ほぼ週二 横浜の山の中通信

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トランプ君はビジネスマン

2017年04月27日 | 国際・政治(欧米)

325日のブログ「習近平とトランプ会談」で「結局、会談は中国ペースで終わると思います」と書きました。

 

トランプ君は、米中会談の最中にシリアに向けてミサイルを打ち込むという意表を突く行動に出たので、習近平は虚を突かれて中国ペースというわけにはいきませんでした。しかし、これで中国はアメリカの思うように動くと思う人は甘い。

 

中国は北朝鮮カードを温存している方にメリットがある。今回の会談で、アメリカは中国による北朝鮮への強い制裁を要求したが、その見返りとしてアメリカの貿易赤字の最大の原因である中国への改善要求が弱くなった。最大の貿易赤字の原因である中国への改善要求が弱くなったということは、タナボタで日本への貿易赤字の改善要求も弱くなるはずです。

 

中国は北朝鮮カードを温存するために、これからもアメリカの言うことを聞くフリをします。しかし、北朝鮮の首を強く絞めているようなフリをするが、息は出来るようにしているので、ほとぼりが冷めると手を緩める。ただし、北朝鮮があまりに言うことを聞かないと、首を挿げ替えるかもしれない

 

しかし、今回の北朝鮮危機と言われるものは、ダラダラして緊張感が足りないですね。日本の右寄りの人は、いよいよアメリカが本気になったと期待しているようですが、そんなことは無い。

 

シンガポールにいた空母は違う方向に出航するし、中国を刺激しないように南シナ海は避けて通ったらしい。そして横須賀にいるもう一隻の空母はいっこうに出港しない。それに、最近のトランプ君は北朝鮮のことを言わなくなった。おまけに今日から安倍首相はロシアと英国に出かける。北朝鮮が危ないと煽っておきながら、自分はロシアと英国かよ。これは、直ぐには何も起きないと踏んでいるのでしょう。安倍首相が帰って来るまで、右寄りの新聞も静かになる。

 

アメリカも中国も韓国も北朝鮮も日本も、テレビも新聞も評論家も、みんな危機だ!危機だ!と言っている方が都合良い。ほとぼりが冷めると、皆さん知らん顔している。

 

アメリカの話に戻ると、トランプ君は定石通りのことをしている。

 

  • 先ずはビジネスの定石。「俺は怒っているぞ」ということを示して、相手に譲歩を迫る

 

前にも書きましたが、私の勤めていた会社とアメリカのお得意さんとのビジネス(平たく言えば、金の取り分をどうするか)の会議でのこと。十分準備をしていた私の会社の少し賢い役員が交渉を有利に進めたので、アメリカの会社が不利になりました。その時アメリカの会社のトップがドアをバタンと閉めて出ていったそうです。こういうのも、交渉のテクニックの一つらしい。仕方ないので、私の会社の役員は社長とも相談して価格で譲歩したことがあった。このような、怒っているぞ!というのを態度で表す交渉術はアメリカでは一般的らしい。アメリカ人はいつも話し合いで交渉していると思っている人は、買いかぶっているだけです。

 

トランプ君はこの交渉術を政治に応用しています。やりすぎると取り返しのつかないことになるが、トランプ君は根がビジネスマンなので、ギリギリのところで最悪の状態にならないようにする。

 

  • 次は、政治の定石。内政が上手く行かないと外に危機を作って目をそらせる

 

トランプ君の内政が上手く行っていないし、支持率も下がったままなので、シリアや北朝鮮に危機を作って、自国の国民に団結を呼びかけ、自分の政治に支持を集めるという古典的な手口をやっている。

 

ついでに言うと、安倍首相も森友問題の目をそらすために、北朝鮮危機が高まってくれた方がありがたいはずです。

 

だいたい、北朝鮮とアメリカ、中国、韓国、日本の本音を見ると先行きが分かる。

 

北朝鮮の本音:金王朝を継続したいだけ。戦争をすると金王朝は崩壊するので、戦争はしたくない

アメリカの本音:支持率の低いトランプ政権を浮上させたいだけで、戦争する気はない。戦争する金があれば、他で使いたい。

中国の本音:北朝鮮を緩衝国として存続させたい。それにアメリカとの交渉材料として使い道がある。

韓国の本音:現在の政府は保守系の候補を大統領に当選させたい。北朝鮮危機があった方が保守系に有利になる。

日本の本音:こういう危機があると、「自民党ならアメリカと上手くやってくれるはず」と考える人が多くなるので、ありがたい。

 

トランプ君は、中国に対し「北朝鮮を何とかしないと、韓国や日本を核武装させるぞ!」と言ったそうですが、アメリカだって韓国や日本を核武装させたくないので、この脅しはこけおどしです。そこらへんは、中国だってお見通しです。トランプ君、素人でもわかるような手を使っちゃだめだよ。

 

2017.04.27


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