ウィトラのつぶやき

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メキシコ国境の壁 vs 一帯一路

2017-05-19 09:58:36 | 社会

アメリカがトランプ大統領になって半年近くが経過し、大分トランプ流のやり方が分かってきた感じがする。メキシコとの国境に壁を作る、不法移民を取り締まるためにビザの発給を制限する、企業減税などを大統領令として出したが、実態としては滞っている。今はまた、ロシアとのやり取りの関係でCIAに圧力をかけたとか不当に情報を流したとか言われて弾劾されるリスクが高まっている。選挙中に不正があったのかどうか真実は分からないが、CIA長官の解雇のやり方から見てかなり怪しいが私は考えているが、相当長い期間結論は出ずに、今のトランプ体制が続いて今後とうなりそうかについて書いてみたい。

私は、トランプ大統領が就任したあたりでは赤字国債を乱発してアメリカがバブル景気になると予想していたのだが、共和党は大きな政府を嫌っていて、アメリカの財政悪化はそれほど一気に進まない感じが見えてきた。トランプ氏の経済政策は穴だらけで、アメリカの財界や共和党は、トランプ氏の政策をそのまま受け入れるのではなく、考えにある程度沿うようにして、自分たちに利益が向かう筋道を模索しているのだと思う。従って実体経済的に動き始めるには徐幹がかかるだろうし、動き始める前に大統領の弾劾や辞任が起こるかもしれないとも思う。動きが遅いことはアメリカ経済にとっては良いことだ言えるだろう。

一方で、中国は「一帯一路」構想を大きく打ち出して存在感を広げている。「米中もし戦わば」という本の中にも出ていたのだが、中国が恐れているのは何か問題が起きた時の経済封鎖であり、アメリカは日本などの同盟国と結んで、中国を海上封鎖できる体制を整えようとしているし、中国が南シナ海の利権を主張しているのは、資源の話もあるが封鎖をできなくする狙いが大きいという。「一帯一路」構想は経済構想であるが海上封鎖による中国に対する経済封鎖を避けるという軍事的狙いもある。

政策としてみた場合「メキシコの壁」と「一帯一路」でどちらが良い響きを持つか、どちらが建設的かは言うまでもない。世界の眼が「アメリカ中心」から「中国中心」に向かう、着実な一歩を踏み出したと私は考えている。つまり中国が成功しつつあるということだが、半年でこれだけの雰囲気の変化はかなり早いと私は感じている。

トランプ大統領は、習近平国家主席との会談中にシリアを攻撃し、北朝鮮問題で中国に強い圧力をかけた。シリア攻撃がタイミングを狙ったものか、偶然あのタイミングで行われたのかは私には分からないが、習主席はかなり押し込まれた形で北朝鮮に圧力をかけ、北朝鮮が孤立を深めているのは事実である。かなり危険な動き方ではあるが、私は一連の軍事戦略はトランプ大統領の打った手として唯一評価できるものだと思っている。但し、北朝鮮が数か月核実験を遅らせたからと言って問題が解決するわけでもなく、結論を出すにはまだ早いだろう。

軍事の話があるので、中国がアメリカに押されているような印象を受けるが、全体としてみれば「トランプ政権の期間中に中国が世界の中心国家になる」という中国のシナリオは着々と進んでいるように見える。


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