* D i a r y * 

気の向くままに、日々雑感や映画・本の感想などを書いています。
基本的にアホな日常ですが、レビューはそこそこマジメです。

おっと、もう1冊!

2007-09-28 19:10:08 | 本感想
どうでもいいけど、夏休みに読んだ本、もう1冊思い出した。
『樹上のゆりかご/荻原規子』という本だけど、知ってる人は少ないかも。

私もたまたま、小学校の図書室にあったものを夏休み前に借りてきた。
ジャンルは、司書さん曰く「ヤングアダルト向きの学校もの」。作者はファンタジーをよく書く人らしいけど。
これはミステリー色がちょっと加わっていて、なかなか面白く一気読み。

* * * * * * * * 以下、感想 * * * * * * * * 

進学校を舞台にした「青春」という言葉のよく似合う話。
高校生って文化祭や体育祭や合唱コンクールに、やたら燃えるもの。そのために学校行ってます、みたいな子もいたなぁ~…などと思い出しつつ読み進んだ。
ある事件が起きてからは、謎解きの要素も出てきて面白い。

ただ、いくらなんでも高校生ってこんなに難しいこと考えないし、それをこんなにうまく言葉で表現できないし、あまりに哲学的すぎないか?とちょっと苦笑してしまう部分はあった。(きっと、中にはそういう子もいるだろうけど、この話ではみんなのレベルが高いのなんのって!)

結局のところ屈折した愛情がネックになっている話だけど、友情・素敵な同性への憧憬・浮いた存在の変な子…など、高校生活にたしかにある様々なものが丁寧に描かれている。

作中「サロメ」の演劇の場面があり、そのあらすじやセリフなどが所々に出てくるのだけど、それがこの話の独特の雰囲気を作るのにとても役立っている。

事件が明らかになっていくにつれて、主人公も少しずつ成長していく。
すると、友だちに対する感じ方も変わり、物事の見え方も変わっていく。
大きな出来事や事件でなくても、多分私たちもそうやって色々な経験を積んで人としての幅を広げてきたんだろう。

それにしてもこの歳になって高校生ものはちょっと気恥ずかしい。
懐かしいけどくすぐったい。
遠い昔のこととして、或いは我が子の近い未来のこととして読んでいる自分がいて、どうしても激しい感情移入は無理でした(笑)。

P.S.
心理描写にしろ、一つ一つのセリフにしろ、小学校の図書館に置いているのが不思議。6年生の相当な読書好きにも、かなり難しいだろうと思う。

サボリまくり

2007-09-17 00:33:50 | つぶやき
最近右腕が凝って凝って、痛くてなかなかパソコンする気になれません。
しかもこの2~3日、また真夏のような暑さです…。

夏の総括「本編」がまだなのが気になるところですが、ちょっとすぐには無理のようだなぁ…。

覚えているタイトルを羅列すると…。

「ニシノユキヒコの恋」(川上弘美)
「とんぼがえりで日がくれて」(灰谷健次郎)
「楽隊のうさぎ」(中沢けい)

…え!?これだけ?

いやー、この頃本を読んでいると眠くなってすぐに寝てしまうんですな。
でも、上の本以外にも「yom yom」という新潮社の雑誌を読み耽ったり、前に一度読んだ宮部みゆきの「あやし」を読んだりしてたんですが。

「yom yom」は教えてもらって即購入!
何しろ分厚くて読みでがある。
それなのに読みやすいのは、一つには色々な作家の比較的短いエッセイやら小説やらがぎっしり載っているから。(空いた時間に好きな部分をちょこちょこっと読める)
それともう一つは、分厚いわりに本が軽いから。
雑誌って少し厚いものになると結構重くて寝そべって読んだりすると手がだるくなる。
でもこれは本当に軽い。ごろ寝読み大好きな私にうってつけです。
…で、すぐに眠くなるんだけどね。

9月も半ば…色んなドラマも終わる時期。
土曜日の夜の「ライフ」は凄かったなー。
途中から見出したのですが、エグい&こわいと思いつつ目が離せなくて。
昨日の最終回、終わり方、良かったです。
こんなにひどいイジメは実際にはなかなかないだろうけど、近いことは起きているのかもしれない。
いじめられた主人公がいじめた子(今は逆にイジメの標的になっている)に言ったセリフ、「あなたのこと許してないけど、いじめはもっと許せないから」…それが本当でしょうと思った。
連鎖はいかん、痛みを身を持って知ったら、自分のところで止めなきゃ!
なかなか勇気が要ることだろうけど。

それにしてもこのドラマの女の子たち、渾身の演技ですごく迫力あったっす。

夏の総括その2

2007-09-02 16:52:58 | 映画感想
9月にはいってしまいました。
こちらは最近ずっと天気が悪く、ひと雨ごとに涼しくなっていくようです。
昨夜なんて少し寒いくらいでした。
というわけで急いで夏の総括を…。

借りてきていた映画、良かったです。

<プライドと偏見>
オースティン原作の「自負と偏見」(とか「高慢と偏見」とか訳は色々)の映画化作品。
あまりに有名な文学作品だけど、恥ずかしながら私は未読。(^^ゞ

でも、原作の持つ格調の高さとか文学的香りを、きっと忠実に丁寧に壊さないように映画にしたんだろうな…と想像できる。

18世紀末のイギリス。あまり裕福とはいえない家庭の5人姉妹は、結婚に夢を抱いていた。この時代、女性には相続権がなく(!)、かといって中流家庭の女性なので労働者階級とは違うのよ!というプライドも持っていた。
母親が“資産家”の独身男性に興味を示し、はしたないくらい露骨に「うちの娘のうち誰かと結婚を」という態度をとるのが醜悪だが、時代背景からいうと仕方ないことなのかなとちょっと同情もできる。

ストーリーの核は次女エリザベスと、資産家の独身男性ダーシーの恋愛。
無愛想で高慢そうなダーシーと、勝気で賢いエリザベスが、お互いの偏見を少しずつとりはらっていく過程がじっくり描かれている。
そこに、長女とダーシーの親友の恋愛も絡めてあり、全く退屈することもなく惹きこまれるように最後まで観てしまった。

時代的なものもあるだろうけれど、どぎつい描写も一切なく、じっくりと登場人物の性格を描いているのが良かった。
ドナルド・サザーランド扮する父親が、母親と好対照の人物で、物事の本質を見抜き一貫して分別ある態度をとっているのがまた良い。
(でも、母親も憎めないのよ、こういうキャラ、なんか滑稽で可愛い)
大御所ジョディ・デンチが、憎々しいほど高慢ちきな金持ち女になりきっていて、やっぱりすごいと思った。

それと、美しい景色とずっと流れているクラシック音楽、これだけでも目の保養・耳の保養です。

<ある子供>
随分前にDVDで観ていたのに感想書いていませんでした。

いかにもフランス映画という、暗くてジメッとした映画です。(←決して嫌いという意味ではなく)
“ある子供”(“L' ENFAN”)って、実はこの話の中の赤ん坊のことではないのですね。
とても若い夫婦が子供をもうける。
いわゆる「できちゃった婚」だけれど、この2人に覚悟のようなものはほとんど感じられず、危機感も悲壮感もない。

男のほうは近所の少年とグルになって盗みを働いたりしてお金を得、そのお金でベビーカーを買ったり…。
結婚も出産も「拒否」はしないけれど、積極的に受け容れようという姿勢もなく、とにかく行き当たりバッタリ。
母親になった女の子のほうはまだ少しはマシだけれど、最初はやっぱり見ていてハラハラするくらい子ども!赤ん坊を車に乗せたまま、若いダンナとイチャイチャ・ケラケラ走り回る場面が、とても印象的だった。

…が、あるひどいことを男がしでかして、彼女の母性本能に火がつく。
彼女は母親として目覚め、男はそれについていけずオロオロするばかり。

最後は、その後の2人をなんとなく暗示するような終わり方でなんとも心もとないのだけど、現代の若者の頼りなさをよく描いているんじゃないかな。
フランスに限らず、こんな無自覚な若者が増えている気がする。
気持ちは多分やさしい子が多いのだ。ただ、生きること全てに貪欲さがなく、先の展望とか大きな野望もなく、漫然と生きている…そんな感じがするのだ。
見終わって決して爽やかにはなれませんが、飽きずに観られます。