プラハ(CNN) 英対外情報部(MI6)のムーア長官はチェコの首都プラハで異例の演説を行い、ロシア民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が先月24日の反乱中、プーチン大統領との間でモスクワ進軍を中止する取引を実際に行っていたことを明らかにした。両氏の間で取引があったことを西側情報機関が確認するのは初めて。
プリゴジン氏はその数日後、クレムリン(ロシア大統領府)に招かれ、プーチン氏と会談したとみられる。
ムーア氏は反乱が起きた先月24日に触れ、「あの日のプーチン氏の行動を振り返ると」、「プリゴジン氏は朝の時点では裏切り者だったと思う。夕食時までに許され、その数日後にはお茶に招かれた」と指摘。MI6の長官であっても個々人の動静について解釈を試みるのはやや難しいと語った。
ムーア氏はまた、プリゴジン氏自身の健康状態や所在について珍しく言及。プリゴジン氏は「生存していて健康か」とのCNNの質問に、MI6の理解では今も「あちこちを移動している」と指摘した。
西側の情報機関はこれまで、西側のスパイが内乱を仕組み煽(あお)っているとのロシアの言い分に誤った根拠を与えるとの懸念から、プリゴジン氏の反乱未遂について多くを語っていない。
ただ、カメラを入れた今回の演説では、反乱のあった週末にあらわになったプーチン氏の弱さがいかに衝撃的だったかというムーア氏の見解が示された。
「プーチン氏はプリゴジン氏に反撃しなかった」とムーア氏は指摘。ベラルーシのルカシェンコ大統領が介入して取引をまとめたことに言及し、「彼は自らの身を守るため、ベラルーシの指導者の仲介を利用した」との見方を示した。
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