本が読みたい!

子育ての合間に少しずつ読んでいる本の感想や、
3人の子ども達に読み聞かせる絵本の紹介など、本にまつわるお話です。

失われた記憶そして追憶 マヤ・アステカ私的紀行

2007-08-25 | 大昔
タイトルに「私的紀行」と書いてある通り,著者、曽野綾子さんの家族旅行記録です。

夫の三浦朱門さんと、息子の太郎さん、奥様、5歳の太一くん、の5人で1988年の夏1ヶ月ほどメキシコとグァテマラへ行ったそう。 いいですねー。家族でそんな遠い所,しかも1ヶ月なんて,一体いくらかかるんだろう、なんて余計な事をつい考えたりして。 私も家族で(ひとりでも良いんだけど) 南米へ行ってみたいなー。


曽野さんは 考古学者ではないけど 遺跡に詳しい。メキシコは三度目なんだそう。好きなんだろうなー。

旅行に際して調べた事や、知っている事などを 素人として説明してくれ,それをみた感想を書いている。そして時折、孫の太一くんの様子や、ピラミッドを上るのはきつい、とか 暑い、なんていう歴史本には絶対でてこないようなことも書いてあって、ひじょうに親しみが持てる内容なのだ。

”おもしろいな”と思ったのは、曽野さんは エジプトへ行って、ピラミッドを見た瞬間に「これは 登れないや」と思ったのだそう。 じつは、私も同じことを思ったのです! エジプトへ行き,ピラミッドを目の前で見た時に 全く同じ感想でした。「これは 登れない~」
 別に はりきって、「絶対登ってやる~」なんて意気込んで行ったわけではなく ただ何となく 登れるものと思いこんでいただけだったから それほどがっかりしたわけでもなかったし、そんな事より 中に入れるというワクワクのほうが強くて すぐに忘れてしまった感想でした。 それが今 曽野さんの感想を読んで ふと あの時の私と同じだー、なんて 大した事ではないけど ちょっと思い出してしまいました。


エジプトのピラミッドは 一段一段が偉く大きく、一番高いものは149cmもあり、187段目あたりの低い段でも53cmと、人が気軽に登るものではない。はいつくばってしがみついても 登るのは危険、というようなもの。

でも、私は行った事ないけど この中南米のピラミッドは、同じ名前のくせして、とても登りやすいのだそう。人が上まで登って行くことを想定して作られたピラミッドらしい。

曽野さんが思うには、 ここは周りをジャングルに囲まれている。宇宙を見たくても ブロッコリー型の木で空を覆われているこの地では 広い空を見るのはまず無理。だから、上へ上へ、樹海の上へ抜け出そうとした人々の情熱が こういうピラミッドを作り出したのでは?なんて書いている。展望台? いいねー。絶対そういう意味,私もあったと思うなー。

特に根拠もなく発見とかもない旅行記だけど 自分と身近に感じる感想でとてもおもしろかった。 食べ物やホテルの感想、出会った人々の話題などを織り交ぜながら マヤアステカの太古の都を思い浮かべさせる文章は さすが。 

いつか絶対南米旅行に行く!!!



失われた記憶そして追憶 マヤ・アステカ私的紀行
曽野綾子
PHP文庫