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奈良博に興福寺・東大寺と並ぶ美仏の殿堂あり ~奈良国立博物館 なら仏像館

2017年10月28日 | 美術館・展覧会

いかにも博物館らしい西側の旧正面玄関(入口は反対側)

 

 

近鉄奈良駅から奈良公園へ向かうメインルートである広い大通り・登大路(のぼりおおじ)を進み、興福寺を過ぎたところでくぐる地下道から出ると、右手にいかにも博物館らしい建物が見えてくる。1895(明治28)年に開館した奈良国立博物館の旧本館で、現在は常設展会場の「なら仏像館」として使用されている重要文化財だ。

 

なら仏像館には戦前まで、興福寺のような大寺であっても展示収蔵施設が十分でなかったこともあり、興福寺の阿修羅像など著名な仏像が多く展示収蔵されていた。戦後になって大寺が自前の収蔵施設を持つようになり、少しずつ元の居場所へお帰りになっていった。この戦前までの展示室の様子は、なら仏像館内でパネル展示されており、阿修羅像など誰でも知っているような著名な仏像が並ぶ圧巻の様子がわかる。

 

毎年秋の正倉院展は全国から必ず訪れるという方も少なくないが、正倉院展に代表される奈良博の企画展の会場はすべて「新館」と呼ばれる建物なので、「なら仏像館」を観られた方は、もしかしたら多くないかもしれない。しかし観られたことがない方には強くお勧めすする。国立博物館の中でも仏像の展示は秀逸、しかも常設展示であり、美しい仏像にいつでもお会いできる。

 

迫力があるのは大阪・金剛寺から寄託されている国宝「降三世明王(こうさんぜみょうおう)坐像」だ。座像だが高さは2mを超え、どうやってトラックに載せて運ぶのかと不思議になるくらいに大きい。濃紺の肌身と光背で赤く燃え盛る炎とのコントラストが美しく、きらりと光る玉眼の瞳が巨体を引き締めている。現在京博にある大日如来・不動明王と合わせ、金剛寺の金堂に安置されているものだが、金堂や仏像の修理のために奈良博・京博に寄託されている。来年2018年3月には修理が終わった元の居場所の金堂にお戻りになる。奈良博でお会いできるのはあと少しだ。

 

 

降三世明王坐像

 

 

 

重文・兜跋(とばつ)毘沙門天立像は、王城鎮護のために城門に安置される仏像で、平安京の羅城門に安置されていたとされる東寺蔵の国宝がよく知られている。奈良博所蔵の重文像は、平安時代後期に東寺の国宝像を模刻したものの一つと考えられている。西域の国に現れた守護神とされるため、中央アジア人のような面立ちが表現されており、他に並ぶ日本の仏像と比べて異彩を放っている。

 

兜跋毘沙門天立像

 

 

 

奈良博で「名品展」と呼ぶ常設展は、なら仏像館で行われる「珠玉の仏たち」と青銅器館で行われる「中国古代青銅器」の他に、正倉院展のような企画展が行われていない期間に限って、西新館で仏像以外の仏教美術を展示する「珠玉の仏教美術」がある。展示作品のリストは奈良博の公式サイトで公開されているので便利だ、事前に確認されたい。

 

奈良国立博物館 名品展

http://www.narahaku.go.jp/exhibition/usual.html

 

 

 

カフェやミュージアムショップが楽しめる奈良博の地下回廊、夜間開館もおすすめ

 

 

 

近くの興福寺もライトアップされ、夜も観光客が増えている

 

 

日本や世界には、数多く「ここにしかない」名作がある。

「ここにしかない」名作に会いに行こう。

 

 

奈良博の果たした役割が大きい廃仏毀釈期の日本人の精神構造に切り込んだ古典的名著

 

 

奈良国立博物館 なら仏像館

http://www.narahaku.go.jp/guide/02.html

原則休館日:月曜

毎週金・土曜とお水取りなど周辺での大規模イベント開催時は夜間開館されます。

※展示作品は、順次展示替えされるものもあります。

 

 


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