「男の隠れ家ー陶酔庵」日記

いろいろあってまだ生きてます。世捨て人を気取りながら、その高みにはほど遠い俗世の世迷い人生、命だけが通り過ぎてゆきます。

貴重な土灰

2008年03月21日 | 釉薬


釉薬の原料に土灰と言う物がありますが、陶芸をされない方は土の灰?だと不思議に思われるでしょう。
これは雑木の灰から出来ていて、薪ストーブなどの副産物から作られる事が多いそうです。
そのためこの土灰には土石類や鉄分のような金属化合物などの雑味成分が含まれていて、
それが釉の不安定さや気まぐれさ、さらにまた何が起こるかわからない面白みを作り出しています。
この土灰を使った釉薬を土灰釉と言います。

ちなみに最近の私のお気に入りの釉薬、秋田こまち釉やこまち糠白釉には、遠き秋田の地から届いた
天然の秋田杉の灰が単体で土灰として使われています。
天然の灰はそれぞれの木の種類によって、含まれる雑味成分が異なり、微妙に違った雰囲気になるそうです。

しかしながら昨今、環境問題などで自宅では何も燃やす事が出来ないし、燃やせたとしても燃やす物が手に入らない、
薪ストーブもない我が家では天然の雑木灰を入手することはほとんど不可能です。

写真の土灰はいつも何かと私の陶芸を支えてくれている友人の
山暮らしのゴリさんが半年前に持ってきてくれた天然のクヌギの灰です。
10ℓバケツで下から10㎝程の量しかない貴重なクヌギ単体の灰を半年間水簸作業をして
昨日まで冬の長袖肌着の胴体部分を縫い合せたものに入れて、袖を結んで外に吊るして乾燥させていました。
いわばオランウータンが両手で木にぶら下がっている姿を想像してください。
そして昔、餅つきをして餅を並べていたもろぶたに広げて最終乾燥です。

乾燥が済んだ時点で1~2kg採れるでしょうか?

わずかな量しかないのでテスト用に少量の釉薬を作るのは無理です。
ここは一発勝負しかないようです。
テキストには福島長石との組み合わせで3:7、5:5、7:3のサンプルが掲載されています。
福島長石と天然クヌギ灰7:3で白濁釉のマット調、3:7で黒濁釉のマット調。
迷ってます~~~~~。何かお薦めありませんかーーーーーーー!!


って、ここまで書いてアップしようとしているところへ、
クヌギのお礼に経過報告を兼ねて上の写真を添えてメールを送っていた山暮らしのゴリさんからメールが入る。

「スンマセン!・・・・・コナラでした」・・・・ドヒャー!!!!!!

ゴリさんへ
随分春らしくなって暖かくなってきましたが、夏が来ようが薪ストーブ燃やし続けて下さいね!




私にしては珍しく教科書調で真面目に講釈を垂れていたら、やっぱり最後は落ちましたね(爆笑)

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12 コメント

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教科書の様なコメント! (かにちゃん)
2008-03-21 14:28:21
こんにちわぁ~(^▽^)只今、仕事中なり…

まじめな顔して、書類作ってるみたいにして

コメント読ませて貰ってました。

今、一番興味を持っている内容ですので、かなり

真剣に読んでました。まさしく、その状況に

ピッタリの内容でしたし…

でも クヌギ→コナラの段で、思わず

バレ・バレ です・・・
返信する
Unknown (mizu)
2008-03-21 16:32:16
あははは(笑)最後のオチに笑わせて頂きました(笑)
実家はいまだ薪ストーブです。
きっとどんどこどんどこ、灰を捨てているでしょう…もったいない…(笑)
実家に帰ったらかき集めようと思います!
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Unknown (karwen16)
2008-03-21 21:31:07
これだけの灰を集めるだけでも大変ですよね。私は土灰はもっぱら製材工場のボイラーで焼いたものを使っていますが、その40~50人規模の工場でもドラム缶で一つ取るのに、約一ヶ月かかります。ストーブの灰を集めるには難儀するでしょうね。
コナラだけを焚いてくれたのであれば、それはほとんど友情の産物。大事にしてください。
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コナラ? (ゆか)
2008-03-21 21:37:39
コナラとは!じゃあその灰は使えないのですか?ゴリさんのメール早く届いて良かったですね、アップする前で(笑)しかし、土ひとつ作るのにも大変な苦労があるのですね。
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交友関係~ (維真尽(^^))
2008-03-21 23:54:28
スバラですね~(^^)v

ゆっくり~
そういう付き合い したいものです (^_-)-☆
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宝物 (jun431)
2008-03-22 21:43:10
すばらしい灰ができあがりましたね。
ぼくには、宝石のように見えます!
ansyuさん、すっかり灰立ての釉の虜になっちゃいましたね。
不安定さがいいなんて、通常からするとものすごく変わり者ですよね。でもやめられませんなぁ~。
さて、ぼくらの水簸方法では、数キロ取れればいい方ですから灰を最大限に生かせ、なるべく多くの釉を作る調合がいいですよね。
ぼくは、迷ったら長石:土灰:合成藁灰=6:3:1と決めています。ここからアレンジするようにしてます。
理想は、5:5です・・。
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かにちゃんさんへ (ansyu)
2008-03-24 10:57:51
初めての教科書調の真面目な記事を真剣に読んでくれてありがとう。
最後の落ちで仕事場の皆に吹き出してばれちゃったんですか?
今度からはマスクをするか唇を輪ゴムで止めてください(笑)
ほっぺたが風船のように膨らんでもっとばれますかね?
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mizuさんへ (ansyu)
2008-03-24 11:01:03
人生最大の山場のご多忙中にコメント頂き感激しました。
実家の薪ストーブの灰は宝物です。早速回収に入ってください。
二人展がご盛況のうちに終わりますように!!
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karwen16さんへ (ansyu)
2008-03-24 11:12:03
製材工場でドラムカンにワイヤーフックをかけるワッパが溶接してある写真今でも覚えてます。確か晋ちゃんが活躍してた記憶が。一ヶ月かかるんですね。
友人のゴリさんは一日燃やしても数ミリもならんばい!と嘆いていました。
いつもは雑木灰を少しづつ頂くのですが今回初めてコナラ単体の灰を頂きました。
まさに友情の産物だと思って感謝しております。
どうしても藁灰に対して、土灰は使用比率が高いので
その上入手が困難で不足します。
もちろん大切に勝負釉薬に使わせていただきます。
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ゆかさんへ (ansyu)
2008-03-24 11:17:29
それぞれの樹木の灰に個性があるだけで使えないわけじゃなくて
同じように使えるし大切な物です。
ただテキストにクヌギのサンプル写真が出てたので色々迷っていました。
むしろ経験やサンプルのないコナラはいっそう興味をそそります。
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