熊澤良尊の将棋駒三昧

只今、生涯2冊目の本「駒と歩む」。配本中。
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油の付け過ぎは厳禁

2013-08-03 05:45:14 | 作品
8月3日(土)、晴れ。

昨日の夕刻から、俄かに爽やかな空気に変化。
今日は気温が高くても、カラッとして過ごし易い気候になりそう。

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水無瀬神宮に残る兼成筆「八十二才」の駒。
アップ映像に対して、先日の田中さんからコメントをいただきました。
「思っていたほど、古い感じはしない・・」との感想。
その通りだと思います。
「田中さん」は多いのでどのタナカサンかは分かりませんが、嬉しく。

ところで、あの駒は良く見ると、幾分使われた痕跡があります。
それは多分、作られてそう経っていない頃ではないかと思っています。
以降の三百何十年間は、ほとんどは暗闇の箱の中にあって、光を浴びていない。
勿論、人の指(指の油)からも遠ざかっていた訳です。
その結果、駒は、あたかも数十年前に作られたもののように感じられたということ。

この水無瀬駒ほどではありませんが、これに近い経験を何度かしています。
例えば、昭和初期に作られた「龍山作」の駒。
随分前になりますが、四国のある新聞社会長のお宅を取材訪問した折のこと。
押し入れに仕舞われて、全く使われないまま半世紀を経た「龍山作」。
ワクワクしながら、ソーッと駒箱を空けました。
立派な駒箱の中から出て来たのは、ついこのあいだ、出来上がったばかりと見紛うような駒でした。
その「新しいのと変わりないような木肌色」に感動。
もっとも、厳密に言いますと「チョッと枯れた感じ」ではあります。

しかし一度でも油拭きすると、その枯れた感じの木肌色は、たちどころに「飴色」に変化するでしょう。
同様なことは、誰の手にも渡っていない古い無垢の駒でもありますね。
初めて、僅かに油を含ませた布で拭く時は感動的。
これは、一度のみ。
誰の手にも渡っていない駒でしか味わえない瞬間です。
それを手にした人のみに許された特権でもありますね。

猶、ことわっておきますが「油の付け過ぎは厳禁」です。

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ほぼ完成の「中将棋駒」と「南帝無双」。

「中将棋駒」。
レギュラーサイズの「水無瀬兼成筆写」。
材は薩摩ツゲの柾目。
裏は「朱」文字で誰でも分かりやすく。




「南帝無双」。
彫り埋め仕上げ。
材は御蔵ツゲの杢。






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2 コメント

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Unknown (札幌K)
2013-08-03 10:20:16
おはようございます
朱の色がきれいですね

以前拝見した
http://blog.goo.ne.jp/ykkcc786/e/5f3a3abb52cf72c8ad8133e825b1ccdd
「チョッと風邪気味 2012-12-10 05:50:38 | 文章」
の朱色を覚えていました
アップで見ると なおさら鮮やかに見えます

それから布盤ですが
落ち着いた色合いで 駒が映えて見えます
どうもありがとうございました
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水無瀬駒にコメントしました田中です。 (滋賀の田中)
2013-08-03 10:26:14
お知り合いの田中さんがたくさんお見えとのことなので、ここでは「滋賀の田中」と名乗らせていただきます。
水無瀬駒が古びていないのは、ほとんど使われず、駒箱の中で三百猶予年、眠りについていたとのこと。納得しました。
連綿と400年の間、駒を大切に保存されてきた方々に敬服致します。
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