Scape KAZUKI UMEZAWA +TAKU OBATA



最新のコンテンポラリー・アートは、鑑賞にあたって制作当時にさかのぼった時代背景の理解が不要です。自分の感性だけで関心が持てるか否か、好きか否かをぜひ判断してみてください。ギャラリーまでは入りにくい方でも、ここは美術館ですので敷居の高さは全くありません。感性”だめし”体験には最適な美術館です。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



館オーナー自ら語るワタリウムの運営コンセプト

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ワタリウム美術館
HYPER LANDSCAPE 超えてゆく風景展 梅沢和木×TAKU OBATA
【美術館による展覧会公式サイト】

主催:ワタリウム美術館
会期:2018年9月1日(土)~12月2日(日)
原則休館日:月曜日
入館(拝観)受付時間:11:00~19:00(金土曜~21:00)

※会期中に展示作品の入れ替えは原則ありません。
※この展覧会は、今後他会場への巡回はありません。



◆おすすめ交通機関◆

東京メトロ・銀座線「外苑前」駅下車、3番出口から徒歩10分
JR東京駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:35分
京東京駅→東京メトロ・丸の内線→赤坂見附駅→東京メトロ・銀座線→外苑前駅

【公式サイト】 アクセス案内

※この施設には駐車場はありません。


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