極私的映画論+α

+αは・・・日記です(^^;
最近はすっかり+αばかりになってしまいました(笑)

映画本3冊

2012-05-18 21:05:30 | 映画全般
ベスト・オブ・映画欠席裁判 (文春文庫)
町山 智浩,柳下 毅一郎
文藝春秋


明日に向って撃て!―ハリウッドが認めた!ぼくは日本一の洋画宣伝マン (文春文庫)
古澤 利夫
文藝春秋


仁義なき日本沈没: 東宝VS.東映の戦後サバイバル (新潮新書)
春日 太一
新潮社



最近読んだ映画本三冊のご紹介です。
映画は理屈なく観て楽しければいい・・・そういう意見もごもっともですが、私はやはり映画に関すること全般が好きなので、数えきれないくらいの映画本を読んできました←ちょっと盛りました(笑)

 まず、最初のものは、もともと「ファビラス・バーカーボーイズの映画欠席裁判」というタイトルで3冊出ていましたが(うち2冊は持ってたりして)それを再編集して文庫化したものです。紹介されている作品は1997年の「タイタニック」から2007年の「007カジノロワイヤル」までの10年間の作品で、私自身ほとんど見ている作品ばかりなので本当に面白く読みました。

 要するに映画好きな二人がいいたい放題会話しているという素晴らしい内容で、もちろん大きく頷ける点もあれば、「ん?」って点があるのも否定できません。ただ、映画というものは、確かにロードショー公開中のものをみるのもいいのですが、過去に公開された作品を衛星放送やDVDで見ることも楽しいわけで。で、この本は公開当時にそれらの映画を観た二人がその時の感想を語り合ってるわけです。時が経てばまたこの二人の感想も変わるのかもしれませんね。


 2冊目の本は、20世紀フォックスの日本支社で長年腕利き宣伝マンとして活躍した作者の
いわば業界裏話です。どうしても彼が成功を収めた自慢話が多いのも事実ですが、彼の立場でしか知りえない情報を、当時はもちろん書けなかったことなどいろいろ面白く読ませてくれます。監督やプロデューサー、文字通り煌星のごとくのハリウッドスターの素顔なども読めて面白かったですね。

 この本に書かれている内容が一番新しいです。つい最近公開されてものの話題や、いま製作中のものの名前も出てきます。


 3冊目は日本映画の戦後史。しかもそれを東宝と東映に限って書き、日活や大映は?って気もしますが、あえてこの二社に絞ったみたいです。日本映画の戦後史と言っても、タイトル通り1973年くらいまでのおよそ30年間限定です。

 1950年代後半までは日本の映画産業は右肩上がりを続け、一番観客動員が多かった時には、現在の10倍の人が映画館に足を運んだそうです。それが1960年代に入ってからTV放送が本格化し、映画産業は斜陽を迎えます。その時の状況を東宝、東映の二社がどのような状況であったか、また「仁義なき戦い」「日本沈没」の二本がどのように二社を立てなおしていったかを、まさに歴史書を読むように読ませてくれます。最初に書いたように、戦後30年の邦画史ってかんじなのですが、一つだけ気になった点が。

 この作者は実は私よりも15歳ほど若いんです。その時の状況を肌で感じた現場のお歴々、もちろんそれを観にいてった観客もたくさん健在しているわけで、その時その時の時代の熱や風邪を知らない若い世代が、戦後日本の映画史をよくまぁ書けたものだと思うんですね。

 で、ふと思ったことが・・・
よく考えたら、私達が学校で習ってきたり、個人的に読む書物など・・・もちろん、昭和史に関するものならばその時のことを知ってる人が書けばそれはリアリティを生むわけです。が、しかし・・・歴史書の多くは後世の人がいろいろな文献を調べ、自分なりの解釈をして書いてきたもの。それを私たちは「ほぼ」信じているわけですね。

 そう思うと、若い世代が自分が生まれる何十年も前のことを書くということに、感動すら覚えます。生き証人がたくさんいるのにです。


 3種類の映画本は「映画が大好き」という共通項はありますが、観客の立場、売り手の立場、歴史書の立場でそれぞれ私を楽しませてくれました。

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