
一人の髪の毛の長い背の高い細身の女性が机に座り、ノートパソコンを叩いています。
彼女の名はレイカ(31)・・・とある雑誌の取材記者です。
「えー、それでは、タケルさん、夜の日本学「先人考察編」・・・お願いします。今日は誰について語ってくれるんですか?」
と、レイカはノートパソコンを叩きながら、赤縁のメガネを手で直し、こちらを見つめます。
「うん。そうだな・・・今日は昭和時代のノーベル文学賞獲得作家「川端康成」をとりあげてみようか」
と、タケルは話し始めます・・・。
さて、今日の「夜の日本学」はじまり、はじまりー・・・・。
「彼はその人生の中で「仏界易入、魔界難入」と言う書を殊の外大切にしたそうだ」
と、タケルは言葉にする。
「さて、この言葉をどうとらえるかが大事になるわけだが・・・」
と、タケルは言葉にする。
「レイカちゃんはこの言葉、何を指しているか、わかるかい?」
と、タケルはのんびりとした調子でレイカに質問している。
「えーと、ちょっとわからないですねー。仏界というのは仏教の修行を差すのかと思いますが、魔界となると、どういう意味だか、さっぱりと・・・」
と、レイカは言葉にする。
「普通に考えれば、そうなるんだよね・・・じゃあ、説明していこう」
と、タケルはのんびりと言葉にしている。
「レイカちゃん、まずは川端康成氏について簡単に説明してくれないか?」
と、タケルは言葉にしている。
「えー、川端康成氏は、明治32年生まれの作家で、代表作に「伊豆の踊子」「雪国」などがあります」
「非常に叙情性の高い作品を書くのが彼の作品の特徴であり、後年昭和43年に「日本人の心情の本質を描いた、非常に繊細な表現による彼の叙述の卓越さに対して」」
「ノーベル文学賞が贈られています。昭和47年に逗子マリーナの自室で自殺。享年72歳でした」
と、レイカは言葉にする。
「まあ、日本を代表する文学者であることは間違いないね。最も昭和47年に亡くなっているから、若い人には知らない人も多いんじゃないかな」
と、タケルは言葉にする。
「ま、織田信長に比べれば近い時代の人だよ」
と、タケルは笑う。
「レイカちゃんは川端康成氏の作品って読んだことある?」
と、タケル。
「「伊豆の踊子」を映画でテレビで見たことがあります。吉永小百合さんが主人公だったような・・・うろ覚えですが」
と、レイカも笑っている。
「まあ、僕的には山口百恵版をテレビで見たかなあ・・・相手はもちろん三浦友和さん・・・さわやか美男美女カップルで羨ましがったものさ」
と、タケルは笑っている。
「それから、「雪国」を中学時代に読んだけど、さっぱり良さがわからなくてね・・・で、大人になってから、もう一回読んでやっとわかるようになった」
と、タケルは言葉にしている。
「「右の中指だけが女の記憶を覚えている」・・・的な表現があって、中学時代はそれがわからなくてね」
と、タケルは言葉にしている。
「大人になって、やっとわかった・・・ま、右手の中指は女のヴァギナの感触を覚えている・・・そういうことだったのさ」
と、タケルは言葉にしている。
「生々しいですね。その表現」
と、レイカも笑っている。
「だけども、そのものズバリの表現だ。まあ、文学なんて学問なんて言葉を使ってお高く止まっているけど、所詮恋の仕方マニュアルに過ぎない」
と、タケルは言葉にする。
「だから、文士というのは、恋のイロハがよーくわかっている人間にしかなれない・・・特殊な仕事と言っていいだろうね」
と、タケルは言葉にする。
「川端康成氏の若い頃の写真を見ると、まあ、イケメンだよ。現代的なイケメンだ・・・太宰治も芥川龍之介も・・・皆イケメン揃い・・・当たり前だよ」
と、タケルは笑う。
「恋の経験が豊富に無ければ、文士にはなれないからね。どこまでも、恋愛マニュアルなのが、小説という奴だからね」
と、タケルは笑う。
「ストレイ・シープという言葉が印象的な夏目漱石の「三四郎」だって、恋愛小説だろう?とにかくどうやったら恋が出来るか?・・・それを提示するのが文学作品さ」
と、タケルは笑う。
「つまり、作家というのは、自身の恋の経験こそが血肉になるんだよ。恋の経験が乏しい人間になど、恋物語は書けないからね」
と、タケルは笑う。
「だから、作家は恋される人間でなければいけない・・・そういう話になるんだな」
と、タケルは笑う。
「さて、それを踏まえた上でこの「仏界易入、魔界難入」の言葉の意味を考えてみよう」
と、タケルは言う。
「タケルさんはもうわかっているんですか?」
と、レイカ。
「まあね。僕も作家の端くれだからね」
と、タケル。
「じゃあ、説明していこう」
と、タケル。
「仏界易入とは・・・これはレイカちゃんが指摘した通り「仏教は修行さえすれば、その世界には入りやすい」という意味を示している」
と、タケルは言葉にする。
「問題はこの「魔界難入」の方だが・・・僕はこれは恋の魔法の世界と読んだ・・・だって作家は恋の世界を描く為に生きているんだから」
と、タケルは言葉にする。
「つまり、簡単に説明すると、恋の魔法を使える世界へ入り込むのは、結構難しいよん・・・ということだな。恋の魔法はその習得は仏教程にやさしくないということ」
と、タケルは言葉にする。
「ちなみに、この川端康成氏もそうだけど、芥川龍之介氏も太宰治氏も皆自殺しているんだねえ」
と、タケルは言葉にする。
「もちろん、それぞれ特別な理由があったんだろう。川端康成氏なんて子供の頃かなり苦労しているから、単純な理由で死んたのではないだろう」
と、タケルは言葉にする。
「芥川龍之介は「ぼんやりとした不安」という遺書的な言葉が残されていたし、太宰治に至っては現場に自殺を嫌がってつけただろうと言われる靴あとが残っていた」
と、タケルは言葉にする。
「まあ、太宰治は女性に自殺の道連れにされたと言う見方が一般的だけどね。いずれにしても、女絡み・・・僕はそう思ってるけどね・・・」
と、タケルは言葉にする。
「おんなは・・・怖いんですね」
と、レイカ。
「僕もせいぜい気をつけなければ・・・」
と、タケルは言葉を濁す。
「で、だ・・・魔界は恋の魔法の使える世界・・・そして、自分がその恋の魔法使いになること・・・これが中々に難しいということなんだけど」
と、タケルは言葉にする。
「僕は恋の魔法が使えるんだな、これが」
と、笑うタケル。
「それはわかりますよ、わたしにも」
と、レイカが笑う。
「タケルさんは、「光るの君の目」を持っていますもの・・・その目に見つめられるとドキドキしちゃいます。キラキラ輝いていて」
と、レイカが笑う。
「レイカちゃんだって、「光るの姫の目」を持っているじゃないか。美しくキラキラ光り輝く目を」
と、タケルも指摘する。
「その目が普通の異性を恋に落とす魔法をかけちゃうんだから・・・ある意味怖いよねー」
と、タケルは指摘する。
「そうですね。まあ、でも、タケルさんみたいにめぢから強い人といるのは、本能的に安心するんですよね。強い力で守られている感じがして」
と、レイカは指摘する。
「まあ、めぢからが究極的に強いから空間制圧力が高いんだよ。大抵の男性なら、僕の強いめぢからには勝てないからね。本能的に同性を攻撃しちゃうから」
「まあ、男性はビビって降参しちゃうからね」
と、タケルは笑う。
「結果、本能的に「サル山のボス力」が周囲を威圧しちゃうから、皆、ビビって部下になってしまうので、僕は「サル山のボス」に就任出来るわけだ」
と、タケルは笑う。
「そして、多くの女性を恋に落とす・・・その「光るの君の目」がそれを実現してくれるんですね。タケルさん」
と、レイカが笑う。
「そういうこと・・・だから、僕は魔界の住人なんだ」
と、タケルが笑う。
「そして、魔界の住人になると、「八百比丘尼」化が起こり、ストップエイジングが起こり、いつまでも若い外見若い脳で生きていけることになる。そうですよね?」
と、レイカが笑う。
「まあ、周囲の反応を総合して聞くと、僕は30歳でサイクリストになったあたりの外見でストップエイジングが出来ているらしい」
「なにしろ、周囲の近所の女性達は、僕を「お兄ちゃん」「お兄さん」と呼ぶからねー。ま、「見た目年齢」でこれからはいけばいいのよ。ずっとね」
と、タケルが笑う。
「確かにタケルさんって、外見的に言うと、それくらいですもん。もう実年齢は関係ないんですね」
と、レイカが言う。
「つまり、タケルさんって、「魔界に入ったから、外見年齢がストップした」と言うことになるんですね」
と、レイカが言う。
「そういうことになるね。「光るの君の目」・・・このアイテムを人生において獲得出来れば魔界に入れる・・・そういう結論だね。僕的には」
と、タケルが言葉にする。
「タケルさんらしい結論です。素敵な結論ですよ」
と、レイカは笑顔で言葉にした。
「川端康成は「光るの君の目」を無くしたから、自殺したのかもしれないね」
と、タケルが言うと、レイカは遠い目をしました。
「さて、んじゃ、レイカちゃん、今日も飲みに行こうか」
と、タケルは言葉にする。
「はい、どこまでもお供します」
と、レイカは言うと、赤縁のメガネを取り、髪を解いた。
(おしまい)
まあ、結果オーライですが、「光るの君の目」を獲得出来たのは、僕がサイクリストになったからで、
それは肥満状態からの脱却を目指して自転車で20キロ以上のダイエットを実行したからですから、人生何がどう作用するか、
想像なんて出来ませせん。
ま、結果オーライですよ。
皆さんも「光るの君の目」獲得がんばってください。
魔界良いトコ一度はおいでーということですね。
ではでは。