きょうは、また冬が舞い戻ってきたような冷え込み。
雨がやんだので少し歩いてきた。
目に付くのは、満開を迎えた梅の花。
枝垂れも白梅も本当に香しく、見ごたえ十分。
世間の関心はすでに桜に移っているのに。
我が家は標高331メートル、
ごらんのように桜はまだ硬い蕾の状態。
きょうは、また冬が舞い戻ってきたような冷え込み。
雨がやんだので少し歩いてきた。
目に付くのは、満開を迎えた梅の花。
枝垂れも白梅も本当に香しく、見ごたえ十分。
世間の関心はすでに桜に移っているのに。
我が家は標高331メートル、
ごらんのように桜はまだ硬い蕾の状態。
いまはどこに行くにも、ネット情報あり、ガイド本も満載。
ただ古都の奈良を訪ねるのなら、
少し先人に学ぶことをお薦めする。
まず日本の歴史の中での位置づけをつかもう。
懐かしい歴史の教科書がいちばんの近道、
『もういちど読む山川日本史』(山川出版社:1500円)。
次にガイド色がやや濃いが
PHP新書の『奈良の寺社150を歩く』(966円)、
朝日新書などこの種のものは色々ある。
私が特に推薦したいのは、もろもろの文庫本。
手元にあるものだけ紹介しよう。いずれも入手は簡単。
◇講談社文庫、五木寛之の『百寺巡礼 第1巻奈良』
◇光文社知恵の森文庫、井上靖監修『私の古寺巡礼 第3巻奈良』
◇講談社文芸文庫、白洲正子著『私の古寺巡礼』
◇新潮文庫、亀井勝一郎著『大和古寺風物詩』
◇岩波文庫、和辻哲郎著『古寺巡礼』など。
深く探ろうとすれとキリがないが、聖徳太子や仏像など
それぞれ興味のもてるジャンルに踏み込んでいけばいいと思う。
まだ奈良は日本誕生のいい空気が吸えると思う。
有名寺院の独自の講座やいわゆるカルチャー教室が現地訪問など
古都散策の道筋はそろっている。
まず一歩を踏み出してほしい。
私は、毎月きまって古都・奈良を訪ねている。
私なりにねらいが必要なので、あれこれ先人に示唆を求めている。
わが故郷の和辻哲郎が記した『古寺巡礼』は、
「大正7年友人とともに訪ねたときの印象記」だという。
谷川徹三氏は、
和辻自身「この書の取り柄が“若い情熱”にあるとすればそれは幼稚であることと不可分で」
「幼稚であったからこそあのころはあのような空想にふけることができたのである。
今はどれほど努力してみたところで、
あのころのような自由な想像力の飛翔にめぐまれることはない」と考えたようで、
『私は若い和辻さんの、全く我を忘れた感激の純度を、ひしひしと感じた』ともらしている。
大正期と今とではかなり古都の風情はかなり隔たりがあるだろうが、
私は今もそれなりに若者をひきつけるものがあると確信している。
その若者たちに対するアドバイスがある。これも借り物だが、
亀井勝一郎が『大和古寺風物詩』のなかでこんな指摘をしている。
「しばしば大和を訪れるようになってから、次第に自覚してきたことがある。
・・一度の旅には、ただ一つのみ仏を。
そこへ祈念のために一直線にまいるという気持、
私はいつのまにかそれを正しいとするようになった。
尤もついでに(ついでにと申してはほかのみ仏に失礼ではあるが)
おおくを見るけれど、その旅に念ずるものは唯一つ。現在の私はそうである」
全く同感である。しっかりねらいを定めて訪れると
また違ったものが見えてくるだろう。
鞆の浦を訪ねたのは30年ぶりくらいだろうか。
前はリサーチをせずに行ったせいか、鮮明な印象が残っていない。
今回は少し違った。
人気アニメの「ポニョ」の舞台になったとか、
ドナルドキーン氏が指弾する開発問題など話題山積で、
注目度が高く、当方も心して町に入った。
まず漁村の風情を色濃く残す坂道の町を歩き
岬の先端にある福禅寺・対潮楼に向かった。
目の前に仙酔島など瀬戸内を象徴する景観が広がる。
朝鮮通信使が「日東第一形勝」と絶賛したという。大感激
ドナルド・キーン氏は「この町がとても好き。
古い町並みがそのまま残っている。
ところが埋め立てて橋をつくるという話がある。
喜ぶ人もいるでしょうが、
2度とあの町の美しさは取り戻せない。心から心配しています」と
強い懸念を示している。
4月1日には、キーン氏の講演を聞きに行くことにしている。
また報告します。
紫紺山法楽寺、真言泉涌時寺派の大本山、
地元では「田辺の不動さん」として親しまれている。
寺伝によると、清盛の嫡男である平重盛の創建で、
重盛が来世のために善根を積もうと、中国の宋に使者を送って
皇帝に黄金を贈ったという。
この志に感じ入り育王山の高僧から仏舎利が授与されたという。
この仏舎利が法楽寺に伝わる。
境内には美術館があり、
折に触れて寺蔵の逸品が展観されている。
いまは紅白の梅が咲き誇り、寺域を温かく包んでいる。
和宗総本山、大阪四天王寺。聖徳太子の戦勝祈願により立てられた。
一直線に配した特異な伽藍配置、太子信仰の象徴である。
この伽藍に中枢をなす五重塔、ここの壁面には目を引く仏が描かれている。
作は山下摩起、出生は兵庫の有馬温泉、彼が全身全霊をこめたという作品、
実はベルバラ・オスカルを演じた、タカラヅカの榛名由梨のおじいちゃん。
ぜひ一度、ご覧になってください。