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広島平和記念式典 広島県・湯崎英彦知事のあいさつ/広島の平和行政が変質していないか(東京新聞記事より)

2024-08-08 | 日記
TBS News Dig Powered by JNN(RCC 中国放送)2024年8月6日付記事
広島平和記念式典 広島県・湯崎英彦知事のあいさつ
 「人類が核兵器の存在を漫然と黙認したまま被爆者を一人、また一人と失っていくことに耐えられない」
 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1341334?display=1



2024年8月6日の広島平和記念式典で、広島県の湯崎知事があいさつした。全文は以下の通り。

79回目の8月6日を迎えるにあたり、
原爆犠牲者の御霊に、広島県民を代表して謹んで哀悼の誠を捧げます。

そして、今なお、後遺症で苦しんでおられる被爆者や御遺族の方々に、
心からお見舞いを申し上げます。

原爆投下というこの世に比類無い凄惨な歴史的事実が、私たちの心を深く突き刺すのは、
「誰にも二度と同じ苦しみを味わってほしくない」という強い思いにかられた被爆者が、
思い出したくもない地獄について紡ぎ出す言葉があるからです。
その被爆者を、79年を経た今、
私たちはお一人、お一人と失っていき、
その最後の言葉を次世代につなげるべく様々な取組を行っています。


先般、私は、数多の弥生人の遺骨が発掘されている
鳥取県青谷上寺地遺跡を訪問する機会を得ました。
そこでは、頭蓋骨や腰骨に突き刺さった矢尻など、
当時の争いの生々しさを物語る多くの殺傷痕を目の当たりにし、
必ずしも平穏ではなかった当時の暮らしに思いを巡らせました。

翻って現在も、世界中で戦争は続いています。
強い者が勝つ。
弱い者は踏みにじられる。

現代では、矢尻や刀ではなく、
男も女も子供も老人も銃弾で撃ち抜かれ、
あるいはミサイルで粉々にされる。
国連が作ってきた世界の秩序の守護者たるべき大国が、
公然と国際法違反の侵攻や力による現状変更を試みる。
それが弥生の過去から続いている現実です。

いわゆる現実主義者は、だからこそ、力には力を、と言う。
核兵器には、核兵器を。
しかし、そこでは、もう一つの現実は意図的に無視されています。
人類が発明してかつて使われなかった兵器はない。
禁止された化学兵器も引き続き使われている。
核兵器も、それが存在する限り必ずいつか再び使われることになるでしょう。

私たちは、真の現実主義者にならなければなりません。
核廃絶は遠くに掲げる理想ではないのです。
今、必死に取り組まなければならない、人類存続に関わる差し迫った現実の問題です。

にもかかわらず、核廃絶に向けた取組には、
知的、人的、財政的資源など、あらゆる資源の投下が不十分です。
片や、核兵器維持増強や戦略構築のために、昨年だけでも14兆円を超える資金が投資され、
何万人ものコンサルタントや軍・行政関係者、また、科学者と技術者が投入されています。


現実を直視することのできる世界の皆さん、
私たちが行うべきことは、核兵器廃絶を本当に実現するため、
資源を思い切って投入することです。
想像してください。
核兵器維持増強の十分の一の1.4兆円や数千人の専門家を投入すれば、
核廃絶も具体的に大きく前進するでしょう。


ある沖縄の研究者が、不注意で指の形が変わるほどの水ぶくれの火傷を負い、
のたうちまわるような痛みに苦しみながら、
放射線を浴びた人などの深い痛みを、自分の痛みと重ね合わせて本当に想像できていたか、
と述べていました。
誰だか分からないほど顔が火ぶくれしたり、
目玉や腸が飛び出したままさまよったりした被爆者の痛みを、
私たちは本当に自分の指のひどい火傷と重ね合わせることができているでしょうか。
人類が核兵器の存在を漫然と黙認したまま、
この痛みや苦しみを私たちに伝えようとしてきた被爆者を
一人、また一人と失っていくことに、私は耐えられません。

「過ちは繰り返しませぬから」という誓いを、
私たちは今一度思い起こすべきではないでしょうか。


令和6年8月6日

 広島県知事 湯崎英彦

【湯崎英彦広島県知事 挨拶】「核廃絶は遠くに掲げる理想ではない」
 被爆79年 2024年広島平和記念式典 |2024年8月6日



※「ある沖縄の研究者」の言葉として紹介した内容は、
中国新聞の令和6年6月18日(火)の朝刊に掲載された、上間陽子氏(教育学者、琉球大学教授)執筆の
「論考2024誰かの痛み忘却しない」から引用

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広島市長の平和宣言と並び、深く伝わってくる湯崎県知事の挨拶でした。

にもかかわらず、岸田首相の平和に対する姿勢には”逃げ”の一語に尽きるものばかりで
とてもこれ以上日本を任せられない。

核兵器禁止条約にひと言も触れなかった岸田首相
 被爆者の怒りは当然です

#核兵器禁止条約
#核兵器禁止条約に参加の日本を
#広島原爆の日
#広島平和記念式典


「首相は核禁条約から逃げている」 面会の被爆者団体幹部らが怒り|
 毎日新聞2024年8月6日付記事
 https://mainichi.jp/articles/20240806/k00/00m/040/330000c 」
  愛知県平和委員会@aichi_peace·さんのツイート。


東京新聞 2024年7月26日付記事
「広島原爆の日の式典、周辺での「平和運動」を締め出しへ
 公園一帯で「入場規制」、プラカードやのぼりは禁止」
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/342847

8月6日の広島市の平和記念式典で、
原爆ドーム周辺を含めた平和記念公園の全域に入場規制を広げる市の方針が波紋を広げている。

メイン会場から離れたエリアも手荷物検査を受けないと入れず、
プラカードやのぼりの持ち込みを禁止。安全対策を理由とするが、
法的根拠はなく行きすぎた表現規制との懸念も。

背景には近年の平和行政の変質も指摘される。
 (文章執筆:山田雄之 氏、山田祐一郎 氏)


◆物議を醸した「園内での禁止行為」
広島市は5月、
平和記念式典で、入場規制エリアを昨年まで対象外だった
原爆ドーム周辺を含む公園全体に広げる「安全対策」を発表した。
当日午前5〜9時に入場規制し、6カ所のゲートで手荷物検査を行うとした。

これに加えて物議を醸したのが園内での禁止行為。
「式典の運営に支障を来す」としてマイクや拡声器のほか、
プラカードや横断幕の持ち込み、はちまきやゼッケンの着用まで禁じ、
従わなければ退去を命令することがあるとした。
 
規制強化の理由としたのは昨年の式典の際、
原爆ドーム周辺で市職員に活動家の集団が腕を組んでぶつかるなどした「衝突事案」だ。
5人が暴力行為法違反の疑いで逮捕、起訴された。
 
松井一実市長は記者会見で
「参列する市民の安全を最優先に考えての措置」と強調。
「原爆ドームや供養塔の周辺で毎年、慰霊に関する行事をしている団体もあると思うが」と問われると、
「今までのような集会はできなくなるかと思いますね」と淡々と応じた。


◆「核廃絶の思いを自由に伝えたいと考える人は多い」のに
被爆者たちの受け止めはさまざまだ。

広島県原爆被害者団体協議会の箕牧(みまき)智之理事長(82)は「こちら特報部」の取材に
「騒動を起こす人がいることも事実。
 犠牲者を追悼するために厳粛に式典を行いたい。
 規制は仕方ない」と理解を示す。

一方、もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(79)は
「祈る場所は必要以上に制限されるべきではない。
 反戦や核廃絶の思いを自由に伝えたいと考える人は多い」
と話した。

6月上旬、日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島は
「ゼッケンなどの着用禁止は表現の自由に抵触する。
 取り消すべきではないか」と市長あての質問状を出した。
JCJ広島幹事の難波健治さん(76)は
「そもそも式典を巡る問題は騒音だった。
 いつのまにか安全の問題にすり替わった」と強調する。


◆「条例は関係なく法的根拠はない」
どういうことか。
会場周辺のデモで拡声器が使われたことを受け、
市が2019年に参列者に行ったアンケートでは、
音が聞こえたという人の約6割が「式典に悪影響がある」と回答。
市議会は2021年、
議員提案された「市民の理解と協力の下に、厳粛の中で行う」と定めた”市平和推進基本条例”を
賛成多数で可決した経緯がある。
ただ「厳粛」の具体的な規定はなく、
県弁護士会などは「市民の表現を萎縮させる」と懸念を示していた。
 
公園からの退去などを市民に強制できる根拠はあるのか。

市の市民活動推進課の担当者は取材に対し、
手荷物検査や禁止行為による退去命令について
「条例は関係なく法的根拠はない」と断言。
「安全な式典にするための必要最小限の規制。
 表現の自由を制限するとは思わず、あくまでご協力いただくもの」と述べた。
プラカードなどを使って平和や核廃絶を訴えたい人については
「規制終了後や公園外でしてほしい」と話した。


◆「ここまであからさまな表現の自由の制限は…」
デモの音量に対する「騒音規制」の問題だったはずが、
いつの間にか目的が「安全対策」にすり替わったという今回の出来事。
広島大の田村和之名誉教授(行政法)は
「別の場所から大音量が発せられる可能性があり、騒音問題の解決になるのか疑問だ」と話す。

「式典が安全に行われることに異論はないが、論理の飛躍だ。
 差し迫った危険の発生が具体的に予見されるわけでないのに、
 短時間とはいえ拡声器やプラカードといった表現活動を禁止するのは
 言論の自由や集会の自由の制限に当たる」

と憲法違反を指摘する。
その上で
「ここまであからさまな行政による表現の自由の制限は最近、目にしたことがない」
とあきれる。

松井市長は5月の会見で、
衝突事故の再発防止のため、式典会場外の区域も式典会場と位置付けて規制する考えを説明した。
田村さんは
「式典として使用実態がない場所は自由利用が原則であり、
 市長の説明は詭弁(きべん)だ」
と批判。
都市公園法の原則に反し、正当な理由なく住民の公共施設利用を拒んではならないとする
地方自治法にも違反するとした上で
「屋外の平和公園で式典を行う以上、騒音は避けられない。
 行政が必要以上に規制すれば、異を唱える人を排除することになる」
と危ぶむ。


◆広島の平和行政が変質していないか
近年、広島の平和行政を巡っては平和団体が懸念を示す問題が相次いできた。
広島市教委は、平和学習教材に引用掲載してきた漫画「はだしのゲン」や、
1954年にビキニ環礁で米国の水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」の記述を
2023年度から削除。
市民団体が実施したオンライン署名では、
約半年間で削除に反対する声が5万9000筆以上寄せられた。
 
昨年6月には広島市の平和記念公園と、旧日本軍の真珠湾攻撃を伝える米パールハーバー国立記念公園が
姉妹協定を締結。
同年9月の市議会で市幹部が、
米国の原爆投下の責任議論を「現時点では棚上げにする」と答弁し、
被爆者団体などから批判を受けた。

今年の式典を巡っても、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルを招待する方針を表明。
ウクライナ侵攻以降、招待していないロシアへの対応との違いを
「二重基準」と会見で指摘された松井市長が声を荒らげて否定する場面もあった。
 
「根拠やプロセスを説明しないという松井市長の政治姿勢が年々、顕著となっている」
と指摘するのは広島市立大の湯浅正恵教授(社会学)。
「行政は法律や条例の規則に基づいて政策決定をするべきなのに、
納得できる説明がない状況が続いている」。

7月には突如、来年以降の式典招待国の基準も見直す考えを示した松井市長。
湯浅さんは「近年にない特殊な状況」と受け止める。


◆「アメリカのご希望に沿う岸田首相、追従する広島市」
「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は先進7カ国(G7)広島サミット後の昨年7月、
「広島市平和行政の変質を問う声明」を発表し、現状への危機感を訴えた。
 
共同代表を務める森滝春子さん(85)は
「広島市の平和行政の変質は、原爆被害が見えなくなることを望む米国に沿った岸田首相の政策に、
市が追従していることによって起きている」
と危ぶむ。
「G7の広島ビジョンも米国の核の傘の下での核抑止論を肯定する内容。
 その場所に広島が利用された」
と批判する。
 
今回の入場規制が原爆被害の実相を伝える上での
悪影響を及ぼすのではないかと懸念する。
「世界や日本から原爆被害者を悼みに来るのに、
 法的根拠なく入場を厳しく規制すれば、近づかない方がいいという人が出るかもしれない。
 被爆者が減る中、マイナスの効果しかない。
 それを止められないのは歯がゆい思いだ」



◆デスクメモ
前に公園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑に足を運んだ。
日本は米国の原爆の被害者だが、アジアとの関係では加害者でもある。
立場の違いも含め原爆の実相を知り、犠牲者を悼み、
核なき世界を願う場と思ってきた。

戦後79年の夏空に「NO WAR」と掲げられる公園であってほしい。

 (恭)

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