日本史の勉強している

中国や韓国との歴史認識の相違が問題になっているので、「正しい歴史」を勉強しようと思った。

浮舟について

2009-11-07 15:49:36 | Weblog
 〈宇治八の宮の三女、母は中将の君、大君・中の君の異母妹〉
 薫の恋慕に悩む中の君が彼の接近を避けるべく、その存在を告げたのが物語への最初の登場。幼いころ母とともに八の宮邸を追われ、母が常陸介の後妻となるのに従って東国で育った〔宿木〕。継子としての苦難にあい、母の決めた婚約も破談、これを不憫がる母のはからいで中の君の二条院に預けられ、薫との婚約も取り決められる〔東屋〕。常に母親の強い牽引力のよって操作される存在で、環境や状況に受動的に生かされる人物であった。
 二条院で匂宮の懸想に驚き、三条の小家に身を逃がれる。やがて薫の世話を受けて宇治に転居。しかし匂宮はそこまでも追い求め、ついに愛欲の虜となる。薫と匂宮の板挟みに苦悶した末、宇治川への入水を決意〔浮舟〕。宇治では浮舟の失踪とみて遺骸のない葬儀を執行〔蜻蛉〕。実は宇治院の裏で失心していたのを、横川の僧都一行に救われ、小野の山里で養われる。僧都の妹尼の娘婿で、妻を亡くした中将に懸想されるが、以前の愛欲の苦悩に戻るのを恐れて微動だにしない。僧都に懇願して、ついに出家、母を思うと悲しいが仏道修行と手習いに気を紛らわす日々が始まる〔手習〕。のちに薫が弟の小君を使者として派遣、しかし泣きながら対面を拒んだ〔夢浮橋〕。
 母の思惑に自在に操られる浮舟のこうした受動的な人生は、しかし、その生かされている人間関係や環境の現実を相対化してみせる。薫の抱えている悲劇的性格も、かえってこの女君の悲劇として顕現されているともみられる。なお、入水の決意など、当時の貴族女性には考えもつかない、特異な人生の選択であると言える。   おわり