A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

まずは大成功・・次なる試みは

2008-01-16 | MY FAVORITE ALBUM
Mercy ,Mercy / The Buddy Rich Big Band Recorded live at Caesars Palace

新たな試みというものは常にうまくいくとは限らない。
事業であれ、音楽であれ、それは何の世界でも同じだ。
そしてプロの世界はビジネスとしての成功がなければその先はない。
夢と希望をもってスタートしたものの、第一段階の成功を収める前に評価を受けることなく挫折し、そしてせっかく周りから期待されたにも関わらず力及ばず解散してしまうケースは多い。

満を持して、'66に新たに結成されたバディーリッチのオーケストラは、ジャズ全体が低迷し、ロックが台頭しつつある中でスタートした。ビッグバンドビジネス自体がどのバンドもうまくいかなくなっている中で、大方の意見は「成功は難しいのでは・・・?」というものであった。
しかし、予想に反して旗揚げ公演は盛況を極める。
ジャズクラブでの演奏の模様を収録したアルバムも立て続けに発売され、スタジオでの新たな録音も行われる。まずは順風満帆のスタートを切ったといえよう。

その成功を踏まえてよりパワーアップされたリッチのオーケストラは、第2期ともいえる段階に突入していった。
まずは起用するアレンジャーの拡大。最初はオリバーネルソンやビルホルマンの有名どころに加え、若手のアレンジを登用していた。新たにウェスモンゴメリーのアルバムで名を売出したドンセベスキーのアレンジなども採用し、ますますその幅を広げていった。
演奏を引っ張るリーダーであるリッチの意欲を感じる。「どんな作品でも持って来い、ちゃんと俺のドラムで極めてやるぞ」とでも言いたげな感じだ。

結成時のバンドのメンバーはジーンクイルなど何人かのベテランを据えてスタートしたが、若手中心に入れ替わっていった。今回は、メンバーも大分入れ替わり中心に再び核となるプレーヤーを据えた。
中でも目玉はアルトにあのアートペッパーを。そしてハーマンやケントンのオーケストラで実績のある実力者ドンメンザ。そして若手のホープ、ラバーベラ兄弟の末弟パットラバーベラ。リードトランペットにはアルパチーノが加わる。

曲も若手の作品を採用する他に、当時の流行の曲を積極的にレパートリーに組み込む。
このアルバムのタイトルの「マーシー・マーシー・マーシー」は、言わずと知れたザビヌルが作曲したキャノンボールアダレーグループの大ヒット曲。そして、ロリンズのアルバムでも有名になったバカラックの映画のタイトル曲 「アルフィー」も。

さらにリッチのオーケストラは、ステージの演奏でのクライマックスに演奏する「大作」をレパートリーに加えていた。ショーケースとなる最初の大作はウェストサイドストーリーメドレー。どのコンサートでも、必ずといって良いほどリクエストが殺到したとか。
今回このアレンジを提供したBill Reddleが、新たな曲「シャネル1組曲」を提供した。

この陣容で、新たに作られたのがこのアルバムだ。
タイトルは「マーシー・マーシー・マーシー」。
結果はリッチのオーケストラの初期の代表作といってもいいほどヒットすることになる。

新たに加わったメンバーが期待を裏切らない素晴らしい演奏を随所で繰り広げる。
中でも「シャネル1」のドン・メンザのテナサックスのプレーがこのアルバムの白眉であろう。
アートペッパーもアルフィーでフィーチャーされるが晩年はコンボ中心。ビッグバンドに加わってのプレーは珍しいものだ。

そして、ライブのステージもラスベガスのシザースパレスへと昇格している。
スタート当時はサミーデービスのバックオーケストラとしてラスベガスの舞台に立ったが、今回は単独でのステージ。リッチのオーケストラもいよいよ全国区で注目されることになる。

1. Mercy, Mercy, Mercy         Zawinul 5:34
2. Preach and Teach           Burke 4:06
3. Channel One Suite          Reddie 12:50
4. Big Mama Cass             Sebesky 3:22
5. Goodbye Yesterday          Piestrup 6:18
6. Acid Truth               Menza 5:50
7. Alfie                   Bacharach, David 3:49
8. Ode to Billie              Joe Gentry 3:39

Produced by Richard Bock

<PERSONNEL>

Buddy Rich (ds)
William Prince , Al Porcino , Kenneth Fraulk , David Culp (tp)
Jim Trimble , Richard Stepton , Peter Graves (tb)
Don Menza , Pat LaBarbera (ts)
Art Pepper , Charles Owens (as)
Joe Azarello (p)
Walter Namuth (g)
Gary Walters (b,fender bass)

Recorded live at Caesars Palace Las Vegas , 1968


Mercy, Mercy
Buddy Rich
Pacific Jazz

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2 コメント

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練習中です。 (cocoa tea)
2008-02-04 16:13:18
ただ今、収録曲♪Goodbye Yesterdayを練習中です。
改めて、
アルバムと共に歴史ある曲なんでね。
その歴史に恥じないよう、
良い演奏をしたいです!!
返信する
cocoa teaさん (YAN)
2008-02-04 22:17:22
こんばんは。
コメントありがとうございます。
リッチのオーケストラは不滅ですね。
昨日リッチのスカラーシップの記念コンサートのライブのDVDを見ていました。
アメリカでは、ジャズだけでなくロックのドラマーにとってもリッチは特別な存在のようです。
いい演奏ができるように頑張って練習してください。
返信する

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