前回のオイルの評価のお話のなかで、「加速にいたっては絶対(笑)「思い込み」だ・・タイムを計って大きな差が出たというなら信用するけど・・」と書いたことについて、若干の反省をしております

。
我々ビジネスマンはとかく「数値化」しないと気が済まないところがあります。確かに定性的な評価では感覚論になってしまうので、ビジネスにおいてはムリにでも数値化して評価する事がとても大切ですが、その結果が昨今指摘される「ギスギスした協力できない不機嫌な職場」を生み出しているのかも知れません。数値に表れない努力や協力をしても意味がない!という風潮です。
例えば、痛みや苦しみは人それぞれであり数値では測れないはずです。親を亡くして落ち込んでいる人に「俺の親だって他界してるぞ、そのくらいで落ち込むな。」と言っても何の慰めにもなりません。血圧が150で平気な人もいれば、苦しい人もいるでしょう。月に45時間くらいの残業が全く苦にならない人もいれば、辛い人だっているでしょう。何でも数値化してそれを勝手に自分の基準にして評価するのは危険なことです。
とすれば、オイルを換えて加速が良くなったと喜んでいる人に、「そんなわけねぇだろ、何秒速くなったんだ?」と言う僕はとても浅はかで心が貧しい気がしてきました。「それはよかった。あなたの感覚ではそう感じたんですね。僕もそう感じるかわからないが、是非試してみたいな。あなたの感性にあったオイルが見つかってよかったですね。」というのがあるべき反応だったのかも知れません。
・・・・って、いったい何のブログだ?って感じですね。スミマセン。(いつも余計な話が長いんだよな・・・)



さて、先日、さわやかな日曜の朝、原宿まで出かけてロータスセンターでEVORAを見てきました。(今回はひさびさにエリーゼのブログらしい話題です!!)
朝9時半に自宅を出て、午後なら2時間くらいかかりそうな首都高3号線を軽快に走り、原宿のロータスセンタについたのはジャスト10時。早起きは三文の得とはこのことです。ちなみに帰りも原宿から自宅まではちょうど30分で、11時には自宅でくつろいでいました。
このイベントはウィザムカーズさんからハガキをいただいて、息子がそれを見つけ、行きたいとせがまれたわけですが、僕もEVORAの実車を見るのは初めてでしたので、かなり期待感がありました。
EVORAについてはご存知の方も多いと思います。このクルマは今年出たロータスの最新モデルであり、エリーゼと同じリアミッドシップながら、なんと4シーターというのが最大の特徴。外見からは4シーターには見えない流麗さ。エンジンはトヨタの3.5リッターV6で280psです。
これだけでも、EVORAが軽さと楽しさを追求したエリーゼやセブンのようなクルマとは違うことがおわかり頂けると思いますが、実際、実車をみると、このクルマがある意味高級車であり、快適さを狙っていることを感じます。
<エクステリア>
車体は隣に並んだエリーゼと比べると2まわりほど大きく感じます。そして前後オーバーハングを切りつめたエリーゼに比して、特にフロントオーバーハングは意外と大きく、エンジンの高さ(=重心の高さ)も結構高めです。運動性能面では辛い判断だったのではないでしょうか。
数字で見ると、全長はエリーゼの3.80mに対して4.34mと54cmも長く、全幅は1.72mに対して1.85mと13cm広いのですが、実は全長に対するホイールベースの割合はエリーゼと1%くらいしか違わないようです。
全体には「流麗」という言葉がピッタリ来る美しさ。内外装ともに、軽い市販パーツを選んで寄せ集めた感のあったエリーゼとの共通部品はテールランプくらいじゃないでしょうか。リアバックライトもLEDで、フロントポジションランプは「LOTUS」の文字が入った専用品(写真)。かなり細部にいたってまでしっかりと品質を意識して作りこんであります。
エンジンヘッドがリアガラス内に見えるのはフェラーリのような演出ですが、このV6エンジンの熱を逃がすために、サイドから取り入れたエアの出口がルーフ部分にも設けられています(下写真)。
<インテリア>
運転席に乗り込んでみると、エリーゼほどの乗降性の辛さは感じられませんがそれなりにタイトです。運転席の眺めは上写真の通りで高級感あふれる現代風の仕上がりです。革シートと同じ素材がインテリアに多用され、まるで高級車。革シートは高そうなレカロのバケットタイプです。メーターもシンプルながら光透過式の見やすいものになっていました。とにかく目に見えるモノ、手に触るものがエリーゼとは全く違う豪華さなのです。当然パワーウインドウもついています。
シフトは、これまたエリーゼとは大違いのカチカチきまるタイプ。アルファmitoのような「しっとり&カチカチ感」ではありませんが、ポルシェやマツダロードスターのような「軽いカチカチ感」です。これまた1速に入りにくいエリーゼとは大違い。ちなみにクラッチも決して重くありませんでした。
なお、リアシートですが、これはさすがに大人にはきつそうです。5歳の娘が「ちょうど良い」と言っていました。ロータスの乗降では、シートを一旦一番後ろにするのがコツであり、その点で、リアシートに人を乗せると前席の乗降性も悪化することは否めませんね。
それから、エンジン後部のトランクルームにはかなり無理やりゴルフバッグが積まれていました。ゴルフにもいけるぞというアピールでしょうが、短めのもの1つが精一杯です。それならせっかくある後部座席に乗せたほうが無理がなさそうです。
<動力性能>
これはショウルームでは試しようがないわけですが、かなりコンセプト的に軽さをあきらめた感があるので、セブンやエリーゼのようなヒラヒラと軽い動きは期待しない方が良いと思います。ただ、その重くなった分をカバーするだけのエンジン(V6-280PS)と、ブレーキ(前後共に4ポット)が用意されています。
あくまでも数値だけで見ると、パワーウエイトレシオが4.9kg/psとかなり低い。これはエリーゼで言えばトヨタ2ZZエンジンを積む「エリーゼR(4.7kg/ps)」に近い数字です。蛇足ですがこのパワーウエイトレシオ、エリーゼのスーパーチャージャーになると4.,1kg/psとなり、745kgしかない2-ELEVENでは、驚異の2.9kg/psとなります。通常パワーウエイトレシオが2~4kg/psのクルマとなると軒並み数千万円台の500ps~600psオーバーのクルマばかりですから、ロータスはかなりお買い得と言えます。
ただ、この数字だけでは走りの楽しさや運動性能を語れないことは言うまでもありません。
EVORAのタイヤは前18インチ、後19インチのP-ZEROで、かなり高そう(笑)です。255/35-19のリアタイヤは、後方から見ると低いボディと相まってさすがにかなり太く感じます。
「動きは期待しない方が・・」と書いたのはエリーゼに比べての「ひらひら感・スポーツ性能」のことであって、一般的な見地から見ればやはり軽い(1,382kg)し、ワイド&ローの構成から相当動力性能は高いものと思われます。
<価格>
えー、892まんえんでございます。これを高いと思うか安いと思うか・・。僕は「安い」と結論づけました。
まずはエリーゼに比べて品質面でかなり安い感じがします。エリーゼは軽いことが性能・特徴ですから、内装を含めてとてもチープ感があります。それなのに新車で500万円~800万円というプライスは、感覚的にはかなり割高感を否めないのです。実際には手作りに近い作り方や、台数の少なさ、アルミシャシー、FRPボディなどのマテリアルまで含めて考えると高くはないのかも知れませんけど。
で、逆にこれを基準にすると、当初1000万円を超えるだろうと言われていたEVORAがこの豪華装備で890万円で出てきたというのはかなり安いと思うのです。
次に、どういう人が買うかという観点です。EVORAは4シーターとはいえ実際に家族みんなで乗れるクルマではない。かといって一人で乗って走りを極める硬派なスポーツカーでもない。とすれば、この車を買える人のイメージは、「普段はLSとかベンツSクラスに乗ってて、仕事とゴルフではそれに乗るけど、休日は行きつけのクラブのホステスを連れてEVORAで一泊温泉旅行・・・。そんなおじさん、「ロータスなんてこれまでは乗り心地が悪くてホステスに嫌がられそうだったけど、このクルマならちょっと運転もうまそうに見えるし、買ってみるかな・・って感じ。問題はATがないことだなぁ・・」ってとこですか。
・・・また妄想癖が過ぎるって気もしますけど、実際誰と乗るんですかね?このクルマ。ま、ホステスではなく、子育ても終わった素敵なご夫婦が2人で週末の旅行に出かけるというのが一番健全なイメージですが、そう考えればこの価格も高くない、と考えたわけです。
最後にロータスのフラッグシップとして、900万円くらいは当たり前でしょう・・・ということで、この点でも「安い」としました。
ま、自分で買うつもりならめちゃくちゃ高いですよね。だって、どう考えてもセカンドカーですから、これを買うためには普段乗るファーストカーがあることが前提です。だから、このクルマを入手するには実際にはこの2倍以上の資金が必要と考えるべきです。僕は一台だって買えませんけど・・。
今回は夢のある話・・っていうか、夢の話ってことで。チャンチャンっ。