ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

「あの人は技術に関しては外さない」

2017-05-14 17:17:13 | 東工大

20年くらい前に私が会社勤めをしていたころ「あの人は技術に関しては外さないからねー」というような話を同僚としたことがある。最近、企業内でこういう話がされているのだろうかと感じている。

どういう場面でこの話をしたかというと、これを言ったのは同僚で「ある人」の意見が今一つ腹落ちしていないのだけれど、過去の実績から外れていることは少ない、という意味合いで使われていた。私も同意した。私自身の専門技術分野からは若干ずれた分野だったので自分では判断できなかったが「あの人」の言うことは信用してよいだろうと感じていた。自分の専門分野では周囲の人にこう言われたいものだと思っていた。

何気ない言葉だが結構重要な意味合いを含んでいると思う。まず、「外さない」というのは「詳しい」というのとは違う。「技術に詳しい」人は結構たくさんいるのだが、大部分の人たちは現状どうなっているかについて詳しいのであって、将来どうなっていくかについてはあまり読めない。「外さない」というのは先が読めて、その読みが当たるだろうと信用されているということである。

「技術に関しては」というのも重要だと思う。できる人だが、その人の意見を全面的に受け入れるわけでは無い。技術的洞察力が優れていると評価していて、その部分を信用している、ということである。日本社会では「誰かに付いて行く」と決めるとその人の言うことを何でも受け入れる、というような風土があるが、万能の人はめったにいない。優れている部分を見つけ出し、その分野では信用する、というような姿勢が重要だと思う。

カリスマ経営者と言われる人はこういった人の能力を見抜く眼が優れていて、「この分野ではこの人」と決めて、意見を聞き、判断をしているので短時間に次々と決断をしていくことができるのだろうと思っている。CTOとかCFOとかいう言葉は、そういった人物を探し出して任命することを意味していると思うが、日本では組織として探し出す仕組みはできておらず、適任者がいなくても役職の一つとなって、誰かをその業務に割り当てるということになっていると思う。

洞察力のある人を見抜くことも重要だが育成することも重要である。そのためには、普段から将来どうなるかについて意見を戦わせることが大切である。意見を言いにくいような企業風土は論外だが、言いやすい風土でも目先の議論はしても少し遠い先のことになるとあまり議論しないし、議論したとしても後になると忘れてしまうことが多い。日本では部下が上司の見識を知る機会は結構あるが上司が部下の見識を知るチャンスは少ないように思う。これを意識して引き出すようにする必要があるだろうと思っている。

現状では個人の経営者で部下の能力を見抜く眼を持っている人がたまにいて、その時はうまく機能するが、経営者が変わるとCTOなどは形骸化することが多い様に感じている。


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経営者と、その評価 (世田谷の一隅)
2017-05-15 13:53:29
この課題は、極論すると、どんな組織、人でも、

1.誰が誰をどのような基準で評価して、それをどのように対象者に伝えるのか、またそれを周囲がどの様に受け取って、自分が評価される際の行動や思考に反映するのかに尽きると思います。

2.会社の場合は、その業績で評価され、株価が短期的な評価になります。中期的には、その人の経営が、一定期間継続する事、そして、その後、しばらくしてからでないと正しい評価になりにくいです。

3.それを経た後の評価で初めて「中興の祖」と言われるような人が時々出現します。日立でも、NECでも三菱で電機業界では過去の20~30年程度の間に夫々1人くらいいます。その程度の頻度です。

4.その下のレベルになると個々人の評価は難しいと思います。某々に「取り立てられたから」という評価はよく聞きますが。一方、「見通しが当たった」との評価を受け、それ故に、技術戦略や施策立案の中核スタッフに起用されるというのは、なかなか例がありません。まして、「当て続ける」というのは本当に稀有です。

5.当て続けるのは難しいのですが、或る想定を行い、それが外れた時に、なぜ外れた?、それをどのように軌道修正するか? は日常の事業運営で当然に行われることです。

6.見通しが当たる人を探し身近に置くことも大切ですが、その結果採用した見通しとその実績の軌道修正(PDCA)を適時行う方が、もっともっと重要で、そのセンスこそがプロの経営者と呼ばれる人たちの源泉だと思います。

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