くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(13)

2022-02-21 19:39:38 | 「狼おとこ」
「すみませんが――」と、グレイは鍛冶屋のドアを開けると、心細げに言った。
 リチャードの鍛冶屋は、すぐにわかった。オモラが難儀しながら歩いていた方向を覚えていたから、ほとんど迷うことはなかった。
 鍛冶屋は、店構えからして何軒かあるようだったが、リチャードという大きな看板を掲げた店は、たった一軒だった。
「すみませんが――」と、グレイはもう一度言うと、ドアを閉めて中へ入った。

「はい、なんでしょう――」

 と、台所の方から、グレイよりも背の高い、歳もいくつか上に見える見習が、顔を出した。
「あの、オモラさんに言われて、頼んでいた物を取りに来たんですが――」
「あ、はい、わかりました。もうできあがってますよ」と、彼は怪訝そうな顔をして言った。
 グレイがバードの様子を見て立っていると、台所から「おい」と、声がかかった。バードが「はい」と、返事をしてそちらを見たが、声の主はグレイに興味があるらしく、きつい目でこちらを見ていた。
「おかみさんとこの使いか?」
「はい」と、バードは答えた。グレイもこくんとうなずいた。
「見ねぇ顔だな」
 バードがこちらを見た。グレイはおずおずと「昨日、雇われたばかりです」
 名前は、と言われ、すぐにグレイです、と答えた。
「はぁ――」と、リチャード親方は鼻にかかった言い方で言うと、「頼まれてたマサカリも鋸もできあがってる。そんでな、おかみさんに言っといてくれ。鋸はどこの仕事も後回しにして、とっかかりましたってな」
「はい、伝えます」
 リチャード親方はまた、ふーんと鼻にかかった声を出した。
「身なりはおれ達より悪いが、口の利き方だけは貴族ぶった小僧だな――バード、荷物を馬車で運んでやんな。こんなちびにゃ、いっぺんに持てやしねぇ」
 バードがはいと返事をすると、親方はまた台所へ引っこんでいった。
「お酒、飲んでたみたいだね」
「えっ?」と、バードは聞き返した。
「あの親方、お酒飲んでたみたいだった」
 バードはしーっと人差し指を口にあてると、「よくわかったな」と、声をひそめて言った。
「だって、臭かったもの――」
「親方はさ、おれは酒が強いから、顔が赤くなんねぇんだ、なんてしょっちゅう飲んでるけど、自分じゃぷんぷんと臭ってるのに、気づいちゃいないんだ」
 クックックッと、二人はくぐもった声で笑った。
「でも、ほかではみんな仕事してたよ」
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よもよも

2022-02-21 06:24:00 | Weblog
やれほれ。

五輪が終わった後だけど、

早朝からの大雪で

もうくたくたXXX

閉会式も華々しく開催されて

生協のうちに幕を閉じたけど、

海の向こうじゃ

今にも戦争があるんじゃないかって状況でしょ??

二つを対比して見りゃ、

平和だとか協力とかって演出では見せるけど、

裏じゃ互いにののしり合ってともすれば傷つけ合ってるって、

むなしく思えるわ・・・。

あーあ。時代の変わり目が来るのかなぁ??
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