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【ポーサニ】きみといる物語【小噺。】

2012-01-28 | 小噺。
 吐き出した息が白く変わる。それはとても寒い証だというのに、店の戸を開けた君はとても嬉しそうにオレに報告をする。
「ポーちゃんっ! 息が白くなったよ」
「この間、雪ガ降ってイタシ☆ この調子ナラ、マタ雪なのカナ?」
 店の玄関の外、港街に続く世界は冷たい空気でいっぱいだ。
 ルドニーが作った揃いのコートを身につけて顔を出した前の道を、服の前を抑えた学生達が顔をしかめて歩いて行く。
「おはよーございま~す」
「オハヨウゴザイマス☆」
 元気に聞こえた声に顔を向け、手を振るのも慣れた光景だ。最も、こんな風に挨拶出来るようになったのは、この場所で店を始めるようになってから。
「おはようございます♪」
 隣で箒を手に、同じように学生へと挨拶を返す赤毛の少女と仲良くなってから、なのだから。人生の転がり方は予想できない。
「ポーちゃん、朝ごはんは何が良い?」
 落ち葉の時期でもない今は、雪でもなければ掃除も早い。手伝う間もなく掃除用具を片付けて、オレの足元に戻る様子は独楽鼠のようにちょこまかと素早く。浮かぶ笑顔はこんな季節でも春を呼び込む。
 だから、ほんの少し困らせてみたくて、オレはワガママを言う。
「重いノハ、チョット……☆ 甘くテ、ジャムが乗ったノガ良いナ☆」
「……朝はしっかり食べないとダメなんだよ?」
 むう、と頬を膨らます。そんな顔も可愛いから、オレはただただ微笑みが溢れてしまって。
「……ダメ?」
 だめ押しに首を傾げると、ルドニーは少し悩んだ後「よし!」と小さく声を上げた。
「パンケーキと、ヨーグルトとフルーツのサラダ。あと、オムレツ、半分こ。ね?」
 それでどう?とだめ押しするルドニーに見上げられて、首を横には振れない。
 独り暮らしの時には考えなかった食事の時間も、ルドニーと一緒なら楽しい一時だから。
「じゃあ、ケチャップでハート描クネ☆」
 笑って茶化せば、頬を染める。そんな姿が、愛しい。
 だから店の奥、生活空間に入る間際に、肩に手を添えて後ろからつむじにキスを落とした。

 驚いたルドニーからのパンチはかなり強力だったけど、崩れ落ちたオレを心配して涙目になっているのも、やっぱり可愛い。
 どうかこれからも、愛らしい君の色んな姿を見ていられるように。こいねがう。



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らぶらぶあまあまな、ふゆのあるひ
砂糖吐きたくなる甘さってaica大好きですよ!