
僕もアルファではいろんなサーキットを走りましたが、やはり一番多く走ったのは筑波2000でした。筑波2000はスピードがそこそこ出るわりに壁の近い「リスクの高いコース」ですので、ぶつけると大変なことになるエリーゼを走らせるのは冷や汗モノ。ですが、僕的にはやはり一番慣れたコースでアルファとの違いを体感してみたかった。ところが筑波での走行会では、エリーゼなどのオープン車はロールケージや4点式ハーネスの装着を義務付けられることも多く、これまでなかなか走るチャンスがなかったのです。
この日の走行会はウィザムカーズさんが誘ってくれたもので、日本クラシックカー協会主催のイベントでした。平日の開催ではありましたが、時間は午後で、30分×2本。それで15,000円とうれしい企画。当日は子供を保育園に送ったあと、ゆっくり準備を始めました。午後枠での開催は楽ですね~。

しかし、この日は前日からの雨が予報に反してなかなかあがらず、筑波についてもまだ降ったりやんだり・・。

うちのエリーゼはタイヤの性能がかなり落ちているからかもしれませんが、街なかでも簡単にテールを振り出すので、ウェットは要注意です。エスケープゾーンの狭い筑波2000でコントロールを失ったときのリスクを、僕は156で身をもって体験していますからね。

でも、僕はどちらかというとウェットコンディションは得意な方。それにウェットコンディションはクルマの特性を顕著に感じられるというメリットもありますからね。この日は「エリーゼの動きを知る」をテーマに楽しむことにしました。

参加車両は20台程度で、その半分以上はウィザムカーズのお客さんのエリーゼ/エクシージ/2イレブン/ヨーロッパなどのロータス車でした。ですからタイム的には大半のクルマが数秒差以内に固まると思われます。ですので、僕は例によって開始早々にスローダウンして他車と離れることにします。そう、常套手段である「集団と離れてクリアラップ確保作戦」です。この作戦はバッチリ当たり、2本とも30分間にわたってほとんど他車と絡むことがなく、クリアラップをとることができたのです。おかげで色々と試すことが出来ました。
しかし、1本目は時折小雨がぱらつくウェットコンディション。なかなかタイヤも温まらずかなりドキドキの周回を重ねます。
まず、1コーナー、1ヘアの進入ではフロントブレーキが簡単にロックしてしまいます。ダンロップコーナーではアクセルを戻しただけでリアが滑り、悪夢の80R(

一番ヤバかったのは数周目の最終コーナーでした。150km/hの直線から最終コーナーへの進入でちょっとタイミングが遅れ、ブレーキング状態のままコーナーに入るとフロントから外へ流れだしました。それで少しブレーキを戻してフロントのグリップを回復し曲がり始めた次の瞬間、今度はリアが滑り始めてカウンター状態。こんな高いスピードでのカウンターはちょっとチビリそうでした。

とにかく7年モノのダンロップタイヤはウェットで全然グリップしてくれません。さらに、少しペースを上げようとしたところでレッドフラッグ。7分ほどの中断でせっかく温まり始めたタイヤもまた冷えてしまいました。
とにかく、プアなタイヤと、サーボもALB(アンチロック)も装備されていないブレーキが、ハイスピードのウェットではどうにも難しくてフロントがロックしてしまいます。MRCパンダで走った雨の耐久レースを思い出しました


しかし、2本目が始まる頃には青空が広がり、なんと陽までさしてきました。ところどころ濡れたハーフウェット状態です。これはノーマルラジアルタイヤには結構良いコンディションといえそうです。
走り始めると、1本目とはまったく違って、ブレーキ、アクセルオフ、アクセルオンの挙動の極端なシビアさがほとんどなくなっていました。アクセルもあまり我慢せずガンガン踏んでいけます。タイヤにもちゃんと熱が入ってきました。こうなるとエリーゼのドライブはとっても楽しくなってきます。
この日は久々の筑波だし、クルマも初だし、路面もタイヤも危ないので、抑えて走ることに決めていたのですが、もう気持ちを抑えきれず、最後の数周はかなり本気で走りました。
最後に思いきって走ったのでそこそこ満足し、2本目を終えた僕はピットに戻って帰り支度をしながら、「まぁ、目指す10秒はまだまだ無理としても、今日のところは156TSでのベストタイム(1"11'89)をちょっと切ったくらいかなぁ・・」とか思いつつ、鼻歌交じりで着替えを済ませました。
さて、リザルトが配付されてびっくり。12秒台後半・・・って、おわっ、156TSのベストより遅いじゃんっっ!

・・反省しました。実はダンロップ~80Rではちょっと滑るとあのクラッシュを思い出してしまい、アクセルが踏めませんでした。また、もともと苦手な高速コーナー(最終)もまだまだ消極的です。それでも軽くて動きのよいエリーゼは156TSよりもずっと速いと感じていたのですが、いやぁ甘かったです。
帰宅後、PCで、156のベストラップ車載映像と今回のエリーゼの車載映像を、同画面の左右に並べて同期をとって編集してみました。一体どこが遅かったのか・・?
結論は「直線以外は全部遅かった」でした

この156のベストラップは、一番筑波を走り慣れていた頃の僕であって、映像を見るとどのコーナーもしっかり攻め込んでいます。ステアリングを切っている時間が短く、その舵角も浅い。FFなので徹底してフロントタイヤを縦方向に使おうと努力している。クリップへのつき方も今回のように甘くない。今回のエリーゼ映像に比べると、かなりムダがないのです。「うまいなぁ、5年前のオレ。

映像比較では、1コーナー出口ですでに約1台分の差がつき、ダンロップ~80Rで2台分、2ヘア立ち上がりでは3台分くらいの差がついているように見えます。その後、裏ストレートエンドでエリーゼがほぼ追いつきますが、エリーゼは最終コーナーで後ろから来たエクシージにインを譲った分ラインにつけず、最終的にはまた1秒弱の差になってゴール・・となっています。
さらにLCIのHP

8年間FFでサーキットを走り、僕は、基本的にはやっぱりグリップ走行が速いものだと理解していました。しかしエリーゼでは、多くのプロドライバーが意図的にステアリングとブレーキで方向を変えています。
また「エリーゼはよく曲がる!」と感じていた僕にとって意外なことに、フロントから逃げていく(アンダーステア)のは僕のエリーゼだけの現象ではなく、ミドシップでフロントの接地感の乏しいエリーゼの宿命のようでした。これをプロドライバーは瞬間的なアクセルオフをうまく使ったり、舵角を2/3回転ほどまでに回してステアしています。FFだと「そんなにステアしたら加速しないじゃん!」と思うのですが、そこがリア駆動の違いなのでしょうか

こういった違いを、僕はまだモノにしきれていないのでしょう。少なくとも僕の今回の走りは、FFアルファの走りをそのままエリーゼに持ち込んだだけ、ということだったのかもしれません

ということで、今後の課題は、MRをもっと理解しコントロールできること、ブレーキとアクセルで積極的に方向を変えていくこと、あとはタイヤはケチらずちゃんとしたモノに換えること(これは反省

なんだかまた楽しくなってきました

