どうしてもレイヒョンの手の中からチビスホを取り返したいスホヒョンは、あの手この手でレイヒョンに交渉してる。
そして一向に勝ち目がない。
「だって!これは!ぼくが拾ったの!わかる?」
「わかるけどさ…じゃあ、せめて、お風呂は別々に入ってよ」
「なんで?オマエが、恥ずかしがることじゃないでしょ」
「そうだけどさぁ〜…じゃあせめて、チビに聞いて?俺の部屋とどっちがいいか」
「オマエの部屋なんて遭難するから嫌だって」
「え〜…じゃあ、お風呂は?この子、一人でのんびり入りたいんじゃない?」
「…一緒にがいいってさ。」
「なんでだよー!」
こんな会話を日に何度となく繰り返してる。
寝るとき以外は、わりとどこにでも自由に行き来してて、たとえばチャニョルの部屋とか、ギョンスの部屋とか。
おれのとこにもふらっと現れて、少しプラプラ歩き回ってたし。
その感じがエラソウで、さすがスホヒョンだね、とかおれたちは言い合ってる。
そして、
レイヒョン、
嬉しそうだね、
って。
でも。
でも、
ちょっとだけ、気をつけて…。
(その子、確実に、いなくなるんだから。)
そんなある日。
いつも、少し遠くから笑顔でレイヒョンとちっちゃいスホヒョンのやりとりを見てるカイに、おれは疑問をぶつけてみた。
「なんで、おれたちに黙ってたの?」
「スホヒョンが、得体の切れないものは拾うな、と言っておきながら自分で拾っちゃったから、皆に示しがつかない、って。」
「それで二人でお世話してたの?こっそり?」
「うん。ちっちゃいオレ、すげぇ手のかからない良い子だったから。楽だったよ、すごく。」
「ああ、なんかわかるわ、それ。」
ふふ、って、くすぐったそうに笑う顔が、こいつちっとも昔と変わんないな、って思えて。
「なんで、おれたちに黙ってたの?」
って、もう一度きいてみた。
すると、
「スホヒョンと、二人きりの世界もいいかな、って。」
予想通りの答えが返ってきた。
「じゃあ、なんで、今、皆にそのことを話したの?」
「…そろそろオレも、外の世界に出ていく時期かな、って。」
おれはジョンインの頭を撫でてやった。
「その決心だけで、おれはお前がもう変わろうとしてるんだってわかるよ、えらいな、ジョンイナ。」
ジョンインは目を細めて笑った。
そうだ。
おれたちは昔のままじゃない。
一歩でも、二歩でも、前に進んでいるんだ。
変わらないものも、変わったものも抱えながら。
(つづく。)
そして一向に勝ち目がない。
「だって!これは!ぼくが拾ったの!わかる?」
「わかるけどさ…じゃあ、せめて、お風呂は別々に入ってよ」
「なんで?オマエが、恥ずかしがることじゃないでしょ」
「そうだけどさぁ〜…じゃあせめて、チビに聞いて?俺の部屋とどっちがいいか」
「オマエの部屋なんて遭難するから嫌だって」
「え〜…じゃあ、お風呂は?この子、一人でのんびり入りたいんじゃない?」
「…一緒にがいいってさ。」
「なんでだよー!」
こんな会話を日に何度となく繰り返してる。
寝るとき以外は、わりとどこにでも自由に行き来してて、たとえばチャニョルの部屋とか、ギョンスの部屋とか。
おれのとこにもふらっと現れて、少しプラプラ歩き回ってたし。
その感じがエラソウで、さすがスホヒョンだね、とかおれたちは言い合ってる。
そして、
レイヒョン、
嬉しそうだね、
って。
でも。
でも、
ちょっとだけ、気をつけて…。
(その子、確実に、いなくなるんだから。)
そんなある日。
いつも、少し遠くから笑顔でレイヒョンとちっちゃいスホヒョンのやりとりを見てるカイに、おれは疑問をぶつけてみた。
「なんで、おれたちに黙ってたの?」
「スホヒョンが、得体の切れないものは拾うな、と言っておきながら自分で拾っちゃったから、皆に示しがつかない、って。」
「それで二人でお世話してたの?こっそり?」
「うん。ちっちゃいオレ、すげぇ手のかからない良い子だったから。楽だったよ、すごく。」
「ああ、なんかわかるわ、それ。」
ふふ、って、くすぐったそうに笑う顔が、こいつちっとも昔と変わんないな、って思えて。
「なんで、おれたちに黙ってたの?」
って、もう一度きいてみた。
すると、
「スホヒョンと、二人きりの世界もいいかな、って。」
予想通りの答えが返ってきた。
「じゃあ、なんで、今、皆にそのことを話したの?」
「…そろそろオレも、外の世界に出ていく時期かな、って。」
おれはジョンインの頭を撫でてやった。
「その決心だけで、おれはお前がもう変わろうとしてるんだってわかるよ、えらいな、ジョンイナ。」
ジョンインは目を細めて笑った。
そうだ。
おれたちは昔のままじゃない。
一歩でも、二歩でも、前に進んでいるんだ。
変わらないものも、変わったものも抱えながら。
(つづく。)