最近、Facebookを見ていて
かつての音楽仲間が2022年3月に亡くなっていた事がわかった。
彼は理知的で音楽には自分以上の美学を持ち、都内下町を拠点に曲作りに励んでいた関西出身で、
とある音楽ライブで知り合った。
彼とのつきあいの最盛期には、自分も仕事を終えた金曜日の夜、
クルマを飛ばして信州の弾き語りイベント会場に駆け込んだのを覚えている。
彼はいろいろなミュージシャンとの繋がりもあり、
彼の参加がまたイベントの一時期を彩っていた。
また彼の音楽仲間とも知り合い、文京区の家にお邪魔して(彼の焼く)お好み焼きを美味しくいただいた。
・・・良い時代だったと思う。
そんな彼が突然、そのイベントと興行主と袂を分かった事を知る。
彼はとあるミュージシャン招致にいろいろ動いていたにもかかわらず
興行主はそのミュージシャンの事務所にもまったく挨拶に行かないなどの「手抜き」ぶりで
彼の苦労を思いやらずに夜中に彼の家に上がり込んでは平気で寝ていた、と言う。
自分はそれ以降もその興行主とは数年付き合っていたが、
やがてそのイベントにも綻びが目立ちだした。
ある時某音楽グループ所属のメンバーが集団でイベント当日にドタキャンして、
決してアマチュアではなく優れた人たちだったが特定のゲスト出演があまりにもマンネリ化して、
出演者も緊張感がなくなり、本番前の音出しにも来ない「片手間」の者が目立ち始めた。
自分も興行主に何度か忠告はしたのだが意を介さなかった――
そして、今から8年くらい前、
ついに自分も興行主と袂を分かった。
この頃にはいろいろな絆がボロボロと崩壊して、
関西出身の音楽仲間とも”とあるきっかけ”で仲たがいを起こし、
彼の音楽仲間も自分との繋がりは「ただの腰かけ」で、
本気でなかった事を知って、自ら連絡を絶った。
この間、父を見送った。
人生は短い。 もう無駄なことに付き合うのはやめた。
かくて自分が本来やりたかったAORやフュージョンなどのバンド・アンサンブルに戻るべく
キーボードを学び直したり、新しい繋がりを模索し始めた・・・
思えば昨年2月頃、フェイスブックで突然関西出身の彼から連絡が入った。
彼は関西に帰り、新しい仕事のための勉強をしていた。
「どうやらガンになったようなので、入院します」との報せ。
自分ももうわだかまりはなかったので
「元気になっての退院を待ってます」と返したら
「(イイネ!)」のサインをくれた。
彼からの連絡は、それが最後だった・・・
2023年、
自分の青春時代を彩ったミュージシャンの方々の訃報が相次いだ。
YMOの高橋幸宏さん、同じく教授(坂本龍一さん)、
そしてアリスの谷村新司さん、
もんた&ブラザーズのもんたよしのりさんまで・・・
そんな中、YouTubeで加藤和彦さん(1947-2009)の音楽がヒットされた。
そう言えば今月16日は加藤さんの命日だったんだ。
ヨーロッパ3部作の第3弾、1981年発売の『ベル・エキセントリック』 は、
パリ・シャトウ・スタジオ録音。
レコーディングメンバーとして坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏、矢野顕子、大村憲司、清水信之。
1920年代のパリにおける男女の情景を描いたアルバム。
アルバム全体にシンセサイザーによるテクノ・ポップの要素や響きが無機質ではなく
ヨーロッパ文化やベル・エポックの時代の退廃的雰囲気を見事に醸し出している。
最後の10曲目には、エリック・サティのピアノ曲「Je te veux」を坂本龍一が弾いている。
ジャケットは絵本「不思議の国のアリス」で有名な金子國義氏によるもの。
「パパ・ヘミングウェイ」「うたかたのオペラ」とともにソロアルバム・ヨーロッパ3部作は
安井かずみとのコンビによる永遠の最高傑作の名盤として
30年以上経たいまでも聴き継がれている。
氏が手掛けた『パパ・ヘミングウェイ』(1979)はバハマ&マイアミでの録音。
『うたかたのオペラ』(1980)は東西冷戦下の西ベルリン録音で、
『ベル・エキセントリック』(1981)はパリのお城のスタジオでの録音。
・・・ああ、なんてバブリーで、自分には手の届かない世界なんだろうか。
どんなにスタジオを替えても、エンジニアとミュージシャンが同じなら、音はさほど変わらないのに。
バブルはやがてはじけるもの。
そして、晩年はうつを患い、この世から消えた。
(彼には多額の借金があったとも聞く)
「世の中が音楽を必要としなくなり、もう創作の意欲もなくなった。
死にたいというより、消えてしまいたい」の言葉を遺して――
今、改めて自分は思う。
自分を偽らず、一歩一歩足元を踏みしめて歩きたいと。
飾った世界に流されずに、愚直に仕事をしたいと。
最後になりますが、音楽仲間だった関西のHさん、
ありがとうございました。 合掌。
アルバム『ベル・エキセントリック』(1981)の中の一曲です。
浮気なGigi(ニュー・リマスター・ヴァージョン)
作詞:安井かずみ
作曲・編曲:加藤和彦
歌詞:オリコンニュース
https://www.oricon.co.jp/prof/196844/lyrics/I230713/
ウィキペディア解説:
https://w.wiki/7wx2
2023年10月29日付訪問者数:192名様
2023年10月30日付訪問者数:164名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。
かつての音楽仲間が2022年3月に亡くなっていた事がわかった。
彼は理知的で音楽には自分以上の美学を持ち、都内下町を拠点に曲作りに励んでいた関西出身で、
とある音楽ライブで知り合った。
彼とのつきあいの最盛期には、自分も仕事を終えた金曜日の夜、
クルマを飛ばして信州の弾き語りイベント会場に駆け込んだのを覚えている。
彼はいろいろなミュージシャンとの繋がりもあり、
彼の参加がまたイベントの一時期を彩っていた。
また彼の音楽仲間とも知り合い、文京区の家にお邪魔して(彼の焼く)お好み焼きを美味しくいただいた。
・・・良い時代だったと思う。
そんな彼が突然、そのイベントと興行主と袂を分かった事を知る。
彼はとあるミュージシャン招致にいろいろ動いていたにもかかわらず
興行主はそのミュージシャンの事務所にもまったく挨拶に行かないなどの「手抜き」ぶりで
彼の苦労を思いやらずに夜中に彼の家に上がり込んでは平気で寝ていた、と言う。
自分はそれ以降もその興行主とは数年付き合っていたが、
やがてそのイベントにも綻びが目立ちだした。
ある時某音楽グループ所属のメンバーが集団でイベント当日にドタキャンして、
決してアマチュアではなく優れた人たちだったが特定のゲスト出演があまりにもマンネリ化して、
出演者も緊張感がなくなり、本番前の音出しにも来ない「片手間」の者が目立ち始めた。
自分も興行主に何度か忠告はしたのだが意を介さなかった――
そして、今から8年くらい前、
ついに自分も興行主と袂を分かった。
この頃にはいろいろな絆がボロボロと崩壊して、
関西出身の音楽仲間とも”とあるきっかけ”で仲たがいを起こし、
彼の音楽仲間も自分との繋がりは「ただの腰かけ」で、
本気でなかった事を知って、自ら連絡を絶った。
この間、父を見送った。
人生は短い。 もう無駄なことに付き合うのはやめた。
かくて自分が本来やりたかったAORやフュージョンなどのバンド・アンサンブルに戻るべく
キーボードを学び直したり、新しい繋がりを模索し始めた・・・
思えば昨年2月頃、フェイスブックで突然関西出身の彼から連絡が入った。
彼は関西に帰り、新しい仕事のための勉強をしていた。
「どうやらガンになったようなので、入院します」との報せ。
自分ももうわだかまりはなかったので
「元気になっての退院を待ってます」と返したら
「(イイネ!)」のサインをくれた。
彼からの連絡は、それが最後だった・・・
2023年、
自分の青春時代を彩ったミュージシャンの方々の訃報が相次いだ。
YMOの高橋幸宏さん、同じく教授(坂本龍一さん)、
そしてアリスの谷村新司さん、
もんた&ブラザーズのもんたよしのりさんまで・・・
そんな中、YouTubeで加藤和彦さん(1947-2009)の音楽がヒットされた。
そう言えば今月16日は加藤さんの命日だったんだ。
ヨーロッパ3部作の第3弾、1981年発売の『ベル・エキセントリック』 は、
パリ・シャトウ・スタジオ録音。
レコーディングメンバーとして坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏、矢野顕子、大村憲司、清水信之。
1920年代のパリにおける男女の情景を描いたアルバム。
アルバム全体にシンセサイザーによるテクノ・ポップの要素や響きが無機質ではなく
ヨーロッパ文化やベル・エポックの時代の退廃的雰囲気を見事に醸し出している。
最後の10曲目には、エリック・サティのピアノ曲「Je te veux」を坂本龍一が弾いている。
ジャケットは絵本「不思議の国のアリス」で有名な金子國義氏によるもの。
「パパ・ヘミングウェイ」「うたかたのオペラ」とともにソロアルバム・ヨーロッパ3部作は
安井かずみとのコンビによる永遠の最高傑作の名盤として
30年以上経たいまでも聴き継がれている。
氏が手掛けた『パパ・ヘミングウェイ』(1979)はバハマ&マイアミでの録音。
『うたかたのオペラ』(1980)は東西冷戦下の西ベルリン録音で、
『ベル・エキセントリック』(1981)はパリのお城のスタジオでの録音。
・・・ああ、なんてバブリーで、自分には手の届かない世界なんだろうか。
どんなにスタジオを替えても、エンジニアとミュージシャンが同じなら、音はさほど変わらないのに。
バブルはやがてはじけるもの。
そして、晩年はうつを患い、この世から消えた。
(彼には多額の借金があったとも聞く)
「世の中が音楽を必要としなくなり、もう創作の意欲もなくなった。
死にたいというより、消えてしまいたい」の言葉を遺して――
今、改めて自分は思う。
自分を偽らず、一歩一歩足元を踏みしめて歩きたいと。
飾った世界に流されずに、愚直に仕事をしたいと。
最後になりますが、音楽仲間だった関西のHさん、
ありがとうございました。 合掌。
アルバム『ベル・エキセントリック』(1981)の中の一曲です。
浮気なGigi(ニュー・リマスター・ヴァージョン)
作詞:安井かずみ
作曲・編曲:加藤和彦
歌詞:オリコンニュース
https://www.oricon.co.jp/prof/196844/lyrics/I230713/
ウィキペディア解説:
https://w.wiki/7wx2
2023年10月29日付訪問者数:192名様
2023年10月30日付訪問者数:164名様
お付き合いいただき、ありがとうございました。