たまさかにカーラジオから流れくる木村拓哉のトークがエロい
青春の結び目とけてゆくようだ中央高速道路をゆけば
真夜中にバターの焦げる匂いしてサービスエリアにひとは集まる
メガシャキと眠眠打破を見くらべてしばし迷えるひとときがある
カーラジオのおぼろな音を聞きながら過ぎゆくのみの甲斐の国かな
家々は闇に灯りをこぼしおり そこにかしこに営みはある
そののちの目覚めは約束されていて恵那峡サービスエリアに眠る
日本の夜明けはなんて美しいそれは毎日あるというのに
_/_/_/ 未来８月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/
蒼穹をはらりとわたるひかりかな指につめたく缶ビールかな
_/_/_/ 第１１回ときどき歌会 題「ビール」 _/_/_/
_/_/_/ １票をいただきました _/_/_/
陽が昇るころにしおれる花たちに呪禁博士は粉ふりかける
とある朝フルーツ牛乳配られて家という家とろけるようだ
ハイウェイスターを口ずさみながら歩く速さで鬱期に入る
ココナツの香りなのかな黒髪の熱帯雨林にうずもれながら
逃げだした虎けつまずく街角の歩道と車道の段差をおもう
夜明けまで実験室にこもりおり方向音痴のアリをみつめて
タクラマカン沙漠今日とて晴れわたり近畿地方に降る俄雨
特大の洗濯ばさみに挟まれてふとんは昼に寝ているんだな
必要にせまられて飲む正露丸念のため飲むマルチビタミン
この世界に転がり落ちたばっかりに三本ずつに裂く刺繍糸
※ 呪禁博士（じゅごんはかせ）
_/_/_/ 未来７月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ 笹公人 選歌欄 _/_/_/
じんわりと雨をふくんでふとりゆく六月の河、恋を忘れる
_/_/_/ 第１０回ときどき歌会 題「雨」 _/_/_/
_/_/_/ ４票をいただきました _/_/_/
