備忘録として

タイトルのまま

Les Miserables

2013-01-02 16:01:06 | 映画

牢獄から出たばかりのジャン・バルジャンは一宿一飯を乞うために立ち寄った教会で銀の食器を盗む。教会を抜け出たのち銀の食器を持っていることを警察に問い詰められるが、教会の司祭は”それは私があげたものだ。この燭台もあげたのに慌てて忘れて行ったんだね。”と銀の燭台を持たせジャン・バルジャンを助ける。その日から、ジャン・バルジャンは回心し、まっとうな人生を送り始める。ヴィクトル・ユーゴーの長編小説「レ・ミゼラブル」から銀の燭台の逸話だけを抜き出した「ああ、無情」は小学校の国語の教科書か、あるいは家にあった少年少女文学集で読んだ。高校2年の夏、恒例の現代国語の課題にヴィクトル・ユーゴーを選び規定の原稿用紙40枚の論文を書いた。800字詰原稿用紙を埋めるのが精いっぱいで、国語の授業の課題なのに文学は語らず「レ・ミゼラブル」の時代背景ばかりを書いた論文の点数が高いはずはなかった。ドストエフスキーや太宰治の論文で満点を取った級友たちに対し劣等感を抱いたことを思い出す。典型的な理系人間だからと自分を肯定し慰めるしかなかったことを思い出す。あれからもう40年が経つ。未だにドストエフスキーや太宰治を書いた級友の当時のレベルにさえ達していない自分を自覚している。文学的感性は音楽の才能や運動神経と同じで、訓練では埋めることのできない厳然とした天賦の才というものがあることを実感する日々である。

自分の書いた論文の内容だけでなく「レ・ミゼラブル」のあらすじさえも記憶のかなたに消えている。もう一度「レ・ミゼラブル」を読む気力はないので、封切中のミュージカル映画を帰国してすぐに観に行った。

 

”レ・ミゼラブル”2012、監督:トム・フーパー、出演:ヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、ラッセル・クロウ、アマンダ・セイフライド、ヘレナ・ボナハム・カーター、”シェルブールの雨傘”以来、台詞すべてが歌からなるミュージカルだった。ジャン・バルジャンの生涯を駆け足で追ったので話の展開は目まぐるしかった。印象的な場面は、(1)物語の終盤、ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)を執拗に追いかけるジャベール警部(ラッセル・クロウ)はジャン・バルジャンが聖人であることに気づき彼の逃亡を放置する。法律の番人として生きて来たジャベール警部は法律を破ったことで生きる拠り所を失いセーヌ川に身を投げる。(2)エポニーヌ(コゼットが預けられた家の娘)はマリウス(革命に身を投ずる弁護士)を慕うがすでにコゼット(アマンダ・セイフライド)に魅かれていたマリウスは彼女のことを見向きもしない。しかし、エポニーヌは命がけでマリウスに尽くし革命の中、命を落とす。(3)ジャン・バルジャンは結婚したコゼットとマリウスに見守られ、すでに亡きコゼットの母親であるファンテーン(アン・ハサウェイ)に手を引かれ昇天する。話の展開が速すぎて感動が少し上滑りになってしまったようにも感じたが、それでも十分感情移入できた。★★★★☆ 

以下は、機中映画と最近観たWowwow映画

”Hope Springs"2012、監督:デイヴィッド・フランケル、出演:メリル・ストリープ、トミー・リー・ジョーンズ、スティーブ・カレル、セックスレスですれ違い夫婦がカウンセラー(スティーブ・カレル)のアドバイスで絆を取り戻すというお話。ベテラン俳優メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズの夫婦の本音トークが面白いけど、結局それだけだった。★★☆☆☆

”Kate and Leopold(邦題:ニューヨークの恋人)”2001、監督:ジェームズ・マンゴールド、出演:メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン、19世紀から偶然タイムトラベルして来た貴族の青年レオポルド(ヒュー・ジャックマン)と恋に落ちるキャリアウーマンのケイト(メグ・ライアン)は、最後彼を追いかけて19世紀にタイムトラベルする。私の中のメグ・ライアンは”恋人たちの予感”1989がピークで、”めぐり逢えたら”1993も、”You've Got Mail”1998も、この映画も魅力的ではなかった。★★☆☆☆

”Little Miss Sunshine"2006、監督:ジョナサン・デイトン、出演:グレッグ・キニア、スティーブ・カレル、トニー・コレット、アビゲイル・ブレスリン、7歳の娘オリーブ(アビゲイル)は少女コンテスト”Littele Miss Sunshine"に出ることになる。オリーブの叔父さん(スティーブ・カレル)はゲイのプルースト研究者でボーイフレンドにふられ自殺未遂をしている。オリーブの父親の事業は失敗続きで母親の家事は超手抜き。兄はジェットパイロットになるまで沈黙を続ける誓いを立てている。オリーブにコンテストでのパフォーマンスを教える祖父はヘロイン中毒である。家族はそろって黄色いバスに乗って800km離れたコンテスト会場に向かう。途上、兄は自分が色盲でジェットパイロットをあきらめなければならなくなったり、祖父が死んだりしてコンサート出場が何度か危うくなるが、何とか会場にたどり着く。そこでオリーブが披露した芸は祖父直伝の大人の踊りで会場の顰蹙をかってしまう。だが家族は彼女を守ろうとする。コミカルでめちゃくちゃだけど家族本来の絆を描いていた。★★★★☆

"Source Code(邦題:8ミニッツ)”2011、監督:ダンカン・ジョーンズ、出演:ジェイク・ギレンホール、マイケル・モナハン、ベラ・ファミルガ、シカゴで列車爆破事件が起こったあと、アフガン戦争で植物状態になった兵士の意識を、列車に乗っていた他人の意識の中に送り込み爆破犯を捜すというプログラムが実行される。爆発寸前の8分間が彼に与えられた時間で、何度も試行錯誤を繰り返しながら犯人を捜す。犯人を捜しあてたあと主人公は列車に乗っていた女性と新しい世界で生きていく選択をする。時間とパラレルワールドを意識下で行き来する設定が斬新だった。★★★★☆


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