それはそれはレイヒョンは、ちっちゃいスホヒョンを可愛がった。
ちっちゃいスホヒョンも、レイヒョンにすっかり気を許してるようで。
たまにマンネたち(セフンとカイ)が、お世話をしようとすると、露骨に嫌な顔をした。
「プライドが許さないんじゃないの、この人、年下になんかお世話されてたまるか、ってさ。」
って、チャニョルが。
そもそも年とかあんのかな?
そのわりに、チャニョルやギョンスには嫌がらずにお世話されてんだよね。
不思議。
ウミニヒョンとジョンデも、直接手出しはしないけど、口は出してる。
もうちょっと厚着させたら、とか。
これ食べるかな、なんて、チーズケーキを買ってきたり。
おれはというと、レイヒョンの楽しみを奪うのもどうかと思って、手を出さずにいる。
「きいて〜、このジュンミョニ、とってもいい子なんだよ〜食べ物に好き嫌いはないし、運動もよくするし〜」
レイヒョンが笑顔で我が子?自慢をしてくる度に、おれは、少しだけ気をつけて、って、言いたくなったけど、言わなかった。
だって。
一番、
わかってるのは、
きっと、この人だから。
最初に、いつか、さよならをしなくちゃいけない存在だと教えておいた。
だから。
…わかってて、深入りするのは、仕方ないんだ。
だって。
おれたち、目の前にあるものを愛さずにはいられないじゃないか。
だから、
もし、
その時がきて、
レイヒョンが寂しそうな顔をしたら、
おれは全力で慰めるんだ。
ヒョン、泣かないで、
おれたちがいるから、って。
おれがそんなふうに考えながらぼんやりレイヒョンとちっちゃいスホヒョンを眺めていたら、
ふと、振り返ったちっちゃいスホヒョンと目が合った。
ちょっと首を傾げてこちらを見ると、
その小さな口が動いた。
何て言ってるかなんてわからないけど。
急におれは悲しくなった。
…なんだよ、
どうして現れるんだ、
さよならするくらいなら、
最初から現れるなよ。
…うそだよ、
一緒にいられて楽しかった、
だから、
後悔なんてしてないよ…。
おれはまだまだ修行が足りない。
こんなに心が揺れるなんて。
目の前に現れたちっちゃい存在を、さよならをしたひとたちになぞらえ、
そして、その結果、
今、レイヒョンを走らせて、泣かないで、なんて抱き締められてるようじゃあ、まだまだだ。
「泣いてなんかないです、変だなぁ、ゴミでも入ったかな、」
そう言って目をこすって。
それでも止まらない涙に辟易しながら、
「おれ、あなたの力になりたいのに…」
そう言うと、
「ベッキョナは、充分、俺の力になってくれてるよ、すごく。だから泣かないで。ありがとう」
そんなレイヒョンの言葉にますます泣けてきて。
ちっちゃいスホヒョンは、「やれやれ」って表情でこちらを見てる。
そんな平和な日々が、もうずっと続くんじゃないか、って思ってたある日。
その日は、早朝(ほとんど夜中)から歌番組の収録があり、おれら全員、半分寝ながら宿舎のエントランスに集まってた。
レイヒョンの肩に、ちっちゃいスホヒョンは、大人しく乗ってる。(サトシみたいでしょ、って、レイヒョンは上機嫌なんだけど、スホヒョンは、○ケモンは好きだけど、自分がポケ○モン扱い受けるのはどうも不服らしい。)
すると突然、
ふあ、って、風が吹いたんだ。
白い霧がどこからともなく流れてきて、おれたちを囲む。
あ、お別れだ、って、おれは咄嗟に思った。
次第に、白い霧はレイヒョンの回りに濃く集まった。
時間にしたら数秒の出来事で。
霧は嘘みたいに消えていった。
同時に、
ちっちゃいスホヒョンも。
「行っちゃった…」
って、ポツリとだれかが呟いた声が、エントランスにやたら響いた。
「…気のせいかも知れないけど、」
チャニョルが、遠慮がちに、おれたちの顔色を伺いながら、といった感じで、
「ちっちゃいスホヒョンが走って行った向こうに、だれかいたよね…?」
なんて言うから。
ああ、やはり見間違いじゃなかったんだ、って、おれは妙に安心した。
「…いたね、ちっちゃい人たちが、何人か、いた。」
チェンも、厳かな声で肯定する。
おれたちは、互いに顔を見回した。
次に、言葉を続けるべきか、迷ったから。
するとレイヒョンが、静かだけれど迷いのない声で、
「12人、いたね。」
と、言ったから。
おれは泣きそうになった。
「一番に駆け寄って抱き締めてたの、絶対、タオでしょ。」
セフンが笑いながら言う。
すると一斉に、みんなもつられて笑ってしまった。
「セフンじゃないの?」「僕は人前では抱きついたりしないから」「それどーゆー意味だよ?!」
笑いながら、
おれたちは、
ホッとしたんだ。
何に、って説明はできないけど。
レイヒョンのえくぼを見ながら、
おれは、
ほっとしたんだ。
そして、やっぱり、
スホヒョンは、
笑顔のまま、涙を流してた。
(おわり。)
☆☆☆☆
『ちっちゃい・シリーズ』
最後までお付き合いくださった皆さま、ありがとうございました(^^)。
最初に書いた時は、12人揃っていて。
3人抜けた後の、『ちっちゃいセフン』で、完結したつもりだったのですが。
少しでも、ハッピーエンドにしたくて。
今回のお話ができました。
(…どこかの星の時間軸では、ちっちゃい12人が揃って暮らしてるかもしれない、というハッピーエンドなんです、私の中で。)
それから、ちっちゃいカイくんだけ、誰にも知られていない出来事だったこともずっと気になっていて。
すほよんとの閉じられた世界から、 歩き出させてあげようって思い、今回そんなエピソードも入れました。
何か問題があるたび、乗り越えて、さらに揺るぎない存在感を見せつけてくれるメンバー全員に、ただただ尊敬と感謝と。
そして、
EXOにも、抜けて行った三人にも、
どうか幸多かれ、と願うばかりです。
(ちっちゃい・EXO、完)
ちっちゃいスホヒョンも、レイヒョンにすっかり気を許してるようで。
たまにマンネたち(セフンとカイ)が、お世話をしようとすると、露骨に嫌な顔をした。
「プライドが許さないんじゃないの、この人、年下になんかお世話されてたまるか、ってさ。」
って、チャニョルが。
そもそも年とかあんのかな?
そのわりに、チャニョルやギョンスには嫌がらずにお世話されてんだよね。
不思議。
ウミニヒョンとジョンデも、直接手出しはしないけど、口は出してる。
もうちょっと厚着させたら、とか。
これ食べるかな、なんて、チーズケーキを買ってきたり。
おれはというと、レイヒョンの楽しみを奪うのもどうかと思って、手を出さずにいる。
「きいて〜、このジュンミョニ、とってもいい子なんだよ〜食べ物に好き嫌いはないし、運動もよくするし〜」
レイヒョンが笑顔で我が子?自慢をしてくる度に、おれは、少しだけ気をつけて、って、言いたくなったけど、言わなかった。
だって。
一番、
わかってるのは、
きっと、この人だから。
最初に、いつか、さよならをしなくちゃいけない存在だと教えておいた。
だから。
…わかってて、深入りするのは、仕方ないんだ。
だって。
おれたち、目の前にあるものを愛さずにはいられないじゃないか。
だから、
もし、
その時がきて、
レイヒョンが寂しそうな顔をしたら、
おれは全力で慰めるんだ。
ヒョン、泣かないで、
おれたちがいるから、って。
おれがそんなふうに考えながらぼんやりレイヒョンとちっちゃいスホヒョンを眺めていたら、
ふと、振り返ったちっちゃいスホヒョンと目が合った。
ちょっと首を傾げてこちらを見ると、
その小さな口が動いた。
何て言ってるかなんてわからないけど。
急におれは悲しくなった。
…なんだよ、
どうして現れるんだ、
さよならするくらいなら、
最初から現れるなよ。
…うそだよ、
一緒にいられて楽しかった、
だから、
後悔なんてしてないよ…。
おれはまだまだ修行が足りない。
こんなに心が揺れるなんて。
目の前に現れたちっちゃい存在を、さよならをしたひとたちになぞらえ、
そして、その結果、
今、レイヒョンを走らせて、泣かないで、なんて抱き締められてるようじゃあ、まだまだだ。
「泣いてなんかないです、変だなぁ、ゴミでも入ったかな、」
そう言って目をこすって。
それでも止まらない涙に辟易しながら、
「おれ、あなたの力になりたいのに…」
そう言うと、
「ベッキョナは、充分、俺の力になってくれてるよ、すごく。だから泣かないで。ありがとう」
そんなレイヒョンの言葉にますます泣けてきて。
ちっちゃいスホヒョンは、「やれやれ」って表情でこちらを見てる。
そんな平和な日々が、もうずっと続くんじゃないか、って思ってたある日。
その日は、早朝(ほとんど夜中)から歌番組の収録があり、おれら全員、半分寝ながら宿舎のエントランスに集まってた。
レイヒョンの肩に、ちっちゃいスホヒョンは、大人しく乗ってる。(サトシみたいでしょ、って、レイヒョンは上機嫌なんだけど、スホヒョンは、○ケモンは好きだけど、自分がポケ○モン扱い受けるのはどうも不服らしい。)
すると突然、
ふあ、って、風が吹いたんだ。
白い霧がどこからともなく流れてきて、おれたちを囲む。
あ、お別れだ、って、おれは咄嗟に思った。
次第に、白い霧はレイヒョンの回りに濃く集まった。
時間にしたら数秒の出来事で。
霧は嘘みたいに消えていった。
同時に、
ちっちゃいスホヒョンも。
「行っちゃった…」
って、ポツリとだれかが呟いた声が、エントランスにやたら響いた。
「…気のせいかも知れないけど、」
チャニョルが、遠慮がちに、おれたちの顔色を伺いながら、といった感じで、
「ちっちゃいスホヒョンが走って行った向こうに、だれかいたよね…?」
なんて言うから。
ああ、やはり見間違いじゃなかったんだ、って、おれは妙に安心した。
「…いたね、ちっちゃい人たちが、何人か、いた。」
チェンも、厳かな声で肯定する。
おれたちは、互いに顔を見回した。
次に、言葉を続けるべきか、迷ったから。
するとレイヒョンが、静かだけれど迷いのない声で、
「12人、いたね。」
と、言ったから。
おれは泣きそうになった。
「一番に駆け寄って抱き締めてたの、絶対、タオでしょ。」
セフンが笑いながら言う。
すると一斉に、みんなもつられて笑ってしまった。
「セフンじゃないの?」「僕は人前では抱きついたりしないから」「それどーゆー意味だよ?!」
笑いながら、
おれたちは、
ホッとしたんだ。
何に、って説明はできないけど。
レイヒョンのえくぼを見ながら、
おれは、
ほっとしたんだ。
そして、やっぱり、
スホヒョンは、
笑顔のまま、涙を流してた。
(おわり。)
☆☆☆☆
『ちっちゃい・シリーズ』
最後までお付き合いくださった皆さま、ありがとうございました(^^)。
最初に書いた時は、12人揃っていて。
3人抜けた後の、『ちっちゃいセフン』で、完結したつもりだったのですが。
少しでも、ハッピーエンドにしたくて。
今回のお話ができました。
(…どこかの星の時間軸では、ちっちゃい12人が揃って暮らしてるかもしれない、というハッピーエンドなんです、私の中で。)
それから、ちっちゃいカイくんだけ、誰にも知られていない出来事だったこともずっと気になっていて。
すほよんとの閉じられた世界から、 歩き出させてあげようって思い、今回そんなエピソードも入れました。
何か問題があるたび、乗り越えて、さらに揺るぎない存在感を見せつけてくれるメンバー全員に、ただただ尊敬と感謝と。
そして、
EXOにも、抜けて行った三人にも、
どうか幸多かれ、と願うばかりです。
(ちっちゃい・EXO、完)