くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

地図にない場所(88)

2020-06-30 18:54:50 | 「地図にない場所」
「――どうしたの」と、サトルが言うと、二人のそばを離れずに着いて来ていた子犬が、ぽつり、と砂漠の真ん中に座りこんでいました。
「どうしたの、動けないのかい」と、心配したサトルが子犬に駆け寄ろうとすると、あわててリリがサトルに抱きつき、足を止めさせました。
「どうしたって言うのさ、ぜんぜんわからないよ」と、サトルはいら立ちまぎれに言いました。
 リリは、サトルの言葉が聞こえたように、まっすぐにサトルの目を見て、しきりに首を振るのでした。

「――ワン」

 と、空耳でしょうか。子犬が鳴いたような気がして、足元を見ると、先ほどまで動こうとしなかった子犬が、二人のそばに、何事もなかったようにやって来ました。
 リリは、近づいてきた子犬に目をとめると、ブルブルと震えながら、サトルに抱きつきました。
「怖がる事なんてないよ、まだ小さな子犬なんだから」と、サトルは抱きついていたリリの腕を放すと、
「――競争だよ」
 樹王に向かって、残った体力を温存することなく、走り出しました。
 やっと戻ってこられた、といううれしさで、サトルは満面の笑みを浮かべていました。
 しかしリリは、走り出したサトルを死に物狂いで追いかけるように、足元をふらつかせながら、走っていました。まるで、命からがら、逃げているようでした。
 樹王の元に戻る帰り道、いつの間にか二人の仲間になっていた子犬も、サトルと一緒になって、走り出しました。
 子犬は、サトルとリリの間を行ったり来たりしながら、ゴールの樹王目がけて走り続けました。
 意外にも、誰よりも早く前に出たのは、リリでした。
 サトルが、どこにそんな力が残っていたんだろう。と、不思議に思うほどの駆け足でした。
 先頭を行くリリを追いかけて、子犬も負けじと後に続きました。
「早いってば、待ってよ――」
 サトルも、息を切らせながら最後の力を振り絞りましたが、勢いのあるリリには、とうとうかないませんでした。
 リリは、樹王の元に戻ってくると、太い根の陰に隠れるように、うずくまりました。 
 後を追いかけてきた子犬が、息を切らせながら、リリのそばで跳ね回っていました。

「――ただいま」

 と、少し遅れて、サトルが樹王の元に戻ってきました。
「無事だったか」と、樹王は目を細くして言いました。「リリを助けてくれて、ありがとう」
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よもよも

2020-06-30 06:04:10 | Weblog
いやはや。

ヨーグルト食べようと思って冷蔵庫開けたら

カップが奥の方に少し傾いてて

別にそれは普通なんだけど、

ふた開けたら傾いたまま固まってて、

あわてて賞味期限確認したけど

そりゃ日曜に買ったばかしだし、

スプーン入れて、

アレレ??

かつんだって・・・。

冷気が出るそばにあったから、

どうも水分が固まってシャーベットみたいになっちゃってた。。

・・・・・

でも、意外にうまかった。

でも、もう二度とやらない。。

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地図にない場所(87)

2020-06-29 18:42:25 | 「地図にない場所」
 目にもとまらぬ早さで飛び交う魔獣達は、サトルが不注意に背中を見せても、牙を突き立ててきませんでした。
 しかし、サトルがいくらがんばって魔獣を追い払おうとしても、数に勝る魔獣は、サトルの隙を見逃さず、だんだんとリリに迫ってきました。
 樹王の枝を振るっていたサトルも、バラバラに飛びかかってくる魔獣を、いつまでも追い払い続けられませんでした。軽いはずの枝が、だんだんと重く感じられるほど、腕が痺れていました。
「――あっ」
 と、息を切らしたサトルが、砂に足を取られてひっくり返りました。
 リリに向かって、魔獣達が一斉に躍りかかりました。しかし、サトルがあわてて起き上がると、魔獣達はまた、一斉にリリから離れていきました。
 サトルが枝を振りながら見ると、見たことのない子犬が、リリに近づく魔獣を追い払っていました。白色の毛が多いぶち色をした子犬でした。小さな体に似合わず勇敢で、うろうろと上空を飛び交う魔獣に向かって、小さな牙をのぞかせながら、ぐるぐると低く唸っていました。
「ありがとう。どから来たの」と、サトルが言うと、立ち上がったリリが、サトルの背中に隠れました。
「――どうしたのさ、リリ」と、サトルが言いました。「この子が助けてくれたんだよ」
 サトルが子犬に手を伸ばそうとすると、リリがあわててサトルの腕をつかまえ、しがみついて離しませんでした。
「おかしいよ、リリ――」と、サトルが首を傾げている間に、どういう訳か、集まっていた魔獣達が、どこへともなく姿を消していました。
「よかった。どうやら助かったみたいだよ」
 サトルとリリは、樹王の元に引き返しました。急がなければ、いつまた魔獣達が襲いかかってくるか、わかりませんでした。二人は、焼けるような日差しの中、消えかかった足跡をたどって、歩き続けました。
 と、どこからかやって来た子犬も、二人の後を追いかけて、いつまでも着いて来ました。二人のそばを離れようとしない子犬に、サトルが樹王の露を飲ませてあげようとすると、それを見ていたリリが、あわてて水筒を取り上げてしまいました。
「……」と、サトルは訳がわからず、しかし子犬を見ると、つらそうにしている様子もないので、不思議に思いながらも、先を急ぎました。
 サトルがリリの足跡を追いかけた時に比べ、それほど苦労することなく、二人は樹王の元に戻ってきました。
 樹王の根がどこまで伸びているかわかりませんでしたが、こんもりと緑の葉を茂らせた山のような樹王の姿が目に入ると、止まっていたお日様が、息を吹き返したように動き始めました。
 サトルは、ゆっくりと傾いていくお日様に気がつくと、わずかにほっとして息をつきました。
「ようやく帰ってこれたみたいだ――」と、樹王の姿を見ていたサトルが振り返ると、リリが立ち止まって、後ろの様子をうかがっていました。
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よもよも

2020-06-29 06:13:59 | Weblog
いやはや。

休みだってのにいそがしかった。

自家用車は点検に出さなきゃなんないし、

経済しようとしてがまんしてた散髪にも行ってきた。

そういえば、岩見沢あんまマスク率高くないわ。

札幌辺りじゃマスク率高いけど、

なんかやっぱり感染症の罹患者の数が違うからだろうね。。

仕事も札幌から通勤してくる人は

マスク装着率100%だけど、

そうじゃない人らはノーマスク。。

付けてないだけでマスクは持って歩いてるから、

携行率だと100%だと思うわ。

これからは打ち合わせで出張したら、

会場前に消毒用のアルコールとマスクを置いとくのが

当たり前になるかもね。。
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地図にない場所(86)

2020-06-28 19:45:41 | 「地図にない場所」
 ムチのように風を切る枝に打たれ、悲鳴にも似た弱々しい叫び声が、こだまのように次々と聞こえてきました。
 固まっていた人垣がバラバラに散らばると、やはりそこには、膝を抱えたリリが震えていました。
「迎えに来たよ、リリ――」
 サトルが言うと、リリはすぐにわかったのか、はっと顔を上げて立ち上がると、サトルに抱きつきました。
「――大丈夫。心配ないよ。一緒に帰ろう」
 サトルは、リリの手を引くと、やって来た方向に戻ろうと、歩き始めました。
 と、なにか白い煙のような物が、あちらこちらから、目にも止まらぬ早さで走り抜けていきました。
 急いでその場を離れようとしたサトルでしたが、リリがぎゅっと強く手を引いて、足を止めさせました。
 かすかに震えているリリは、まぶたのない大きな目で、回りのなにもない空間を見上げていました。
「なにかあるの、リリ――」
 サトルは聞きましたが、リリが身振りで答えるまでもありませんでした。透きとおった空に線を引いて飛び交う白い煙が、逃げ惑う人々を、次々に襲っているのを目の当たりにしました。
 生きた煙のようなものは、魂を食う獣に違いありませんでした。
 自分を見失って、死の砂漠に落ちてきた人達の魂を、体が黄色い砂に変わる前に奪い取る、魔獣でした。
 魔獣の狙いは明らかでした。どこからか集まってきた、落ち人達でした。
 魔獣は、ゆらゆらと逃げ回る落ち人達の体を透り抜けると、凍りついたように動きを止めた落ち人の体が、ザザッと音を立て、あっという間に黄色い砂に変わりました。
 砂に変わった落ち人は、粉々になって地面に広がると、二度と立ち上がりませんでした。
 落ち人達はほとんど抵抗する間もなく、砂に変わって消え去っていきました。
 もたもたしてはいられませんでした。落ち人であるリリも、狙われるはずでした。
「さあ、ここにいちゃ危ない。早く逃げよう――」
 おびえて首を振るリリでしたが、サトルが手を引いて走り出すと、足元をふらつかせながらも、必死で後についてきました。
 しかし、いくらも走らないうち、魔獣達が二人を狙って飛び交い始めました。
 すぐ目の前を、脅すようにすれ違っていく魔獣達は、黄色い二つの目を光らせ、針の山のような牙を剥き出していました。
「来るな! お前ら――」
 頭を抱えてしゃがみこむリリを守って、サトルは樹王の枝を振り回し、なんとか魔獣達を追い払おうとしました。
 樹王の言ったとおり、魔獣は樹王の枝が恐いのか、目の前に近づけただけで、気持ちが悪そうに遠ざかりました。そして、どうやらそれだけではありませんでした。魔獣達は、どういう訳か、サトルには襲いかかってきませんでした。
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地図にない場所(85)

2020-06-27 19:02:47 | 「地図にない場所」
 だんだんと明るさを失っていくたき火を見ながら、サトルはほとんど眠ることができませんでした。
 肌寒さを我慢していると、日はすぐに昇ってきました。
 サトルは、樹王がくれた枝を手に、立ち上がりました。樹王は大きな顔を上げ、
「頼んだぞ……」
 と、低い声で言いました。
 木の皮で作った袋には、樹王の木の実と、木の実の殻で作った水筒が入っていました。水筒には、水代わりの露がたっぷり入っていました。
 サトルは、「行ってきます」と言うと、リリを探して、歩き始めました。
 足跡は、すぐに見つかりました。風のない黄色い砂漠に、リリが走って行った足跡が、延々と続いていました。
 サトルは、次第に暑さを増す日差しの中、砂に足を取られながら、リリの足跡をたどって行きました。
 樹王と一緒にいた時には、ゆるゆると時を刻んでいたお日様が、樹王から遠く離れたとたん、空の一点にとどまって、動かなくなってしまいました。
 黄色い砂の山や谷が、だんだんと大きく高くなり始め、深い谷と大きな丘になっていきました。どこまでも平らに見えた砂漠が、ぼこぼこと山々の連なる景色に変わってしまいました。
 リリはどこまで行ってしまったのか。力強く広かった歩幅が、足跡をたどっていくうち、不規則で小さく、狭くなっていくのがわかりました。
(――早く、助けにいってあげなきゃ)
 サトルは、暑い日差しに体力を奪われ、ついつい弱気になってしまう自分を、リリを思って振り払いました。
 どのくらい進んだでしょうか、ゆるゆると陽炎の立ち上がる向こうに、ゆらゆらとした人影が、いくつも集まっているのが見えました。
『リリの居場所は、すぐにわかるだろう』
 と、サトルは樹王が言っていた言葉を思い出しました。
 砂に踏み出す足が、しっかりと強くなりました。
 サトルは、樹王の枝を手にしながら、力を振り絞って走りました。

「――みんなどけ、そこから離れろ」

 ゆらゆらと陽炎のように揺れる人影は、不気味な人間達でした。サトルの声に驚いて振り向いた顔は、どの顔も青白く、無表情で、まるで意志が感じられませんでした。
 集まってなにをしているのか、ぞろぞろと行きつ戻りつする足の隙間から、リリの細い木の手足が、見え隠れしていました。

「えーい!」

 と、サトルは樹王の枝を乱暴に振り回しながら、人垣の中に割って入りました。
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地図にない場所(84)

2020-06-26 19:56:14 | 「地図にない場所」
 サトルは、唇を噛みながら、たき火のそばに戻って、樹王を見上げました。
「……この砂漠には……役目を持った獣がいる」と、樹王が静かに言いました。「ワシは、リリが砂にならないように、守っていたのではないのだ」
「――えっ」と、サトルが言いました。
「……リリが砂に変えられないように、獣を遠ざけていたのだ」
 と、サトルは首を傾げました。
「樹王なら、なんとかしてあげられるって、言ってたのは?」
「砂に変わるのを……止められるという意味じゃ……ないんだ」と、樹王は言いました。「強い思いを失い……疑いに支配された者が……だんだんと砂に姿を変えるのは……誰にも止めることはできない。ただ、強い思いを取り戻し、自分自身を見つけ出すまで、魂を食う獣から守ってあげる事は……できるのだ」
「魂を食うって、それって、生き物ですか――」
「サトルがいた世界での生き物とは……ちょっと違うじゃろう」と、樹王は言いました。「ワシと同じく……生まれた時からそこに生きていた者だ。夢を失って砂漠に落ちてきた者が……黄色い砂に変わり果て、魂だけになってさまよい続けるのを……彼らは永遠のゆりかごの元に帰しているのだ」
「難しいですけど、それって――」サトルが続けようとすると、
「――それは死を意味する」と、樹王が重苦しく言いました。「ワシの根の届く範囲であれば……彼らを近寄らせないことができる。しかし、一歩外へ出れば……彼らは夢を失った者をどんなに遠くからでも嗅ぎつけて……やってくる。けっして……逃げることはできない」
「なら、リリは?」
「助けてやってほしい」と、樹王がサトルに言いました。「お前がやって来た場所に帰るには……彼女の力を借りるしかない」
「――」と、サトルは大きくうなずきました。迷っている余地はありませんでした。自分のいた町に帰るためなら、進むしかありませんでした。
「夜は危険だ。日の出を待つのじゃ」と、樹王はうなずきながら言いました。「――この先の枝を持ってゆくがいい」
 ゆるゆると、サトルの目の前に樹王の枝が伸びてきました。
 サトルは戸惑いながら、伸びてきた枝をつかみました。
「この枝はワシの分身じゃ」と、樹王はサトルに枝つかませたまま、自ら枝を折りました。「獣は……魂が溢れている物を嫌う。ワシの枝は……いくつもの世界に存在している……ワシの魂の集合だ。その枝を持って迎え撃てば……獣は手も足も出せないほど……苦痛を覚えるだろう」
 サトルは、普通の枝にしか見えない武器を、試すように素振りしました。
「――リリの居場所は、すぐにわかるだろう」と、樹王は言いました。「わずかな足跡さえ見つければ……あとは足跡が向かう方向を目指して……追いかけていけばいい。獣を恐れ……砂の底に隠れていた落ち人達が……リリの歌声を欲して……姿を現しているはずだ」
 ――……
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よもよも

2020-06-26 06:08:36 | Weblog
いやはや。

ここのところ毎朝寒い。

ストーブスイッチ入れようか今朝も迷ったけど、

なんかこの時期ストーブってさ、

けちけちしたって一銭も儲かるわけじゃないけど

なんかもったいない気がして辛抱してる・・・。

最近コンビニに寄ると

なくそうレジ袋とか有料レジ袋とかって

告示されてるけど

環境に悪いとかって、自分のこと考えても、

ポイ捨てしたりしてる覚えは無いんだけどさ、

ゴミの処理の仕方が悪いのか、袋の素材なのか、

なんかしっくりこない。

レジ袋もらってなんだかんだ再利用したりしてるから、

有料になっても買うと思うけど、

なんかこのキャンペーンって、よくわからんわ。。

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地図にない場所(83)

2020-06-25 19:51:00 | 「地図にない場所」
「そう……今思えば……ずいぶんと荒っぽい方法だとは思うがな……そうするしかなかったのだ。あの娘は……口が消え鼻が消え……そして耳が消え、体もだんだんと木に変わってしまい……残ったのは両の目と、髪の毛だけじゃった……ワシは最善をつくしたが……ついに片方の目が消えた。ワシは、もう黄色の砂になるのも時間の問題だな……とあきらめかけたが……あまりにしのびなかったので……とうとう目を失ったリリの顔に、そっと、永遠に消えることのない目を彫ったのだ……。
 リリは……なんの人間らしいところも持ち合わせない娘になってしまったが……かろうじて彫った目には……まだきれいな光が残っていた。しかし、リリはその残った目でも……悲しみの感情ばかりを表した。
 ワシがふと気がつくと……この娘はいつも涙を流していた。ワシはしまった……と思ったが……もう遅かった。開いたままの目を残せば……見たい物だけではなく、見たくない物も見えてしまう。悲しみを増すだけだということに……ぜんぜん気がつかなかったのだ……。
 その目も、流した涙に削られて、彫った溝が浅くなり……もうほとんど凹凸がなくなりそうになっている……。この娘は……このままでは本当に黄色い砂になってしまう――」
 樹王は、ここまで話すと、静かにため息をつきながら、目を閉じました。サトルもなんだかいたたまれなくなって、そっと目を伏せました。そしてこの木の人形――いやリリは、一体どんなつらい目に遭ってきたんだろう、と自分に置き換えて考えてみました。けれど、どんなに想像力を使っても、多くのことを知らないサトルは、今の自分の立場が、この世で最高の不幸に思えるのでした。サトルは、静かに顔を上げて、リリの方を振り向きました。
「あっ……」と、サトルはリリを見て思わず息を飲みました。
 眠っていると思っていたリリの目から、ひと筋の涙が流れていたのでした。どうやら、サトルと樹王の話に目が覚めたリリは、眠ったふりをして、二人の話を聞いていたようでした。
「リリ……」と、樹王がサトルの声に反応して目を開き、しまった、という顔で言いました。サトルは、どうしていいかわからず、ただおどおどしているばかりでした。
 すっ――と、木の関節を軋らせて、リリが立ち上がりました。たき火の明かりに照らされた涙の跡が、まぶたの無い目から、細く線を引いていました。
「――あのね、リリ」
 サトルが言おうとすると、リリが暗闇の中に駆け出していきました。
「待つんだ……リリ……」と、樹王があわてて声をかけましたが、リリの姿は、とっくに見えなくなってしまいました。

「やめるんだ、サトル……」

 と、リリの後を追いかけようとしたサトルを、樹王が止めました。
「どうして、早く行かないと――」と、サトルは振り返って言いました。
「まだ言っていなかったことがある」と、樹王が言いました。
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よもよも

2020-06-25 06:08:45 | Weblog
いやはや。

札幌ばかりと思ってたら、

すぐ隣の小樽でクラスターが出たらしい・・・。

やっとあちこち出歩けるようになったと思ったら、

またぞろ春先の第2波が来た時みたいに

ぐぐっと感染が拡大したりしたら、

流れが低くなるまで自粛自粛で

不便な思いしなきゃならんのかな??

それにしても昨日は現場もそれほど忙しくなかったのに、

妙に疲れて帰ってきてさっさと横になったんだけど

朝の四時半頃ハッと目が覚めて、

文句言いつつ寝直したんだけど、

千葉県で地震があったとは驚いたわ。

たまにシンクロみたいな事あるんだけど、

自分の足元揺れないか、なんか心配XXX
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