Beauty Collector

そのまんま。
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えーんど、I'M A LITTLE MONSTER!!

「疾走」 重松清

2008年10月21日 | 本・音楽・映画等
おおおお……



この分量、そしてテンション、まさにラストまで「突っ走った」重松さんはすごい。
前に読んだのがビタミンFだったので、この人はこういうものもいけるのかと、ただただ、ははぁー、、、となってしまいました。

読み始めて間もなくは性的な描写がやたら目について、というか鼻について煙たい感があったのですが、後半の疾走ぶりときたら、まぁ!
不幸に次ぐ不幸、もうちょっとマシな大人はおらんかったんかい!という突っ込みもまぁありますがそんなものは横目に流れる風景と同じで。走っている者にとっちゃどうでもいいよね。

私は暗いお話というのはあまり好きではないので、読み出しのころはちょくちょく間を挟み、最後まで読むのに相当時間を食うかもしれないなぁ、と思っていました。ところがどっこい!
坂を石が転げ落ちるように、あれよあれよとこちらも走ってしまうのです。
前半の性的描写などなんてことないと思えるほど後半はさらに畳み掛けてくるのですが、なんでしょうねここまでくると、感覚がないというか、本当に「人形」。それに、もっと強い、セックスなんて視界に入らなくなるほどのものが物語を引っ張って行きます。

そしてそして、ラストが良かった。
ハッピーエンドという言葉はあまりにも似つかわしくないですが「幸いな終わり」ではあったと思います。
心に体に全てに痛すぎる道を走ってきた主人公。
それでも、、、、




最初にも書きましたが、ここに持ってくる、このラストを書いた重松さん、す・ご・い。
そしてこの強烈な装丁をなさった鈴木成一さんもすごい。
最初、インターネットでこの表紙を見たとき私はてっきり、木の彫刻を写真撮影したのだと思っていました。教科書に出てきた木像の仁王様の質感に似てません?
これを彫った人はどんな人じゃろい、と思っていたのですが、実物を手にしてびっくり。絵だったとは!










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