宣伝美術家TOMのブログ [1000-B]

宣伝美術家TOMの日常・演劇・デザイン・カメラなブログ。

舞台撮影 演劇集団よろずや第33回公演「王征路 -Othello-」

2022-11-14 21:40:00 | ●写真作品集●

久々の舞台写真の作例紹介です。

カメラ機材話が混ざるので興味のない部分は適宜読み飛ばして下さい。


さて今年唯一の舞台撮影が無事完了しました。

当日リハーサルで従来メイン機Nikon D7100と比較した結果、こちらの方が撮れると踏んで新機材FUJIFILM X-T30 IIで初撮影となりました。


作品について

演劇集団よろずや第33回公演

「王征路 -Othello-

20221111日〜13

世界館にて

作品自体の権利は演劇集団よろずやさんに、肖像権は各役者さんに、撮影画像自体の権利は宣伝美術家TOMにあります。

関係者以外の転載は劇団へご相談下さい。


演目について

シェイクスピアの悲劇「オセロー」を原作として、舞台を戦時中の満州に置き換えた作品です。会話を軸として押し潰されるような心情、策略、疑念の渦。写真的には会話シーンが多く、演者さんの顔、身体、空気感を含めた表情が見どころになります。


機材について

FUJIFILM X-T30 II

XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS


X-T30 IIは従来私が使っていたサブ機X-T20の2つ後に発売された機種になります。

X-T30 IIX-T30の後に出た機種ですがアップデート内容が地味であまり注目されず、上のグレードには人気機種のX-T4があり、さらにコロナ絡みの半導体不足をもろに被って10ヶ月で販売中止になった幻の機種。

僕は購入時期の関係で偶然これを選びましたが、意外にも良いものでした。

まずX-T20では色や明るさの暴れがあったのがX-T30 IIはオートでも割と大人しく写ります。

更に舞台照明のクセに合わせてWBを微調整、フィルムシミュレーション選択でコントラストを決めると露出補正さえ決めれば予想以上に落ち着き、破綻が少なかったです。

小さくて持ちにくい点はハンドストラップを付ければ問題なし。



舞台でいう生明かり=電球の色のままで照らしたシーン。普通のデジカメで撮ると真っ黄色になるか、黄色い雰囲気をすっ飛ばして「白」に自動調整されます。

それを黄色でもなく白でもなくできるだけ見たまま自然に残すのが舞台撮影の腕の見せ所。

戦時中の時代感、大陸の土煙の匂い。これがただの白になるのはもったいない。新機種で撮れるか心配だったこの自然さが予想外に出せたのでめでたく初採用となりました。



近年の舞台照明は色可変のLEDがかなり多いです。が、作例のようなキツい青や赤で照らすと肉眼で肌色に見えてもカメラでは飽和してしまい、塗りつぶしたような単色に写るのが悩みどころ。これが潰れず撮れたのは機材的にかなり高ポイントでした。

1/125sISO4000の悪条件でLED照明なのに自然な階調が残り、狂気の表情が撮れています。旧機種Nikon D7100だったら色が潰れてここまで撮れていません。隔世の感!


ピントは手前人物の顔にあるが強い影がかかって、もし黒が潰れて写ればこの表情も服の模様も見えていなかったはず。

奥の人物はぼやけていますが、ボケが自然なので表情が活きています。

闇と明るみがギリギリの写り。怒りと計略が渦巻くシーンに相応しい作画。



手前と奥は違う空間、というシーン。

客席から更に近づいて撮ったので遠近感が更に強くなっています。声の届かない距離で歯噛みする奥の男。本編観劇中には見られない景色を残すのもまた面白いものです。




上のコマは1/125sISO5000、下のコマは1/180sISO6400です。

全体に暗めのシーンですが剣の立ち回りがあり、難しいところです。振り抜いた刀がしっかり撮れました。ノイズも少なくピントはほぼ合焦。

あと少し設定を煮詰めたいながらかなりの及第点。おしゃれカメラに見えながら設定をハードにもできる舞台向けの機材でした。



舞台表現に重要な「心」は目には見えない。見えないものは撮れない。動きも音も撮れない写真でどうやれば残せるのかは舞台撮影の永遠の課題です。

迷う暇があれば手を動かして撮る。

そして「足」を動かして探す。

ストリートスナップでよく言われる「足で撮る」感覚は舞台にもあります。

左端男性から順に企み、悲しみ、驚き、怒りが撮れた(気がします)。演出さんや照明さんの意図がばっちり汲めた(気がする)1枚。

撮り直しが効かない舞台撮影、精進しつつ足を動かす。


この写りがありながらフジのAPS-CNikonAPS-Cより機材が小さく軽いのがありがたい。今回はキットレンズでも十分撮りきれましたが、次は少し幅広めにカバーできる標準望遠レンズを探すつもりです。



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舞台写真 演劇集団よろずや第32回本公演「青眉のひと」

2021-09-22 00:14:01 | ●写真作品集●
身辺の上演予定が少ない中、
久々の舞台撮影となりました。
今日はカメラの人以外にはピンとこない話多めです。よろしくお願いします。


演劇集団よろずや第32回本公演
「青眉のひと」
2021年9月18日 大槻能楽堂
なお上演作品の著作権その他は劇団に、各個人の肖像権は本人に、写真自体の著作権は宣伝美術家TOMにあります。
転載される際はぜひご連絡ください。

撮影機材について
今作はゲネプロがない乗り打ち公演の為本番中撮影でした。
お客様がいる中で最後列からの撮影になるので無音機材を使用する必要があり、
ちょっと変わった組み合わせです。似た事をしたい人の参考になれば。



カメラ Fujifilm X-T20
レンズ XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS
ほか三脚、GITZOビデオ雲台G2180、レベライザー


カメラはシャッター音を消すためにミラーレス、手持ちの中ではX-T20一択。
いつものD7100に比べて画質や撮影感は厳しいですが、本番中である以上音を立てるわけにはいきません。


ただ試した感じでは2時間保つのが難しいと予想。
三脚使用で手振れ補正をOFFにする事で、バッテリーの延命を図る作戦。
ほか背面モニターOFF(EVF使用)、RAWは使わず画像サイズMに。



結果、これでも2時間まであと10分ほどで電源が落ち、一度バッテリー交換しました。
D7100だったら2時間ぐらい余裕です。
持続時間はミラーレスの課題ですね。
次回はACアダプターが必要?


能楽堂特有の事情として、舞台前の角に柱があります。真正面から撮ればかわせるのですが、
感染症対策の一環としてリアルタイム配信用の映像カメラが最優先だったため正面より左に逃げています。
このカットもよく見ると左に柱が。


X-T20の欠点ですが、ホワイトバランスの暴れが起こりやすくカットによって色合いがズレます。また精度の高い中央測光にしていても露出は狂いやすい。
この辺り、D7100だと普通に撮れすぎていてありがたみがわからなかったポイントですが、普通に撮れるのってすごいことなんですね。


今回音は全て生演奏。なので無音機材は必須です。
このカメラはピント解放のみ完全無音になりますが、少しでも絞ると電磁絞りの音?が小さくジジっと鳴ります。
このあたりはおそらく絞りプレビューをOFFにするなとで回避できるか。


レンズは普及ラインにしては写りが良いです。が、舞台はやはり通しf2.8などのレンズが撮りやすいですね。
それと地味に扱い辛かったのがズームリングの固さ。固すぎて雲台まで動き、狙いが狂います。


全体に静かなシーンが多く、大半はシャッタースピード低めでもなんとかなるのですが、早い動きも混ざるので難しいところ。


照明は舞台前つらが明るく奥が暗め。センターは明るく左右端が暗め。
明部暗部の粘りはD7100の圧勝。白飛び防止で少し暗めにまとめてます。


最後に、主演の竹田朋子さんからお知らせいただいた話。
上は宣伝美術家TOMとして青眉のひとを初めて担当した2010年、つまり11年前に撮った写真(劇場は異なります)。
下が今回2021年再演のものです。

作中、俗世間を気にかけず年月を忘れて絵と向き合う様をして「仙人のよう」と言われるくだりがあります。
役者もカメラもスタッフも小手先を変えることなく粛々と続けてきた証がこの写真なら、両方を撮れた意味もあるというものです。
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舞台写真 演劇集団よろずや第28回本公演 「オー・マイ・リョーマ」

2018-06-03 11:16:19 | ●写真作品集●
舞台写真を紹介します。
写真自体の権利は演劇集団よろずやさんと宣伝美術家TOMが持っています。
無断転載はご遠慮ください。

撮影情報
Nikon D7100 + Nikon 18-200mm f/3.5-5.6 G VR
浄土宗應典院本堂ホール

写真は順不同です。



止まっているのに動きがあって、役者さんご本人達に見せたとき人気が高かったカット。
構図は真正面で日の丸構図ながら表情や動きが楽しい。いっそ真正面なのが良かったのかも、な一枚。


本作はシチュエーションコメディなので、
ギャグなどはほとんどないながらクスリとさせる演技がちりばめられた楽しい舞台でした。
となるとやっぱり表情が活き活きしている写真がだんぜん活きてきますね。性格の違いが出てる一枚。


これも表情が命な一枚。割と寄ってますがこれでも18-200mmのうち65mm(APSCで)付近。
應典院みたいに舞台が近くて幅広い撮影なら16-85mmとかのレンズが良さそう。


刀が刺さっちゃったシーン。もう完全に役者さんの勝ち。こちらは表情を逃さずシャッターを押すだけです。
舞台撮影あるあるですが、シーンがあまりに面白いとシャッターを押し忘れる事が(割とよく)あります。
こういうコメディーなんかが特に危険。一拍遅れたり、撮れてもブレてたり。


とかいいながら、表情がなくてもパンチの強い写真もあるのが不思議で面白いところ。
黙って去る男、全身で悔しがる男。背中で語ってる一枚。


これも表情は見えにくいけど気に入ってるカット。なにせ動きが楽しい。
舞台ギリギリまで近寄って斜め下から撮ったのでパースがきつく写り、お芝居を最前列で見るような迫り方をする一枚。


出演11人のうち10人が一瞬相見える瞬間。舞台を左から右までぐるっと見たような広角の写真ですがこれもかなり近寄って撮ってます。
人口密度が高いのにこんなに奇麗に全員の顔が見えるのは、撮影の腕どうこうではなくひとえに役者さん達の調整のおかげ。
それにしてもこの舞台、奇麗ですね。

※参考比較 Fujifilm X-T20 + 18-55mmキットレンズ

場当たり(スタッフさん用に設定をなぞっていくリハーサル)を横から撮っただけなので画角はスルーで。
照明の赤い雰囲気がホワイトバランスで白に寄せられてしまってるのはカスタムバランスで調整できるとして、
ピントは比較的に正確です。これだけの写りをそうとう軽いカメラセットで実現できる事、シャッターを無音にできる事が
X-T20の大きなアドバンテージ。しっくり来るフィルムシミュレーションが見つけられるなら実践投入も十分可能かと。

撮るのがとても楽しい舞台でした。
次は第10回奈良演劇祭。どんな写真が撮れるやら。
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舞台撮影 子どもミュージカル クラップクラップファンタジー(=CCF)第2回自主公演「サマーフェスティバル」

2017-08-13 20:35:37 | ●写真作品集●
CCFは奈良演劇祭に出演されたときに撮った事が2度ありましたが、
初めて正式なご依頼を戴いて自主公演の舞台撮影に行ってきました。
前回自主公演のときにもきちんとしたカメラマンさんが撮影していて、
撮影のバトンを引き継いで気が引き締まります。

昼の部の機材は2台体制ですが、ほぼメイン機に頼る布陣です。
主機
Nikon D7100 + TAMRON 70-200mmF2.8(A009)
副機
Nikon D3100 + Nikon 18-200mmF3.5-5.6 VR1

夜の部は1台体制。
Nikon D7100 + Nikon 24-70mmF2.8

昼の部と夜の部で演目がほぼ同じものが多いので、撮り方を変えてみました。
昼は客席後方中央から三脚+ビデオ雲台で、遠くから狙い撃ち。
夜は客席前よりの左右端から斜め撮りです。

・各写真の著作権は宣伝美術家TOMが、肖像権は各アクターさんが保有しています。
・無断での転載、使用はお控え下さい。
・あくまで撮影例としての紹介の為、全演目や全員はカバーできていません。



まず三脚座を使う最大の利点で
三脚撮影でも縦構図と横構図を混ぜて撮れます。
もっと縦横の切り替え速度を上げるにはジンバル雲台を使ったり、縦用カメラと横用カメラ2台にするなどもアリでしょうか。理想は2人体制か。



前列と後列が意外と離れていたりするのでF値もやや高め。
それでも前列後列だと少しぼけが強くなります(1枚目)。
演劇よりも動きが多いミュージカル舞台なのでシャッター速度は高め(2枚目)。
足の先まで止めて撮ろうとするともっと早いシャッター速度が必要ですね。
必然的にISOも高くなりますが、最近のカメラは本当に破綻が少ないです。綺麗。
感度は自動で撮っていますがこの舞台は平均1000前後、最大で4000でした。



客席斜め横から撮った夜の部より。
斜めは全員の顔を収めるのはほぼ不可能になるかわりに人の重なりが出てカッコよくなります。
この先にいるお客様、に対峙してる姿って良いですね。躍動感も出ます。どこを狙って撮るかがとても重要。


僕の機材ラインナップでは今や最古参になりましたがまだまだ使える旧機、NikonD3100の写真。
今回は手持ちで広角&全景だけを担当。万一の故障があればメインに昇格できる保険でもあります。
ISO autoの変動の仕方が違う事やWBのバージョンが古くD7100に比べて色合いがおとなしめになりやすい事など違いを踏まえれば十分使える機種。画素数も1600万画素あれば足ります。
そろそろ新しいサブ機を探してもいいとは思いつつ、結構D3100に助けられることも多い。なかなかあなどれません。
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舞台撮影 劇役ユニット:サンリズム 旗揚げ公演「正犠論」

2017-07-08 22:37:08 | ●写真作品集●
舞台撮影データの紹介です。
写真自体の著作権は宣伝美術家TOMに、肖像権は写っている役者さん達にあります。
無断転載・無断転用はお断りします。

撮影情報
機体  Nikon D7100
レンズ AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED
船場サザンシアター 2017年6月30日(ゲネ撮影)











1対1のカットを5枚セレクト。
演劇では基本的に誰かと誰かが話す事が多く、1対1はそのなかでもよくある構図です。
上司と部下、友人(同性同士か男女か)、違う立場の人間(この場合医者と警察)。
この小屋とカメラの都合というやつで離れすぎだと一枚におさめるのが難しくなるので
このぐらいの距離だと1対1で対話しているのを撮りやすい。
それぞれ気持ちのベクトルが向かいあっているのか、逸れているのか。
気持ちが進むのか、離れていくのか。
人Aと人Bの違い。それが面白い。




振り返るところを別々のシーンで。
写真には言葉が写らないので、となると、目は口ほどに物を言うわけです。
そのためかは知らないけれど、自分が撮影するときは視線の行き先に注目する事が多いです。
見ているのか、見ていないのか。気がついたのか。他の人と違うのか。







非日常。例えば写真で言うなら、明かりが非現実なカット。
美しい照明って目には見えてもカメラにはとても酷で、見たままに撮れずいつも難儀します。
さらに欲を言えば、
例えばここの3枚は綺麗なライトを写したいというよりは「気持ち」とかそういうのが写ってほしくて。
気持ちなんて眼に見えないので写真に写らないかもしれないけど、それでもそれが写ってほしくて。
あっ、写ったかも、なのが今回はこの3枚でした。
そう考えるとゴールが果てしなく遠いですね。


悩ましくも楽しく撮ることができました。
より良い次回を祈って。
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第9回奈良演劇祭 舞台写真

2017-06-07 11:40:19 | ●写真作品集●
(2017年6月8日 機材周りを加筆しました)
第9回となる今年も奈良演劇祭の舞台撮影を担当しました。
位置取りは昨年同様に客席最後列、舞台までは20mぐらい。
機材は昨年とほとんど同じです。
主カメラ Nikon D7100 & レンズ TAMRON A009 (SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD)
副カメラ LUMIX GX7 & レンズ LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6
主カメラは奇麗に撮るための望遠セット。F2.8通しのおかげで明るさを保ったまま撮りやすい。
副カメラはF値は少し変動するが、音を出せないシーンでも撮れる無音シャッターが強みです。
D7100はGITZOのビデオ雲台にレンズの三脚座を使って固定。GX7は手持ち撮影。
サブを手持ちにすることで予想外の事態も撮りやすくする狙いです。
本番撮影となる奈良演劇祭では定番にしている2台セットです。
約6時間の撮影でもバッテリーは交換無しで保ちました。

以下、各団体敬称略、表彰式立ち位置順掲載です。
※各写真それぞれの団体様が肖像権を、写真自体の著作権はTOMが保有します。無断での転載はできません。

こどもミュージカルサークル CRAP CRAP FANTASY

真っ暗になった世界を元に戻すため、
歌と踊りと鏡で気を引いて岩戸をこじ開けるシーン。
奥の天照大神、岩の隙間、鏡だけに光が当たってとても奇麗。

着替えてみんなでダンス、ジャンプのシーン。
周りをよく見て飛ぶ子、手足を使って精一杯飛び上がる子。
みんな少しずつ違っていることから元気さが感じられます。
A009レンズの反応速度が活きた写真。

EVENT-STATION.

にらみ合いのシーン。生明かりの電球色が酒場感というか、
ノスタルジーな雰囲気をだしています。

サスライト2本のみのラストシーン。
D3100に比べてAE(自動露出)が暴れにくいD7100の強みが出た一枚。
一発で撮る場合の自動処理の賢さは新しい機種・上位機種がやはり強い。

劇団くらっぷ

暗闇に浮かび上がる3人の神様、冒頭のシーン。
カラフルさが期待を感じさせます。

神様が人間を審判するシーン。本来難しい事を言うシーンですが
どことなくユーモラスな雰囲気が出た一枚。

屋根のはと

屋根のはとは演劇というより体験。
息を通して自分を見つめ直すという趣向で観客と一緒に深呼吸をするところ。

観客と一緒に自分を捜すところ、説明中。
写真を撮るには明るさも動きも問題ないながら、
彼らが得ている感覚やお客様の感情などは写真に残す事ができません。
写真というものの限界を感じた演目でした。

芝居Maker GoooooToJ

静かなシーンが大半だったためほとんどを副カメラで撮影しました。
シャッター音が無ければ主カメラで撮りたかったシーン。
とはいえ、薄暗い雰囲気をぎりぎり捉えられています。

空を見る二人のシルエット。暗転寸前。
これが撮れた事は大きくて、副カメラでも問題ないと思える一枚。

ナ・LIVE

20名(の、鹿)が入り乱れるシーン。人数(鹿の数)がすごい。
楽しさがビシビシ伝わる画になりました。

変わって、西部劇風のシーン。
大人数がキチンと統制されていると切り替わりがとても楽しく、写真も映えますね。
CCFもナ・LIVEも約20名いますが、おかげさまで良い画が撮れました。

舞台写真とは違うけれど今年はおまけで表彰式(閉会式)も掲載。

7団体の代表さん。今年も幅広い団体さんが集まってくださいました。
撮っていて楽しかったです。ありがとう!

審査委員長特別賞、屋根のはと。来年からは身体表現を学ぶため海外留学とのこと。帰国してまた出演する時はこちらも心を撮れるカメラマンでありたい。

来年もまた良い演劇祭が撮れますように。
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EVENT-STATION. sta,33 「遮那仏の肉叢(しゃなぶつのししむら)」 舞台写真

2016-12-04 15:21:33 | ●写真作品集●
EVENT-STATION. sta,33 「遮那仏の肉叢(しゃなぶつのししむら)」 舞台写真

今年もイベントステーションさんの舞台写真を撮らせていただきました。
掲載カットは日を追って順に少しずつ追加します。
あくまで撮影例の紹介の為、役者さんは全員写っているわけではなくかなり偏ります。
※掲載にあたっては全員に許可を頂いています。無断での転載はご遠慮下さい。

以上をご了承下さい。

撮影情報
カメラ Nikon D7100 レンズ Nikon 18-200mm 初代VR
今回は人数が一度に多く出る舞台で広角重視なのと、完全な下見ができていなかったのもあり
28-70mm f2.8ではなく18-200mm VRでとっさの補足率を高める作戦でいきました。
ゲネプロで客席にスタッフさんがいるため席内に入らず、最前列前の通路で撮影。
また舞台の背景が黒のみのため自動露出には厳しい撮影になり、シフト補正をかなり使ってます。



冒頭の悪夢の中のシーン。撮影を行ったゲネプロでは赤一色で気持ち悪さを強く出しています。
千秋楽最終の本番では赤以外のエリアも増え、手前と奥がさらに際立つ照明になりました。
舞台は観る回によって変わりますが照明もそのひとつで、ゲネ撮影の難しさでもあります。


端に集まって内緒話をする3人。
3人の表情を押さえたいが後ろの様子も撮りたい。こういう時、絞りを解放して3人以外をぼかせば
3人が際立っていわゆるカッコいい写真になります。しかしそうすると周囲は見えない。どちらをとるか。
撮る側の好みであったり自然と着眼している箇所であったりが仕上がりを左右するところですね。


殺陣シーンです。棒術で暴れ回る坊主と敵役。
殺陣はどんなに狙ってもなかなか思った通りには仕上がりません。
演者さんの息が合っているか、撮影者の注目点が正しいか、それとやはり、「運」も関わります。
機材と技術を磨いて、構えて待つのみ。読めない動きのため広角端18mmで撮影。


今回24-70mmレンズではなく18-200mmを選んだ事で撮れたカットの一つです。
写真の技術的には至って普通の作ですが、舞台が暗転し時間が止まった中、花道で一人語る大切なシーンなので
できるだけワイド一杯で撮る事で広さと一人感とを出したく、18mmで撮影しています。


上のと比べて少しだけ寄り20mm撮影のカット。両袖が写るのを嫌って2mm寄ってます。
人物が規則正しく並んでいて中心人物だけがライトアップ。広さの醍醐味があります。


38mm。顔だけでは伝わらない2人の関係性が欲しくてちょっと広めに撮りました。
もし僕が本職だったとしてこの写真をレタッチして仕上げるなら、上部照明機材を消すと思います。
逆にそれができると分かる場合は少し広めに撮る方が編集の自由度が高く、僕はそちら派です。


セリフが聞こえなくても色々想像させられる写真。
改めて見てみると写真には立ち居振る舞いがとても重要です。


表情はもちろん、ライティングでも悲しみが伝わるカット。
能楽の面の顔つきが影で変わっていくのに似てます。


手前と奥の意味。映画でも演劇でも、暗黙の了解で決まっている演出。
フォーカスされる(注目される)側と、それに対峙する側。


この世の存在ではない役柄から、剣を授かるシーン。
剣は切り開く力の暗喩であり、反撃の開始でもあります。
立ち位置、ライティング、表情。言葉以外を使った表現。カメラマンの目からこれらはとても好きです。


斬り掛かる瞬間。当たった瞬間も奇麗ですが、次を想像できるカットもワクワクします。


このシーンは力ではなく交渉で渡り合うシーン。
静かに、あくまで静かに睨み合う。力で劣る側が話で相手を止めるところ。
横位置も撮りましたが縦位置のこれがとても静かでお気に入りです。
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第8回奈良演劇祭 舞台写真

2016-06-05 10:17:55 | ●写真作品集●
今年も恒例の奈良演劇祭で舞台撮影を担当しました。
いくつ団体が集まるかと不安があった演劇祭も蓋を開けてみると8団体と盛況で
テイストも多岐に渡っておりシャッターの人差し指に力が入りました。

さて、以下は撮影機材のお話。難しい場合は画像まで飛ばして大丈夫です。

前回掲載した第5回奈良演劇祭から

今回までに撮影機材がいくつか更新されました。

距離は同じく客席最後列(役者まで約20m)からの望遠撮影ですが、
前回NikonのD3100だったのがD7100に、
Nikon純正の18-200mm初代VRレンズだったのがTAMRONのA009(70-200 F2.8)に、
三脚は変わりませんが雲台を3wayタイプからGITZOのビデオ雲台タイプに変更しました。
完全に手持ちを捨てて定点撮影スタイルです。
レンズのA009は今回が初使用。
AFが静か(ここ、舞台撮りには最重要だったりする)で素早く、狙いやすいレンズでした。

そして最大の変更点はサブカメラ。
LUMIX GX7に14-140mmレンズを組み合わせ、完全無音+35mm換算で28mmから280mmの望遠仕様。
演劇は演目によってシャッター音が憚られるものが多々あるもので、そういうシーンはこちらに持ち替えました。
それと有効だったネタとして、「超無音」にするために手振れ補正をOFFにするという荒技も使いました。
他、滅多に使わないやり方ですが70mmではわずかに望遠過ぎて両ソデまで撮りきれないことがあるので、
ワイド担当としても併用しました。

以下、各団体敬称略、50音順です。
※各写真それぞれの団体様が肖像権を、写真自体の著作権はTOMが保有します。無断での転載はできません。

CCF(=こどもミュージカルサークル クラップクラップファンタジー)


ダンスは演劇よりスピーディで撮るのも大変ですが、A009レンズの明るさでシャッタースピードを高めにできました。
色合いの暴れもなくおだやかに撮れています。舞台写真なのでWB調整は電球色を残し目にしています。

EVENT-STATION.


2枚ともホリゾントの赤が強く入る厳しい条件ですがツブレ、飛びとも自然でかなりナチュラルに撮れてます。
表情が分かりやすいのは撮影の腕というより演出と役者のがんばりでしょう。

GoooootoJ


カラーホリゾントを主体とした強めのライティングは露出設定がズレやすく、細かく補正しながら撮ります。
2枚のうち赤のカットはサブカメラLUMIXで手持ちですが、ツブレもほとんどなく撮れました。D7100には及ばずとも十分及第点な写り。

コトバとカラダの研究所


子どもにも(大人にも)分かりやすい、言葉も体も声もフルに活かしたステージ。
絵本を題材にした舞台らしく声が写真に写っているような動きを素早い合焦のおかげで収めることができました。

チーム・チャットクルー


静かに光る海。「こちら側」を部屋のように暖かい色で表すか、外である「向こう側」を暖色でフィーチャーするか、の2枚を掲載。
暗い中での照明の切り替えが大切な舞台、黒が美しく撮れた団体でした。

得ジョー


暗い方のカットはAFが苦手とする「中ヌケの構図」、しかもかなり暗め。うまく人物に焦点が来てます。
アップの構図も中ヌケですが絞りを開けられるA009の恩恵で背景がしっかりぼけて人物を引き立てられました。

ナLIVE実行委員会


演技ではなくワークショップで参加した団体さん。メインカメラとサブカメラの併用が多かったステージです。
舞台袖ギリギリまで広がった様子はGX7で、ギュッと集まった様子はD7100で撮り分けています。

役者でない


今回から三脚座になった事で縦横の切り替えをしながら雲台で撮れるようになりました。これは割と大きい差です。
割と激しい動きなのに破綻なく撮れている事こそ、この機材の本領。限界が広がります。

来年も良い出演者さんが集まりますように。そして良い写真が残せますように!
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EVENT-STATION. sta,31 「双極やがて掌をさす」 舞台写真

2015-12-17 16:49:58 | ●写真作品集●
EVENT-STATION. sta,31 「双極やがて掌をさす」 舞台写真

恒例となってきた感のあるイベントステーションさんの舞台写真をいくつか掲載します。
掲載カットは日を追って順に少しずつ追加します。
あくまで撮影例の紹介の為、役者さんは全員写っているわけではなくかなり偏ります。
※掲載にあたっては全員に許可を頂いています。無断での転載はご遠慮下さい。
以上ご了承下さい。

撮影情報
カメラ本体は前回と同じく Nikon D7100ですが
レンズをNikon 28-70mm f/2.8 AF-S に変えた結果、ピントの正確さが上がりました。
全体に歩留まりが上がっている(没カットが減った)のもあるんですが、
ピントokカットの合焦精度が高めに安定している感じです。それと合焦がとても速い。
画面周囲の描写精度も評判通りで、高いですね。
その分すっごい重いんですが、重さだけは人間ががんばるしかないですね。
あとカメラが分かる人には意外かも知れませんがf2.8はあまり使っていないです。

ではさっそく。


つねづね舞台写真は動と静だと(僕は)思ってます。
このカットは思いっきり静。
この舞台は「八百屋舞台」と言って、傾斜がついて舞台奥が高くなっています。
自分に託された刀を見つめる人物とそれを見守る人物。
手前と奥が重ならずに一望できるのは八百屋舞台の醍醐味ですね。


そしてこちらは動が静になる瞬間。
ひるがえった左袖とか、たすきに絞った右袖の紐のフワッと浮かぶ感覚。
チラシ撮影のときにもこのニュアンスを付けたくて色々やってみましたが
本当に動いて本当に止まる姿には敵わないですね。
顔にも刀にも無理なくピントがあっているのが気持ちいいカット。


二者ともに舞台正面を向いていますが、じつは向かい合って会話している設定のシーンです。
現実にはない舞台的な表現。映画やコミックにも近いものがありますね。
高いところに位の高い人物がいるのも、リーダーの影に部下が二人隠れているのも「画的」な演出。
シンプルながら使いでのある構造の舞台で、写真にもとても映えてました。


この画面上では1対3の、闘いのシーン。
やはり高いところにいる二人は刀を持つことはなく、手下の一人が応戦してます。
向かって右側のご本人から、「殺陣(たて)のシーンは写真で見るまで
こんなに見下すような姿勢だったとは気付かなかった」とコメントいただきました。
もちろん自分の思い通りに身体を動かして演技できるのがベターですが、
この場合無意識が役柄にバッチリ合っていたのでむしろOKですね。
そういうことも撮れるカメラマンでいたい、と思います。


ライティングがとても面白い。
神職の偉い人物と、頭を下げる人物。
上下はあれど怒っているわけではないところとか、ちょっとした悔しさとか、
演技からも色々にじみ出てます。


これも八百屋舞台ならでは。にらみ合う2人を背中越しに。
明らかな力の差を高低差が表しながらも、負けたくないのがわかります。
刀までいれるため女性の表情が見えにくい側(左寄り)から撮りましたが、
表情を想像する余地があって結果よかったと思うカット。


立ち、ひざまずき、座り、倒れ。
ある程度役者に任されている「動き」がうまい具合に色とりどりに揃ったカット。
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舞台写真 EVENT-STATION. sta,30 釈迦ケ嶽の迷ひ寺(しゃかがたけのまよいでら)

2015-07-09 16:06:43 | ●写真作品集●
先日のゲネで撮影した舞台写真を順次掲載していきます。
各写真は撮影した私と劇団EVENT-STATION.が権利を有しています。
無断転載はご遠慮下さい。転載などは劇団さんへお問い合わせいただきますようお願いします。
あくまで写真についての解説記事ですので、全キャストさんが網羅できていないなどの点はご容赦ください。

舞台情報
劇団EVENT-STATION. sta,30 釈迦ケ嶽の迷ひ寺
2015年6月27日~28日 王寺りーべるホール

撮影データ
2015年6月26日ゲネプロにて撮影
機材
Nikon D7100
AF-S DX VR(初代) Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED


舞台上は明るいところと暗いところの差が大きく、適正露出でない人物もたくさん出ます。
それがまた良い。


髪、姿勢、見得、目線。


バラバラに立つ多人数の目線が一箇所にきれいに集まっているのが、立体的で楽しい。


ふとしたシーン。横位置で切り取るかと思わせておいての縦位置のおかげで「しゃがんだ」のがわかる。


お面の表情って光で千変万化しますね。この舞台中で一番鬼らしかったライティング。


仲良し。とか、2人とも絶対喰えない男だな。とか。そういう余地が伝わる写真。


6人が全然違う座り方。こういうところはわざわざ演出指定されないんですが、自然に変わっちゃうところが見どころです。


おなじみ殺陣シーンを、上手(舞台右端)よりから。真正面だけが舞台じゃない。ちょっと左右に振って撮るのが好みです。


ちょうど明かりを受けて一瞬光った刀。運はいくらあっても足りない。


剣戟というより、はじき返した刹那の一枚。「次」が思い浮かぶ写真。


写真としては失敗に分類されそうなローキー(暗め)の写真。でも気持ちが撮れるなら関係ない。


台詞は写真に写らないので。それを想像するのもまた一興ですね。
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