昨日、ボトックス注射を初体験しました。
外勤先の美容クリニックで新米の『美人』女医さんの練習台ということで、眉間のボトックス注射をやりました。
かわりに(?)女医さんのエラ取り(小顔)ボトックス注射をさせてもらいました。
さて、細い注射針(30G)だったので、注射の瞬間の痛みは殆どなし。
1ヶ所の注入量は0.05mlと微量でしたが、薬液注入の痛みは意外とありました。ま、「ちょっとしみる」程度で、対した痛みではなかったですけど。
そして・・・注射後しばらくしてから(数時間後?)、眉間の周りが重いような、軽い頭痛がありました。
ボトックスで頭痛ってのはあまり聞かないし、むしろボトックスは逆に一部の頭痛の治療に用いるくらいなんですけどね。
ボトックスそのものの副作用というよりは、「眉間に注射をした」ことによる心理的影響の方が大きいような気がします。
わりとセンシティブな方なので・・・。
(患者さんに対しては平気でガンガンやるのですけど、自分自身は弱いんです・・・)
一方の女医さんは、同時に鼻唇溝(法令線)のヒアルロン酸もやっていて、こちらの方が「多少、違和感がある」と言ってましたが、ボトックスの方は何ともない様子。
ただ、ボトックスを注射する際につけた「注入部位のマーク」が残っていて(消し忘れ)・・・一日中、頬にマークをつけたまま患者さんの前にも出てたんですね-。
たしか、コンビニに買い物にも出ていたような。
さて、頭痛と眠気が重なって、昨夜は風呂にも入らず、早々に眠りにつきました。
そのせいで(いつもとベッドに入るまでの手順が違ったので)、朝起きたときにメガネがどこにあるか分からず、右往左往してしまい、挙句、メガネを捜してもらう為、妻をたたき起こしてしまいました。ごめんなさい。
まあ、しかし、一晩寝たらすっきりしました。
ボトックスの効果は、注射の数日後(2~3日後)からでてくるものなので、まだ何も変わりません。
明日か明後日あたりから変化がでてくるのかな・・・ドキドキです。
今日の一枚、満天の星空の下の富士山です。
先日の富士山・満天の星を撮影したときにデジタル(Nikon D2H)で撮影したものです。
撮影中に車が通って、手前のススキが明るく写ってしまったので、下部をカットしてあります。
先日も書きましたが、月明かりがなく暗かったため、富士山は肉眼では見えていませんでした。
このところたびたびアダパレン(ディフェリン)の話題をこのブログで取り上げています。
アダパレン(ディフェリン)-にきび治療薬
アダパレン(ディフェリン)試用
アダパレン(ディフェリン)試用 - 続き (にきび治りました)
要約すると、欧米でニキビの第一選択薬として広く用いられているアダパレン(ディフェリン)が昨年から日本でも健康保険でも使えるようになったけれど、私が勤める病院でまだ採用されていないので、国内販売元の塩野義製薬の営業のお兄さんに病院にきてもらって、院内採用に向けて調整をしているところ。
その際にサンプルを持ってきてくれて、ちょうど私自身にニキビができていたので、自分自身で試用して効果(3日でほぼ治りました!)と副作用(幸いまだ出てません!)をレポートしました。
みなさん、ディフェリンの口コミ情報に関心があるのか、このブログへのアクセスがいくらか増えているようです。
ついでに写真を見ていって気に入っていただけるとうれしいのですけど・・・・・・見てくれてるかな・・・・・・。
さて、アダパレンと同じレチノイドのトレチノイン(こちらは国内未発売、レチノイドとして欧米では先発)は、患者さんへ自費でよく処方していて、ニキビや肌の若返りによく効くことは体感しています。
私自身は、アダパレンとトレチノインと比較してどうなのか?に興味があります。
そこで、再び塩野義の営業のお兄さんに資料を持ってきてもらいました。
まず、レチノイドの受容体RARは、α、β、γの3種類あるのですが、アダパレンはβとγ特異的、トレチノインは3種類全部と結合します。
受容体とのアフィニティ(結合親和性)はいずれのタイプの受容体に対してもトレチノインがアダパレンの数倍強力です。
実際の効果や副作用の比較は、同じ濃度での研究は稀で(PubMedサーチしたらありましたが)、アダパレン0.1%とトレチノイン0.025%がだいたい同等ということらしく、よく比較されています。
(ちょうど発売されている製剤のいちばん薄い濃度どうしの比較になってます)
結論を大雑把に言うと、副作用はアダパレン0.1%がトレチノイン0.025%の半分くらい(つまりアダパレンの方が副作用が少ない)。
効果は、使用開始1週間でアダパレン0.1%がトレチノイン0.025%より優れていて(1.5倍くらい)、長期間(12週間)継続使用後ではあまり変わらない(どちらでもニキビが著明に改善)、という内容でした。
すなわち、アダパレンの方がトレチノインよりも副作用が少なく、速やかに効果がでるということで、ニキビの治療目的では、アダパレンに軍配が上がりました。
美容目的ではどうか?
残念ながら、アダパレンは米国でもニキビ治療薬としてしか認可されておらず、アダパレンを美容目的で使用した研究報告は極めて限られています。
ある研究では、アダパレンとトレチノインの処方パターンを解析して、高齢者の肌の若返り目的では、アダパレンはほとんど用いられておらず、トレチノインが用いられていると結論づけています。
トレチノインは、シワの治療でFDAから認可されているので、FDAの認可通りに使われているということですね。
それでも注意深くPubMedサーチすると、アダパレンをシミ治療に用いたとか、アダパレンによるコラーゲン産生(肌のハリやシワの改善につながる)を調べた論文は見つかりました。
アダパレンによる肌の若返り効果はあるようです。
トレチノインと比べて効果が高いか低いかまでは分からないのですが、副作用が少ない分、患者さんによってはアダパレンを使うのが良い場合もでてきそうです。
美容目的での使用は、少しずつ使ってみて患者さんの反応をみていくことになりそうですね-。
ちなみに、妻にも数回塗布しましたが、肌がボロボロ落ちてきて赤みがでてきて、休薬中です(本当はこれを乗り越えて使っていくのですけど)。
トレチノインは肌の若返りやニキビ(尋常性ざ瘡)の治療薬として広く用いられています。
私自身、美容医療科でトレチノイン0.05%のクリームをシミ(ハイドロキノンと併用で)やニキビ・ニキビ痕の治療や肌の若返り目的でよく処方しています。
トレチノインは胎児に対して催奇形性があるので、妊娠・授乳中の使用は局所塗布のみでも禁忌とされていますが、妊娠・授乳中を除けば全身への副作用は殆ど心配ないと考えられています。
全身への作用の面では、一部の白血病の治療に用いられるし、いくつかの癌に対する抗癌作用が実験で示されていて、むしろ「良い副作用」の方が期待できそうなくらいに思えます。
抗癌作用の点で、皮膚癌の予防にもなると期待されているくらいです。
ところが、トレチノイン0.1%クリームの局所療法で、高齢男性で死亡リスクが1.5倍くらいに上昇することが報告されました。
Topical tretinoin therapy and all-cause mortality.
Arch. Deramatol. 2009 Jan. 145:18-24.
具体的には、平均年齢71歳(95%が男性)の米国人を対象に、トレチノイン0.1%クリームを1日1~2回顔と耳に塗布、これを2~6年間継続するという内容の治験です。
皮膚癌の発生リスクがトレチノインで抑えられるかどうかを見るのが目的だったのですが、全く予想外に、トレチノイン塗布群で死亡率の増加(コントロール群で566人中76人が死亡、トレチノイン塗布群で565人中108人が死亡)が見られたために予定の半年前に治験が打ち切られました(死亡者が多いように感じるかもしれませんが、もともと『高齢』であることに留意して下さい)。
トレチノインの使用量(1日1回か2回か、通算で使用したチューブの本数など)と死亡率に相関関係は見られず、本当にトレチノインが『危険』なのか、今回の治験だけでは断定はできません(統計の『マジック』というのは結構あります)。
しかしながら、コトが生命に関することですし、注意を喚起すべきデータと言えるでしょう。
なお、トレチノインは何十年間も世界中で広く用いられていますが、これまで今回のように「死亡率が増加する」報告はありませんでした。
一つはっきり言えることは、世界中での高齢者へのトレチノインの処方は、殆どの場合は女性に対してされているのに対して、今回の治験では逆に大多数の治験参加者が男性だったこと。
少なくとも、トレチノイン0.1%クリームの高齢男性の長期使用は死亡リスクが増加する可能性があることを、医師と患者の双方がよく認識し(しっかりとインフォームド・コンセントして)、その上で患者がトレチノインを使いたいかどうか自身で判断すべきだといえるでしょう。