sumire日記

映画・本の感想、レビュー、趣味のタロット占いをしていきたいと思います!

友罪

2020-08-31 20:36:24 | 日記
出口のない犯罪者の加害者のその後、
何をもって償いとするのか・・・

町工場で淡々と組み立てていく、流していく。
まるで自分の罪と向き合っているように。
元週刊誌ジャーナリストの益田と自身についてまったく口を開かない鈴木。
2人は同じ寮で暮すうちに、気づけば友情がはぐくまれていった。

そんな中、2人が働く工場の近隣で児童殺害事件が起こり、
再び17年前に起きたあの事件が彷彿とした。
ちょうどそのとき、ネットで拡散されていた少年Aの写真を見て、益田はその幼い顔に鈴木のその面影を感じた。

人生を捨てた、死のうとも死ねない二人の過去の時間が動き出す。
何をもって償いとするのか、2人はある場所で涙を流した。



2020-08-30 20:20:10 | 日記
めぐるふたつの糸

平成元年に生まれた蓮と葵は
13歳の初恋を遠く引き離され
21歳で再会し、
別人のような、でも多くの面影を残して遠く引き離れていった。

運命のいたずらと思わずにはいられない。
「世界中で活躍する。」
「普通の暮らしをする。」
二人のそれぞれの夢と目標は重なっていった。

31歳何度も糸が交差する。もう一度だけその糸を手繰り寄せたくなった。


運命の糸は途切れたり、たゆんだり、ほどけたりする。

でも、それでも、名前を呼ばずにいられない人は誰だろう。
そんなことをふと思う映画でした。
二人がとても美しかった。





mother

2020-08-29 18:18:12 | 日記
お母さんを好きなこともだめなんですか?
何がだめだったんですかね・・・生まれたときからだめですよ・・・

丸坊主になった少年の目線の先には何も映っていなかった。
空虚な瞳だった。
ただ、母親を好きだと告げた時の彼には、はっきりと、彼の意志があった。

2014年に17歳の少年が祖父母を殺害した事件から着想し、今作は制作された。


特異でありながらその様子をものともさせない雰囲気を放つのは、長澤まさみ演じる母親の秋子だった。
秋子は子供の周平が義務教育期間であるにも関わらず学校へは通わせず、かたくなにそばに置いた。
ただし育児は放棄し、自身の妖艶な魅力で男を連れ込んでは働かずに借金を繰り返す生活を送っていた。
ある日、友人と喧嘩し傷をつくってきた周平に、秋子はその傷をなめて見せた。それが秋子の愛情だった。そして幼い周平には、それが母の最大限の愛だった。

義務教育期間が終了し、周平には小さい妹ができていた。そのころ
児童相談所の亜矢が周平を学校へ誘い出す。広い世界を見て、学ぶ楽しさを感じ、安心を与えてくれた亜矢に対し恩を感じ、母と離れる道が見えるが、周平が広い世界に出ていくことを拒絶する母の一言には敵わなかった。
周平の心にはもう長いこと、「母」が居座り取り巻いていた。

そして借金取りに追われ、それまで生活を共にしていた事実上の義理の父は姿を消し、また母と子になってしまった。
秋子は周平の心に叫んだ。「もう周平しかいないんだからね」

お金はそこをつき、妹は死んでしまいそうなほど衰弱し、
秋子は「できるの?できないの?」と周平に詰め寄った。

周平には「できない」と声を上げることは許されなかった。




母がすべてだった。

お母さんを好きなこともだめなんですか?
何がだめだったんですかね・・・生まれたときからだめですよ・・・




刑務所に入った周平との面会が終わった亜矢は、秋子に会いに行った。
罪を犯してもまだ、周平は母のことを好きだと言ったと告げた。
秋子は言った。
「あの子は私の子だよ」


奥平さん演じる周平のやりきれない、光の見えない表情を直視できませんでした。それほどまでに、救うことのできない周平を見事に演じきっていました。
そして安息は束の間で、周平もこんな息遣いで生きているのだろうかと、ふと考えてしまいました。同時に、秋子はこんな時やあんな時、どんな思いなのだろう。ただひとこと「あの子は私の子だよ」と何食わぬ顔で言ってしまいそうで、その瞳に身震いがしました。