A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

新たな一年の夜明け・・・「世界は日の出を待っている」

2008-01-01 | MY FAVORITE ALBUM
ALBERT WYNN and his Gutbucket Seven / Chicago-The Living Legends

東京の正月の朝、雲ひとつない空に綺麗な初日を拝めた。
平成も早いもので丁度節目となる20年目。今年は「何か時代の大きな変わり目の年」になるような気がする。
寒さが身に沁みる朝ではあったが、何か新たな緊張感を覚える夜明けであった・・・・。



そして、今年最初に聴いたのは「世界は日の出を待っている」

20年代のシカゴ。
ニューオリンズで誕生したジャズはこの地で花開いた。
シカゴジャズといえば、エディーコンドンやマグシースパニアなど白人の洗練されたジャズプレーヤーが思い浮かぶ。しかし、シカゴのサウスサイドには表舞台の華やかな演奏とは別世界の黒人プレーヤーも多く存在した。
ニューオリンズの伝統を引き継いでプレーをしていた彼らも、1929年の大恐慌以降職を失い、故郷へ、そして異国の地へと三々五々と散っていった。

第二次世界大戦前後、ジャズの歴史の研究が進む。そして、このようなジャズの創世記を支えた黒人ミュージシャンの再発掘が行われ、ジョージルイスなど伝説のプレーヤーが一線に復帰した。
モダンジャズへの進化に合わせて、一方でニューオリンズジャズが再び脚光を浴びたのだった。

そして、シカゴのサウスサイドでプレーをしていたメンバーが久々に再会してセッションを行った。以前プレーをしていた時から、すでに30年の月日が経った1961年のことであった。

60年代初頭のリバーサイドレーベルというと、ビルエバンスに代表される一流プレーヤーを抱え、モダンジャズの最前線を走っていたレーベルだ。
このレーベルが、実は設立当初はトラディショナルジャズの発掘にも力を入れていた。そして、60年代になりアルバムも400番台に入ってから、モダンジャズの名作に混じって”CHICAGO THE LIVING LEGENDS“というシリーズを何枚か出している。

このアルバムも、その中の一枚だ。
アル・ワインというトロンボーン奏者がリーダーだが、メンバーはいずれも昔シカゴジャズを支えた面々。久しぶりに再会を果たし、当時の演奏スタイルをそのままの形で再現している。
当時、売り出し中のエバンスもアダレーも彼らには全く眼中になかった。彼らの演奏は筋金入りのニューオリンズジャズでありブルースだ。タイムスリップしたように、30年前の姿をそのまま再現している。

このアルバムに「世界は日の出を待っている」が入っている。
新年には相応しい曲だが、その生まれた経緯は・・・・。
1919年、前年まで続いた第一次世界大戦の直後、まだ戦後の混乱から抜け出せなかった年だ。暗い話題が日々が続く中、明るい明日を願う歌でその年のベストヒットになったそうだ。

同じニューオリンズジャズの伝道師でもあるジョージルイスがこの曲を十八番にしている。有名なオハイオユニオンのコンサートでも演奏され、ルイスのコンサートでは欠かせない曲のひとつになった。
どのコンサートでも、ローレンス・マレロのバンジョーのプレーがフィーチャーされる。

その印象が強いせいか、この曲はニューオリンズジャズで聴くのが一番。
このアルバムでの主役はピアノのジョン・デイビス。
ピアノが奏でるこの曲もなかなかいける。このデイビス、他の曲でも歌にピアノと大活躍だ。ハウ・ロング・ブルースでは情熱的な歌とピアノでブルースの真髄を聴かせてくれる。

昨年は新しい夢のある話題よりも、偽、事故、殺人、環境、・・・など、どれをとっても暗い話題が多かった。
時代の変わり目だからこそ。新しい先進的な話題に一喜一憂するのもよいが、30年前のトラディショナルパワーを今の時代に投げかけるのも丁度今のような気がする。
このアル・ワインとガットバケットセブンが世に問うたように。我々、団塊の世代の使命かもしれない。

1. Ice Cream
2. Someday, Sweetheart
3. How Long Blues
4. Honey
5. Bourbon Street
6. The World Is Waiting for the Sunrise
7. In the Evening
8. Nobody's Sweetheart

Albert Wynn (tb)
Bill Martin (tp,vol)
Darnell Howard (cl)
Bus Moten (p)
Blind John Davis (p.vol)
Mike Mckendrick (g)
Robert Wilson (b)
Booker Washington (ds)

Recorded in Chicago, September 5,1961




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