スケッチブック

写真と文章で、日常を記録に残す

里山の恐怖

2008-06-12 17:55:37 | 社会

オナガ(カラス科) W37㎝ 留鳥
この写真ではモノクロ調になってしまっている
順光で撮影できれば、頭は黒、羽と尻尾が青い綺麗なトリだ
10数羽から数十羽の群で生活するといわれているが、私はまだその群を見たことがない
撮影場所は市街地に近い林 




わぁぁ~、かゆい! たまらんなあ

昨日のことです
何の成果もなかったが、やはりいつもの里山に入っていた
キビタキは、もう撮り飽きたから、せめてヤマガラぐらいは撮りたいなと思っていた
いつもの観察ポイントでは、せいぜいキビタキしかやってこない
あとはシジュウカラにヒヨドリだ




それで、私は普段は近寄らない谷がやや深くなっている向こう側によじ登って
たまたまぶら下がっているロープを握って滑り落ちるのを支えていた
万が一滑り落ちたとしても大したことのない地形だし、草木がクッションになって
私の体を受け止めてくれるだろうとの判断だった

数メートル下の登山道を人がひっきりなしに行き交う
あちこちから、涌水が流れ出ていて、実に爽やかな場所なのだ
目のギョロリとした甚平さん姿の男性がよたよたと登ってくる
年の頃は私よりはかなり上で80歳は超えているだろう

彼は私の真下で立ち止まり、じろじろと眺め始めた
奇妙な時間が数十秒は流れただろう
「おまえさん、そこで何してなさる!」と、ようやく口を開いた
何してなさるなんて、見れば判るだろうと言いたかったが、相手のお年を考えて
「ヤマガラを狙っているんですよ」と丁重に返答した

かれは、ややろれつが回らない口調で「お前さんが握って居られるロープねぇ
5年ほど前に五十五六の男が首をくくったものなんだ。
遺体は処理されたが、どういう訳かロープだけが残ってね
ハヤク、降りて来なされ」

私は思わず手をロープから放すところだった
全身が硬直して、髪の毛が逆立つのを感じた
降りて来なされ、と言われたって降りられるような状況ではない
申し訳ないと思ったけれど、ロープを強く握って体を支えながら反対側へとよじ登った
小山を迂回して登山道に、這々の体で降りてきた
谷川の水で手を何度も何度も洗ったのだった

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17 コメント

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怪談話には早すぎです (あまもり)
2008-06-12 18:41:29
ぞーっとしました。
読んでいる私がぞーっとしたのですから、当のpoloさんはもっとぞーっとされたことでしょう。
山中を歩かれているとこういったことにも出くわすのですね。恐い!
愉快なキャプションの付いたオナガや清楚な紫陽花を見たあとでしたのでギャップが大きすぎます。
poloさん、もう二度とそこへは行かないでくださいね。
Unknown (pole pole)
2008-06-12 18:43:02
あらら~それはなんとも気味の悪い思いをされたのですね~
そんなこと急に言われたって手を離すわけには行きませんよね。
髪の毛まで逆立つお気持ちよくわかります。
そんなロープを片付けないなんて どういうつもりなんでしょうね~
polo さんはたまたまそのお方からお聞きになられて 事情を知られたのでしょうが 実際には ご存じなく命綱の代わりに握ったお方が何人もいらっしゃるのでしょうね。
その綱こそが命綱 (スイポテ)
2008-06-12 20:33:19
はじめに この綱で命を絶たれた見ず知らずのお方のご冥福をお祈り致します。

なんということでしょう。
ぞっとしました。
こわい思いをされましたね。
その亡くなった男性の霊が悪さをしなくてよかった。
その綱に掴まったということもひとつの因縁と考えれば、供養を望んでいるのかも知れません。

いやだわ。
私、宗教めいたこと嫌いなのにこんな事書いてる。
私も 手を合わせておきましょう。合掌。


オナガ。
本当に尾が長い。
2枚目の写真は面白い1カットですね。
・・・ (ラベンダーK)
2008-06-12 20:34:06
綺麗な紫陽花~って読み進んだらとても怖いお話。
なんでロープはそのままになったのでしょうね。
突然離すことも出来ないし・・・
心臓バクバクしちゃいそうです。
撮れましたね~ (花ぐるま)
2008-06-12 20:38:24
念願のオナガサン。
やっと撮れましたね~
何か叫んでるような嘴。
”勝手に撮るな!!?ではありませんね。

うん?そんなに険しいところへ灰って大丈夫?
なんて思っていると夏の夜の怪談ファ~怖い!!

そのご老人、脅かす心算で???
本当でしょうか?
恐ろしい!!
えっ~~ (Luna)
2008-06-12 21:31:15
命を絶った綱がpoloさんの命綱だったのですね。どういう訳かロープだけが残ってね・・・ってほんと、どう言う積りなんでしょうね。普通は片付けられるものですよね。
オナガ、ほんとに尾が長いですね。1度梢の先のほうに小さく見たことがありますが、お腹側から見るとこんなにはっきりと白黒した鳥なんですね。
あまもりさん、こんばんは (polo181)
2008-06-12 21:37:21
コメントを有難う。ぞぞっとします。あそこへは二度と近寄りません。でも、これまでに3回行っているのに、ロープには気が付きませんでした。かなり太い綱でしたよ。左手にカメラ右手にロープ、足場はようやく踏ん張れる状態ですからね。それにしても、登山者がごくごく普通に、何もなかったように現場の脇を通過してゆきます。なるほど蔦が沢山あるので、ロープには気付かないでしょうね。昨日は、小学生のグループにも会っています。もちろんですよ、二度とあそこには近寄りません。明日は、全く別の方角の平井川へ行くことにしました。
pole poleさん、こんばんは (polo181)
2008-06-12 21:50:55
コメントを有難う。知らぬが仏とはこのことを言います。手を放すと、滑り落ちますからね。落ちたとしても、命には別状ない高さですから、その話を聞くまではまるで怖くありませんでした。ヤマガラの声の方角を一生懸命に探していました。上の方を見て、目測で7,8mありました。グイグイ引っぱってもびくともしないので、子供がターザンごっこでもしたのだろうと思ったのでした。状況から判断して、あのロープを片付けるには、木登りをして枝まで行かねばなりません。だから、警察は放置したのでしょう。
なるほど、私と同じようにしてあの場所にたった人が居るかもしれません。撮影ポイントが一つ失われました。
スイポテさん、こんばんは (polo181)
2008-06-12 22:01:39
コメントを有難う。仰るとおりですね。線香の一本でも立ててご冥福をお祈りするべきかもしれません。でも、もう二度とあそこには行きたくないですよ。
野鳥の宝庫とも言える場所です。どこか別の場所を探します。スイポテさんらしいな。私も、ここから合掌してお祈りしておきます。思い出すと、太股あたりがゾゾゾゾゾと寒くなります。
オナガは、今年初めての写真です。色が出ていないのが残念です。背景が空だとどうしてもこの様な写真になってしまいます。明るい色の場所で撮影したいです。
ラベンダーKさん、こんばんは (polo181)
2008-06-12 22:09:12
コメントを有難う。怖い話で申し訳ありません。昨日書くべきところでしたが、昨日は写真の収穫がまるでなかったので、今日書いたのでした。日本は自殺大国です。一年に3万人も自殺をしています。おおよそ、1日に100人のひとが自らの命を絶っているのですね。世をはかなんで、自殺するのは、先日の秋葉原での殺傷事件よりはまだましです。無辜の人々を殺めて、死刑になるくらいなら、この自殺者のように、自分で自分の始末は付けるべきだと思いました。

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