【モロ民族解放戦線がフィリピンのミンダナオ島で市民を襲撃した結果・・・】
2013年9月9日、フィリピンのミンダナオ島でモロ民族解放戦線がサンボアンガ市を襲撃し、モロ民族解放戦線の戦闘員と交戦した政府軍の兵士2名と市民2名の少なくとも4名が犠牲となりました。
モロ民族解放戦線のメンバーは市民を人質に今もサンボアンガ市を占拠中で、独立自治を要求しているとのことです。
300人の戦闘員がサンボアンガ市を襲撃した今回の事件。
個人的にはフィリピンでこんな大規模な戦闘が起こるイメージがないですし、そもそもモロ民族解放戦線という団体もミンダナオ島もサンボアンガ市も独立や自治のハナシも初耳でしたので、少し調べてみました。
※こっちのページを見て頂くとよりわかりやすくなっています。
⇒⇒⇒モロ民族解放戦線がフィリピンのミンダナオ島で市民を襲撃した結果
~事件が起きた場所~
まずは今回、事件が起きた場所を見てみましょう。ここがサンボアンガ市です。
位置的にはフィリピンの最下部、マレーシアとインドネシアに限りなく近い場所にあります。
~モロ民族解放戦線とは~
地図で見たフィリピンのサンボアンガ市に、なんと300人以上のモロ民族解放戦線のメンバーが乗り込んで行って市一帯を占拠してしまった今回の事件。
ではそもそもモロ民族解放戦線ってどんな団体なのでしょうか。
モロ民族解放戦線はイスラム教徒による政治組織です。以前は独立を求めてフィリピン政府と対立する反政府勢力でした。結成は1970年。だいぶ前です。
「独立させろ!!自治を認めろ!!認めないと暴れるぞ!!」と主張し、フィリピン政府と対立していました。
戦闘員の数は最盛期で3万人以上にものぼる大組織で、しばしば戦闘により独立と自治を主張していました。
(画像はモロ民族解放戦線の旗。子供の落書きみたいに見えるのは私だけでしょうか・・・)
その後、1996年にモロ民族解放戦線とフィリピン政府との間で和平協定が結ばれます。
和平協定とは「もう戦闘はやめましょう」という、言ってみれば「仲直り」です。
和平協定締結と一緒のタイミングで、モロ民族解放戦線のみなさんに、自治区が認められます。
それがイスラム教徒ミンダナオ自治地域です。この地域で自分たちで政治をしても良いですよと、フィリピン政府から認められたわけです。
~モロ民族解放戦線とイスラム教徒ミンダナオ自治地域~
長い闘いの末、自治地域を勝ち取ったモロ民族解放戦線のメンバーたち。
めでたしめでたし、かと思いきや、問題が出てきました。
当初、自治が認められるはずだった地域のほとんどは自治が認められず、実際に自治を認められたのはフィリピンの端っこのごくわずかの地域だったのです。
この画像を見て頂くとそのズレがよく分かります。
~モロ民族解放戦線の消えない不満~
一応自治は認められたものの、これではなんか納得がいかない。
モロ民族解放戦線の一部は、「納得いかないからまだ戦闘を続ける!!」という声明を出して今日まで闘っているということなのです。
個人的には国の一部を自治地域として認められたのはスゴい事だと思います。
しかしこれが武力ではなくなんとか話し合いでできないものかなと、心から思ってしまいます。
今後、占拠されたサンボアンガ市がどうなるのか、見守ることしかできません。