江戸川教育文化センター

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5歳児の義務教育化? あらためて阿倍自民党の「教育再生」を問う

2014-06-07 | 江戸川区教組
この教育再生実行会議ってところは一体何なのでしょう!

戦後教育のレジームからの脱却なんて言って、6・3・3制を改革して4・4・4制にするとか何とか騒いでいたかと思ったら、この学制見直しはやめることにしたという。
そのかわりに5歳児の教育を義務化する云々の話を出してきた。

どうやら、それはこういうことだ。
保育園と幼稚園の枠組みはそのままにして、その最終年度の一年間を義務化して指導内容を統一する考えだという。
しかし、これを無償化するには2610億円程かかるので、段階的に無償化するようなことを言っている。

もしかすると、これとて正式決定する前にまた変わるかもしれないが、とりあえず批判しなければならない。

まず、こういう改革案を出す前に現在の保育園と幼稚園の課題をどう認識しているか、さらに当事者とどれだけ話し合ったか等の問題がある。
保育園の待機児童や保育士不足(待遇の悪さから…)や施設不備等々の問題は解決していないが、それらをいかに解決するのか。
また、幼稚園と保育園の保育(指導)内容全般との関わりをどうするのか等、課題は多いと思う。

「小1プロブレム」なる現象は相変わらず解決するどころかひどくなる一方だが、5歳児教育を義務化することで解決に向かうと読んでいるらしい。
それまでバラバラだった就学前教育を統一して、小学校に入るための躾と心構え教育をするのであろうか。
まっ、言ってみればプレ小学校教育を幼稚園と保育園にさせるわけだ。

私が幼稚園や保育園の職員なら、こんな計画を押し付けられたら断固拒否するだろう。
これを機に賃金と定員の根本的な大幅増と施設設備の大改善が行われるなら、相談に乗って共に考えてもいいかな…程度の問題だ。

そもそも5歳児教育の義務化は、かつてから言われていた小学校の5歳入学から始まったものでもある。
諸外国の例や脳の発達研究とやらから早期教育のメリットを唱える説も少なくない。
たしかに孫の成長を側らで見ていると、次々に興味関心を抱き繰り返しトライすることで容易に習得していく。
周りの大人たちはそれを見て、「ワーすごい!」と驚き喜ぶのである。

しかし、そんなことは当たり前である。
動物の発達はもっと速いではないか。
たとえ意図的に何かを与えて早期に習得させることができても、それでどうしようというのか。
他の子より先に学力を高め、そのままぶっちぎりでゴールさせようとでもいうのか…。
あるいは、そうやってエリートを育て国を支配する人間にでもするのか。
いずれにしても、唖然とするくだらなさだ。

6歳入学と比べ5歳入学は、早生まれの子と遅生まれの子との生活経験差の割合が大きく、前者に著しく不利であるとの研究もある。
まあ、それも比較したり競争する観点からの発想であるから、「なるほど…」くらいの気持ちではあるが・・・。

これから5歳児教育義務化を巡って賛否両派の論がメディアを賑わすであろうが、次のことをはっきりおさえておく必要がある。
・ この話が今回は阿倍内閣肝入りの教育再生実行会議から出てきたものであること。
・その制度改革というものが、誰のための改革なのか?
・金をかけずに既成の枠組みを利用し、当該施設や職員に不要な責務を押し付けようとしている。
・今ある「教育の危機」を解決するのではなく、増幅させるものである。
・「教育」で最も尊重されなければならない「学び」の主体性や自由が保障されていない。
・経済格差が拡大する中で、より教育格差に拍車をかけるものである。

このような阿倍の「教育再生」策は子どもの未来を明るく照らすものではなく、「経済改革」「憲法改革」と並ぶ阿倍流「教育改革」であり、この国と人々を闇と絶望の淵へ追い込むものであることを声を大にして叫びたい。


<すばる>




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