ダンボール箱に収めた本たちにひかり与える一日ぞよろし
すいすいと国境線を越えたいな皇帝ペンギンのガム噛みながら
オリジナルオリジナルってつぶやいた振られたる日の遠い夜中に
きびだんごあれば与えるかもしれず産業道路に雉わたる見ゆ
風の律正しからざる規則にて届くを聞けり夜の入り口
食器棚の奥の奥には棲んでいる闇を好めるどんぶりばちが
弦楽器のfの穴からふらふらと出てくるひとの襟よれている
思い出はモノクロならず盗まれた自転車の色ことごとく青
どんな口だったか思い出せなくてただ妄想は乱れるばかり
折からの雨をたっぷり吸い込んでもう飛ぶことはない羽根布団
※ ルビ 一日(ひとひ) 1首目
※ ルビ 襟(えり) 7首目
_/_/_/ 未来7月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/