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気ままな読書感想文

【持続可能な資本主義】「いい会社」に投資する

2017-04-26 22:51:59 | Weblog


「いい会社」に投資ができる仕組みをつくりたい。
しかし、「いい会社」をどのように定義したらよいのだろう?

鎌倉投信の取締役・新井和宏さんは、著書「持続可能な資本主義」で、鎌倉投信の投資の考え方や仕組みを紹介しています。
鎌倉投信をつくる際に、新井さんがぶつかった悩みは、「いい会社をどのように定義するか?」という課題。

新井さんは、目に見えない「ホスピタリティ」を経営の核としているリッツ・カールトン・ホテルの元日本
支店長・高野登さんに相談にいったそうです。
新井さんが「どうしたら、ホスピタリティを定量化できるのでしょうか?」と尋ねたところ、高野さんの答えは簡潔。「ホスピタリティを定量化してはダメ」というものでした。

高野さんによると、「ホスピタリティは、標準化すると、ただのサービスになる。お客様に出会い、その時々の状況で、目の前の人のために何かしようと思うから感動が生まれる。目の前のお客様に、その時、その場所で、1対1の関係で生まれるのが、ホスピタリティ」ということです。

新井さんは、「指標をつくって画一化しようとすれば、企業は指標を満たそうとするあまり個性を失い、社
会から多様性が失われてしまう」と書いています。これが、鎌倉投信が投資をする「いい会社」について定量化していない理由だそうです。

私は、ここで、「いい会社」を「いい人」に置き換えてみたらどうだろう?と考えてみました。
人の場合、「指標」や「定量化」といえるような明確な基準で「いい人」を判断することは少ないかもしれません。ぼんやりとした価値観や好みに基づいて、「いい人」かどうかを考えているように思います。

もちろん、自分の価値観や好みは大切にしたいものです。
しかし、それらにこだわりすぎると、見えなくなるものもあるような気がしてきました。

つまり、「いい人」も定義してはダメかもしれない。

自分が持っている価値観では測れないものがあることを頭の片隅に置いておき、
これまでの人生で経験したことのない事や異質な人に出会った時に、「何かしよう」と思える余地をもっていたいなと考えたりしています。



【リマーク】「自分の意見」は持つべきではない

2017-04-20 23:18:29 | Weblog



「自分の意見」は持つべきではない。
これは、哲学者・池田晶子さんの一言。

池田さんによると
必要なのは、「その人がそう思うだけのその人の意見」ではなく、
「誰にとってもそうであるところの考え」です。
「誰にとってもそうであるところの考え」は、自分一人を超えている。
それが自分を超えていることを知っているから、人は自信を持てるといいます。

私は、こんなふうにブログに投稿しながら、「頭でっかち」「理屈ばかり」になってしまっているように思うことがあるのですが、
池田さんの指摘を受けて、仮に「頭でっかち」「理屈ばかり」になっていても良いんじゃないか。と思えてきました。

自分の頭の中でいろいろ考えていることについて、他人とのシェアを試みるのが「投稿」だと思いますし、それは、「誰にとってもそうであるところの考え」につなげるアクションだと思うのです。

他者から、「いいね!」や「コメント」をもらうことが自信につながった経験、ありませんか?

SNSにおいてシェアが多い投稿は、「自分の意見」ではなく、「誰にとってもそうであるところの考え」に触れているような気もします。

自信は、自分の内面を一人で掘り下げることで湧いてくるものではなく、自分の考えが「誰にとってもそうである」といえる状態を目指して、他者と共有できるものを探っていくことから湧くのかもしれません。