柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

私の欠点は、間抜けで、頑固なところ。

2016年07月25日 09時54分03秒 | 日記
昨夜は、早めに夕飯を食べ終えて、家族3人で常磐線に乗って、小高に向かいました。
7月12日に南相馬市内の避難区域が解除されました。
6年ぶりに運行を再開した原ノ町ー小高駅間の車窓からの風景を見たい、と息子が言ったから車ではなく電車で行くことにしたのです。
そして、南相馬市小高区の「火の祭」が、6年ぶりに復活するーー、火の祭のことは来月の福島民報の連載エッセイに書きます。

わたしたち家族は、花火大会が終わる直前に小高駅に向かって走り出したんですが、8時20分の終電に乗り遅れてしまいました。
わたしと珍念さんは走ったんですが、息子が走らなかったんです。
走りながら、「たけ!走って!」と叫び、携帯電話を何度も鳴らしたんですが……
息子は、走るのが苦手なんです。

タクシー会社に電話したら、予約でいっぱい……

「歩いて帰ろう」とわたしが提案し、小高駅から原町駅まで歩くことになったんですよ。

小高駅から原町の磐城太田の辺りまで1時間10分歩いて、9時35分ーー。

1台の車がわたしたちを追い抜いて停まり、息子の親友の米津くんが現れました。
以前、「ふたりとひとり」にご出演いただいた米津くんのお祖母様が運転していました。

息子は、そうは言いませんが、おそらく米津くんにメールして助けを求めたのでしょう。

米津さん、ありがとうございました。
はやとくん、ありがとう。

小高駅から原町駅までは13km。
歩道がない真っ暗な車道を歩くのは、なかなか大変でした。

1時間以上早く到着することができました。

ほんとうにありがとうございました。

持つべきものは、困った時に助けを求められる性格と、SOSを受診してくれる友だちを持っている息子。

たけ、ありがとう。

わたしは、友だちはいるんですが、こういう時に助けを求めることは憚られるんです。

自分の失敗の結果は自分でなんとかする、という律を頑なに守っている。

息子はそういう性格じゃなくて、良かった。

(写真は、9時半ぐらい。1時間以上歩いて、ようやく原町区鶴谷のあたり。ふたりとも顔が疲れ果てている。たぶん、この直後に、息子は米津くんにSOSメールを送ったんだと思う)

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